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アイエニウェア・ソリューションズ株式会社

【19-C-4】次世代型情報取得システムの構築技法 ~ CRUSE開発を通じて
アイエニウェア・ソリューションズ株式会社 デジマビジネスユニット シニアエンジニア 伊藤 純一 氏

クラウドの発達でインターネットを通じた情報活用はますます活性化し、スマートフォンに代表される携帯端末の多機能・高性能化も進んでいる。しかし、移動時の情報活用、特に携帯端末による「情報取得」については、それほど大きな進化が見られない状況だ。こうした課題を解決すべく、アイエニウェア・ソリューションズでは「文脈指向マルチモーダル」による次世代型情報活用システムの開発に取り組んでいる。

移動時の情報活用を飛躍的に進化させる「文脈指向マルチモーダル」とは?

「スマートフォンの画面はPCに比べて一度に閲覧できる情報量が少なく、ソフトキーや画面タッチ操作で細かい情報を入力するのも大変。『キーワードを入力して結果一覧を表示』というPCの検索方法をそのまま適用するのは無理がある」。アイエニウェア・ソリューションズ デジマビジネスユニット シニアエンジニアの伊藤 純一氏は、セッションの冒頭、移動時における情報取得の課題について指摘した。

その課題を解決するために、伊藤氏らは「操作」→「認知」→「判断」といった、情報取得における人間の行動プロセスに基づいて考えたという。そこから誕生したのが、同社が「文脈指向マルチモーダル」と呼ぶ情報取得システムである。

Answers Anywhereのエージェント・ネットワークで実現する次世代型情報活用システム

携帯端末は使用する環境が常に変化し、移動中は端末を使用できる時間も限られる。そこで、ユーザーの意図をシステムに伝える「操作」においては、音声、キー入力、画面タッチなど、その場で使える手段を自由に組み合わせて使うことができる「マルチモーダル」な入力環境を用意。また、なるべく少ない手数で操作できるシステムを目指し、ユーザーがシステムに対して毎回完全な指示を与えなくても、以前に入力した情報をシステム側で「文脈」として活用し、差分の情報だけを与えれば入力が完成するという機能を実装した。GPSによるユーザーの現在位置情報など、自動で得られる情報も有効に利用し、操作の省力化につなげている。

操作に続いて、システムから提示されるデータを「認知」するプロセスにおいては、表示領域の狭さなど携帯端末のネガティブ要素を考慮したデータ表示方法を検討。瞬時に全体が把握できることを重視して、図形を効果的に使い、詳細情報はユーザーが必要なときのみ提示する方式とした。また、画面表示だけでなく音声ガイダンスの併用など、出力環境についてもマルチモーダル化している。

検索結果一覧などのデータを認知した後、どう行動するかを「判断」するプロセスでは、データが多ければ条件の絞り込み、欲しいデータがなければ条件の変更といったアクションが必要となる。「文脈指向マルチモーダル」では、その際にどう絞り込むか、どう変更するかといった条件の候補を「ヒント」として提示。これにより、ユーザーの試行錯誤をなくすことができる。「利用可能な条件を一律に提示するのではなく、過去の操作履歴からユーザーの嗜好を抽出して反映することで、パーソナライズされたより有効な情報を提供できるようにしている」と、伊藤氏は説明した。

「文脈指向マルチモーダル」を活用した情報取得の処理の流れは、図1のとおり。左側の「UI部」は携帯端末のアプリとして実装、「データ取得部」はサーバ側の実装となる。なお、すべての入力情報(音声、キー入力、画面タッチなど)はデータ取得部で文字列に一元化された後、入力文の解析、文脈を追跡して不足情報を補完、解析結果によりRDBやXML Webからデータを取得、過去の操作履歴などから次操作を提示、といった処理が行われる。これらはすべて、同社の自然言語解析・対話エンジン「Answers Anywhere」のエージェント・ネットワークという技術により実現されているという。

セッションの後半では、文脈指向マルチモーダルの仕組みをiPhone向けのレストラン検索アプリとして実装した「iCRUSE」のデモを実施。文脈解析からの入力補完、音声による操作ヒント提供、現在地から検索した店舗までのルートを含む地図表示など、代表的な機能が披露された。なお、「iCRUSE」は、当日の段階ではプロモーション用の開発途上版であったが、「App Storeにて無償版を近日公開予定」とのことだ。

図1:「文脈指向マルチモーダル」におけるデータ処理の流れ
問い合わせ先
アイエニウェア・ソリューションズ株式会社
〒107-0052
東京都港区赤坂4-15-1
赤坂ガーデンシティ 5F
URL:http://www.ianywhere.jp/
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