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ヴイエムウェア株式会社

【19-C-6】クラウド時代のアプリケーション開発環境~Spring Framework、仮想化と企業クラウドの融合~
ヴイエムウェア株式会社 ストラテジックアライアンス テクニカルアライアンスマネージャ 名倉 丈雄 氏

クラウド環境構築にあたって、仮想化技術は不可欠の要素といえる。仮想化ソフトウェアのトップベンダーであるVMwareでは、2008年よりクラウド推進プログラム「VMware vCloud Initiative」を展開。2009年には仮想化プラットフォーム製品の最新版「VMware vSphere 4」を「クラウドOS」と位置付けて発表するなど、クラウドの分野においてもその影響力を拡大しつつある。

企業内と外部クラウドを相互に連携、「ハイブリッドクラウド」に向かうVMware

VMwareでは、クラウドコンピューティングを「サービスとして提供される、オンデマンド型で管理が容易な仮想インフラストラクチャによるコンピューティング」と定義している。ヴイエムウェア ストラテジックアライアンス テクニカルアライアンスマネージャの名倉 丈雄氏は、まず、その基盤となる同社の仮想化技術を紹介した。

その1つが、ある物理サーバで稼働中の仮想マシンをそのままダウンさせずに別の物理サーバに移動させるという「VMotion」だ。VMwareでは2003年よりVMotionの機能を提供。もちろん、最新版の「VMware vSphere」にも実装されている。ストレージ版の「Storage VMotion」やネットワーク版の「Network VMotion」も幅広く利用されており、遠隔拠点間でのVMotionを実現する「Long Distance VMotion」では、最大200km離れたデータセンター間でのライブマイグレーションも行えるという。

VMotionによってリソースを効率的に利用することが可能となるが、その機能をさらに強化し、自律的に仮想マシンを移動させる技術が「VMware DRS」と「VMware DPM」だ。VMware DRSは、複数の物理サーバおよび仮想マシンで構成されるシステムの負荷状況に応じて、自動的に仮想マシンを再配置する機能。負荷を平準化することで、全体的なパフォーマンスを最適化できる。一方、VMware DPMは低負荷時に仮想マシンを少数の物理サーバに集約し、空いた物理サーバの電源をパワーオフする。これにより、平均約20%の電力を削減できるそうだ。

クラウド技術の標準化を推進、今後はPaaS領域にも注力

続いて名倉氏は、VMwareが考えるクラウドの方向性について説明。

「我々が目指しているのは、ITリソースがどこにあるのかを問わずに、必要なサービスをオンデマンドで利用できる環境。企業内のプライベートクラウドと外部のパブリッククラウド間をシームレスに連携して利用できる『ハイブリッドクラウド』こそが理想と考えている」

ハイブリッドクラウドが実現すれば、たとえば、社内(プライベートクラウド)でリソースが不足したときは一時的にパブリッククラウドに切り替えるといった柔軟な運用も可能になるだろう。その際に、VMotionの技術を活用して仮想マシンごとアプリケーションを移動させれば、サービス自体はノンストップで利用することができる。

ただし、そのためには異なるクラウド環境間のインターオペラビリティを確保しなければならない。そこで、VMwareでは、クラウド環境における相互運用性を高める共通のAPIとして「vCloud API」を策定し、ITシステムの標準化団体であるDistributed Management Task Force(DMTF)に標準化草案として提出するなど、クラウド技術の標準化にも積極的に取り組んでいる。

なお、VMwareはオープンソースのJavaフレームワーク「Spring Framework」の開発元であるSpringSourceを2009年に買収しているが、Springの技術がクラウドでどのように活かされるのかも気になるところだ。名倉氏は、最後にその点についても簡単に触れた。

「これまでは主にVMware vSphereで、いわゆるIaaS(Infrastructure as a Service)の基盤技術を提供してきた。そのインフラ上に、SpringSourceが提供するフレームワークやアプリケーションサービスを組み合わせることで、今後はPaaS(Platform as a Service)の領域も強化していく」

さらに、VMwareは2010年にメール・コラボレーションソフト企業のZimbraを買収したことによって、SaaS(Software as a Service)の提供も可能となった。IaaS、PaaS、SaaSをカバーするクラウドベンダーとしての今後の動向にも注目したい。

図1:VMware vSphereをベースとしたIaaS上にSpringSource製品を組み合わせ、PaaS領域をカバーする
問い合わせ先
ヴイエムウェア株式会社
〒105-0013
東京都港区浜松町1-30-5
浜松町スクエア13F
URL: http://www.vmware.com/jp/
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