コードジンのヘッダーが入ります Developers Summit 2010

アトラシアン

【18-C-4】ドッグフーディングとアジャイル開発
アトラシアン ビジネスデベロップメントスペシャリスト 大澤 俊介 氏

デブサミ1日目、アトラシアンによる「ドッグフーディングとアジャイル開発」と題されたセッションでは、アジャイルに適したツール自体をアジャイルで開発するアトラシアンで、コードレビューなどのプラクティスがどのように実践されているかなどが、デモを交えて紹介され、開発者の注目を集めていた。

アジャイル開発によるショートリリース

2002年にオーストラリアで設立されたアトラシアンは、従業員わずか200名の小さな会社ながら、東京のほかシドニー、サンフランシスコ、アムステルダムと世界各地に拠点を持つ。138カ国、15,600以上の顧客に、ソフトウェア開発ツールを手頃な価格で提供し、約40億円(2009年度)の売上をあげている。VCからの投資を一切受けておらず、利益を出し続けており財務状況が非常に良好な企業だ。

主要製品には、課題追跡・プロジェクト管理「JIRA(ジラ)」と、エンタープライズウィキ「Confluence(コンフルエンス)」があり、創業者によると「(強いて言えば)会社設立1日目」からアジャイル手法で開発されている。今回のセッションではとくに「Confluence」開発における一連のアジャイルプロセスのうち、「リリースサイクル」と「コードレビュー」の2点に絞って紹介された。

アトラシアン製品は、リリースとリリースの間隔が短い「ショートリリース」である。これは市場動向をつかみやすく、顧客からのフィードバックを得やすいメリットがある。またサイクルを短くするためにアジャイルで開発せざるをえないという面もある。

このほか、社内に向けて月に1度のペースで、開発途中のマイルストーンがリリースされ、社内のウィキシステムとして実際に利用される。もちろんまだバグがあり、講師のアトラシアン ビジネスデベロップメントスペシャリスト大澤俊介氏によると「私の感覚だと一日に一回くらいは止まります」と言う。

なぜわざわざそのような不便な思いをするのか。それは、顧客にリリースしてからバグがわかるより、社内で発見したほうが何十倍も良いという考え方からだ。新機能については、社内ユーザーからの早いフィードバックを製品に反映することもできる。これが「ドッグフーディング」なのだ。

アジャイル開発に社内で活躍する自社製品

アトラシアンでは、さらに定期的なリリースを目指しており、今年は98日(14週)を1つのサイクルとし、約四半期毎に製品をリリースする。1つのイテレーション(反復)が2週間で構成されており、イテレーション毎にドッグフーディング用のマイルストーンがドロップされる。これを5イテレーション繰り返して、11週目に製品がリリースされる。

イテレーションの期間は、プランニングにはじまって振り返りで終わる。これをきちんと管理するのが自社プロダクトの「JIRA」である。とくにプランニングでは、仮想的なビジュアルインデックスカードが活用される。これはJIRA用のプラグイン「GreenHopper」の機能で、チームでプランニングボードを共有し、そのイテレーションで実現するタスクをドラッグ&ドロップでアサインできる。

続いてコードレビューについて重要なのは、できるだけ頻繁に実施するという点だ。継続的インテグレーションと同様のメリットがあるため、「継続的コードレビュー」などと呼ぶこともある。後回しにした結果コードレビューを実施する時間がなくなる、などの問題を回避できる。

開発拠点が分散しているアトラシアンでは、記録が残り非同期で実施できるオンラインコードレビューを活用している。レビューの量と質を増加させるため、自社で「Crucible(クルーシブル)」という製品を開発した。コードの中に直接コメントを打ち込んでレビュワーと開発者が会話でき、そのままJIRAにチケットを発行することもできる。

こういったノウハウや情報はブログTwitter、さらに開発の様子までパブリックJIRAで公開されている。また、日本でもユーザー会活動が始まっており、最初の段階ではかなり導入の敷居とコストが低いという印象を受けた。

図1:98日サイクルでリリースを繰り返していく
問い合わせ先
アトラシアン
〒101-0022
東京都千代田区神田練塀町73番地
プロミエ秋葉原 11階
TEL: 03-3526-5254
FAX: 03-3526-5253
URL: http://www.atlassian.co.jp
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