テクノロジー教育の現状、重視されている3つのポイントとは?
まず横山氏は、学生向けテクノロジー教育の現状について、次の3つのポイントが重視されていると解説した。
- ICT人材の登用・育成や産学連携といった実践
- 教育現場におけるICTの環境整備や活用
- 「データサイエンス領域への注力」が主要トピックの1つ
横山氏が東京大学で実施した授業では、この3点を踏まえた内容を展開。民間企業の取引データの提供を受け、プログラミング未経験の学生たちがチャットAIのサポートを受けながらPythonを駆使してデータ分析とプレゼンテーションを行なった。授業内容について横山氏は「今のテクノロジー教育の潮流のど真ん中といえる取り組みだ」と振り返る。
授業には、東京大学経済学部の3、4年生14人が参加。週1コマ(105分)を3カ月間設けた。期間の前半ではプログラミングやデータ分析、Pythonの基礎、計量経済分析について学び、後半では、リアルなデータ分析を実践し、成果発表を行なった。
学習教材には、基本的に公開されている学習コンテンツや授業で扱っている教科書を活用した。授業で学生たちが分析したデータは、複数のネットショップを管理するツールを展開しているNE株式会社が提供したもの。EC市場13.2兆円のうち1兆円を超える流通データを保有しており、一部をマスキングした状態で活用した。また、天気や気温、カレンダーなどのオープンデータも参照した。
今回の授業のポイントとして横山氏が挙げたのは、「インフラ知識が不要で、情報系の学生ではなくてもデータ分析に挑戦できる」「クラウドで完結するため、サンプルコードの受け渡しや学生の分析内容確認・エラー再現ができる」「チームごとにNotebookのインスタンスを構築し、複数人でリアルタイムに共同編集する」ことだ。
「以前の学生の環境だと、手元のPCに分析ソフトをインストールして各自実行するしかなかった。その頃に比べると作業がやりやすく、テクノロジー教育の最前線といえる」(横山氏)