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【デブサミ2016】19-C-6レポート
非エンジニアの窓口担当者がChatOpsで検証環境を構築、エンタープライズITでのチャット活用

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2016/04/15 14:00

 企業システム向けのパッケージソフトやクラウドサービスを開発するドリーム・アーツ。国内2か所と中国・大連の計3か所に開発拠点を有し、総合問い合わせ窓口を沖縄の拠点に集約している同社では、自社製品の保守サポート体制に課題を抱えていた。顧客から不具合等の問い合わせを受けた沖縄の窓口担当者は、確認事項などを開発拠点に報告して指示を仰ぐが、複数拠点にエスカレーションされることで「問い合わせへの回答に時間がかかってしまう」、あるいは、開発拠点で不具合が結局再現できずに「顧客の問題が解決しない」といったケースが頻出。顧客満足度の低下を招いていたという。こうした状況を改善するために同社が実践した、ChatOpsやクラウドインフラの活用、新たなサポート対応フロー、およびそれらの成果について、2015年より同社CTOを務める石田健亮氏が紹介した。

目次
ドリーム・アーツ 最高技術責任者(CTO) 石田健亮氏
ドリーム・アーツ 最高技術責任者(CTO) 石田健亮氏

エンタープライズ向けプロダクトならではの悩みとは

 システム構築と自社プロダクト開発の2つを事業の柱とするドリーム・アーツ。自社プロダクトとしては、大企業向けEIP型グループウェア「INSUITE」、BPM型Webデータベース「ひびきSm@rtDB(スマートDB)」、多店舗運営支援用コミュニケーションツール「Shopらん」などがよく知られ、国内有数の大企業・団体等への豊富な導入実績を持つ。

 「自社プロダクトと言っても、事業領域はエンタープライズIT。一つひとつシステムを作り上げていくSIerの皆様もいろいろと苦労されていると思うが、プロダクトメーカーとしての我々も悩みは尽きない」と石田氏は語り、「エンタープライズプロダクトの悩み」として次の3点を挙げた(※順位は石田氏個人の感覚による)。

  • 第1位:保守が困難
  • 第2位:UIを変えにくい
  • 第3位:ブラウザが古い

 まず、「ブラウザが古い」という悩みについて、石田氏はある製品のサーバのログ(2016年2月時点)からユーザーエージェントの集計結果を紹介。それによると、ブラウザはIE(Internet Explorer)8が最も多く、29%を占めていた。IE8はWindows XPが最後にサポートしていたバージョンであり、IE6も5%含まれていたことから、石田氏は「Windows XPを使われているお客様もまだまだ多い。これがエンタープライズの現実」と指摘。

 「UIを変えにくい」悩みについては、ある製品のバージョンアップ時にボタンの位置が「1ピクセルずれていた」という事例を紹介。見た目にはわからないレベルの違いだが、実際に「社内用のマニュアルでキャプチャをすべて撮り直さなければならない」というクレームにつながってしまったという。

 「市場やお客様のニーズに応えていくためにも機能強化・追加などのバージョンアップは必須だが、なるべく旧バージョンと見た目が変わらないようにしなければならない。この事例のように“なるべく”というのが場合によっては“1ピクセルもずれないこと”を意味することもあり、慎重な対応が必要」(石田氏)

 第1位の「保守が困難」という悩みについては、石田氏はいくつかの理由を提示した。1つは、オンプレミス環境が多いこと。最近ではエンタープライズシステムでもクラウドが増えてきたとはいえ、大多数は旧来のオンプレミス。顧客のサーバに自社製品をインストールすることになるが、“ファイアウォールの向こう側”で動いているため、ログ一つ取得するのにもかなりの手間がかかってしまう。

 カスタマイズが多いことも理由の一つ。パッケージソフトを“素のまま”入れて使うことは稀で、顧客の業務に合わせたきめ細かなカスタマイズやアドオンによる機能追加を実施する場合が多い。当然そこまでは想定内なのだが、顧客側での「野良カスタマイズ」や「魔改造」のような想定外のことも多々起きているという。

 そして、もう一つ大きな理由として挙げられるのが、多数のバージョンが存在すること。ドリーム・アーツでは、製品のリリースから6年間をサポート対象期間としている(この間に何か不具合等があれば、パッチリリースやアップデートリリースに対応)。そのため、同じ製品でもさまざまなバージョンが実際に使われている。

 「『INSUITE』と『ひびきSm@rtDB』について、細かいマイナーバージョンアップも含めて6年間でどれくらいあるのか数えてみたところ、およそ100バージョン(!)あった。これだけのバージョンを保守していくのは、やはり大変な負荷がかかる」(石田氏)

「INSUITE」と「ひびきSm@rtDB」は、およそ100バージョンがサポート対象(リリースから6年間)となっている
「INSUITE」と「ひびきSm@rtDB」は、およそ100バージョンがサポート対象(リリースから6年間)となっている

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