執筆フェイズ
小説を書きます。映画で言うところの、撮影に相当する作業です。
視点を決め、その視点で物語をレンダリングしていきます。また、読者の脳に、どういった驚きや興奮を与えるかを想定しながら、文章をコーディングしていきます。執筆フェイズは、詳細プロットに小説的な肉付けをしていく作業になります。
その際に、より面白くなるアイデアが見つかれば、設計フェイズに戻り、内容をアップデートします。以降、どのフェイズでも、よりよい改良点が見つかれば、どんどん内容のアップデートをかけていきます。
執筆フェイズの作業ツールは、以下のように変遷していきました。
- 初期:テキストエディタ 横書き設定(秀丸エディタ)。
- 中期:テキストエディタ 縦書き設定(O's Editor2)。
- 最近:テキストエディタ 横書き設定(秀丸エディタ)+小説用シンタックスハイライト。
初期の頃を除き、かなり長い期間、縦書きテキストエディタを使っていました。これは、最終出力の紙が縦書きだからです。それに合わせて、画面の見栄えも調整していました。
しかし、ここ数年、少し老眼が入ってきたため、画面の縦幅に1行の文字をレイアウトすると、非常に見づらくなってきました。縦に長いモニターを用意するのは、あまり現実的ではないため、横書きに変更して、文字のサイズを大きくしました。
横書きにしましたが、1行の文字数は紙と同じにしてあります。縦横の向きの違いはあれ、可能な限り、最終出力に近付けています。
また、横書きにした頃から、小説用シンタックスハイライトというものを独自に作りました。具体的に言うと、「漢字、カタカナ」「平仮名」「読点、カギ括弧」「句点、記号」を別の色で表現するというものです。正規表現を使えば実現できます。
こうすることで、漢字と平仮名の比率を、色で可視化できます。また、句読点やカギ括弧の対応などを、色で認識できるので、とても分かりやすくなります。プログラムのシンタックスハイライトの応用です。
また、人物名や特殊な用語などは、IMEに単語を登録して、簡便に呼び出せるようにしています。小説の文章も、プログラムのコードと同じように、入力を簡単にして、エラーを減らす工夫をしています。
推敲フェイズ
推敲フェイズは、映画で言う、ポストプロダクションに相当するものです。この推敲フェイズは、小説をより面白く、より読みやすくするための作業になります。
この推敲フェイズでは、文章を改良するだけでなく、文章の削除、追加、入れ替えなどを必要に応じて行います。自分の書いた文章に執着せず、読書体験を改良するために全力を傾けます。
推敲フェイズが、小説執筆の本番と言っても、過言ではありません。
推敲フェイズ1 - モニター推敲
執筆が終わった段階で、始めて物語を通して確認できるようになりました。その全体の文章を、モニターで確認していき、小説として読める体裁を整えます。
初稿は、映画のラッシュフィルムと割り切ります。編集素材と見なして、この段階で文章を大幅に削除したり追加したり差し替えたりします。
このモニター推敲は、初期の頃は10回ぐらいでしたが、最近は3~4回ぐらいに落ち着いています。これは、初稿の時点での、小説としての精度が上がったためです(今後は、初稿時点での精度をもっと上げるのが課題)。
このモニター推敲では、多くの場合、文章量が10~20%増大します。不足している描写や表現を補うためです。