こんにちは、dotstudio株式会社でエンジニアリングを担当しているうこ(@harmoniko)です。
IoTは「あらゆるモノがインターネットにつながる」という意味のワードですが、もしもほとんどのモノが有線でインターネットに繋がるようになったら、ケーブルだらけで大変なことになりそうですよね。できることなら無線を使いたいですが、無線通信をどのように始めたらいいのかわからない、というエンジニアの方は少なくないと思います。
そんな今回紹介するのは「XBee(エックスビー)」と言われる無線用の小型モジュールです。「ZigBee(ジグビー)」規格を用いて無線通信をおこなえます。
XBeeとは
XBeeは、ZigBee規格に対応した無線モジュールのひとつで、米国Digi International社の製品です。日本で利用できるもの(技適取得済製品)は、Wi-FiやBluetoothと同じ2.4GHzの電波帯を利用するモデルのみとなっています。モジュールに関する設定はすべてパソコンの専用ソフトウェア上から行うことができ、無線通信の初心者でも比較的簡単に取り扱うことができます。もちろん、電波法に関する免許などを使用者が気にする必要はありません。
XBeeにもバージョンやアンテナ形状によっていろいろ種類がありますが、今回使うのは「Pro ZB」の「ワイヤーホイップアンテナ」タイプ。個人的には最も使いやすいモデルです。仕様は以下の通りです。
XBee
- 正式名称:XBee-Pro ZB(S2B)
- サイズ:33mm x 25mm
- 電源電圧:2.7?3.6V
- 電波帯:2.4GHz
- 通信速度:250kbps
- 屋内通信距離(最大):60m
- 屋外見通し通信距離(最大):1.5km
- シリアル通信:3.3V LVCMOS
- デジタル入出力:10ピン
- アナログ入力:4ピン(10ビットADC)
- 暗号化:128ビットAES
500円玉よりもわずかに大きいものですが、なんと暗号化までサポートしているんです。何台もつなげるメッシュネットワークの構築には少しだけコツが必要ですが、2台でデータを送受信する、いわゆるP2P通信はすぐに試すことができます。
XBeeとZigBeeについて
ZigBeeは近距離無線通信規格のひとつで、「Wi-Fi」や「Bluetooth」のような「規格名称」です。物理層・データリンク層はIEEE 802.15.4に準拠しており、それ以上はZigBeeアライアンスによって策定されています。通信速度はあまり速くはないものの消費電力が非常に低く、数百台を超えるZigBeeノードを抱える大規模ネットワークの構築に適しています。
Wi-FiやBluetoothと比較した利点
同じ2.4GHzの電波帯を利用する規格としてはWi-FiやBluetoothがあり、こちらのほうが既製品に多く採用され普及しています。ではZigBeeを使うことのメリットはというと、以下の点があげられます。
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消費電力がとても低い
- スリープ時の待機電力はBluetoothより低い
- スリープ時とデータ送信時の切り替えに要する時間は数10ミリ秒
- スリープをうまく活用すればボタン電池で半年以上稼働させることも可能
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大規模なネットワークを構築することができる
- 最大65535ノードが参加するメッシュネットワークを作成可能
- ネットワークトポロジーは自由に設計できる
特に、複数台の機器と同時接続してデータを送受信するというのは、ほかの無線規格ではかなり難しいですが、ZigBeeならすぐにできてしまいます。例えば、大量の小型機器をまとめて管理・制御したいといったときに絶大な力を発揮します。
それではさっそく、Xbeeでの無線通信に挑戦していきましょう。