Shoeisha Technology Media

CodeZine(コードジン)

記事種別から探す

誤字チェックや画像判別までできる、人工知能API「A3RT」がつくるオープンイノベーションの流れ

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2017/07/20 14:00

 2017年3月、株式会社リクルートテクノロジーズは、人工知能を活用したAPI群をリクルートグループ外へ無償公開しました。プロダクトの名は「A3RT(アート)*」。これは機械学習ソリューションを活用する敷居を下げ、スピーディ&低コストで施策への導入ができるよう開発されたAPI 群です。同社がA3RTを外部公開するに至った理由は何だったのか。そして、今後はどのような展望があるのか。同社でA3RTプロジェクトの責任者を務める石川信行さんと、インフラオーナーである松田徹也さんにお話を伺いました。

目次

* A3RT……「ANALYTICS ARTIFICIAL INTELLIGENCE API VIA RECRUIT TECHNOLOGIES」の略称。

実現したかったのは「データ蓄積」と「オープンイノベーション」

――リクルートテクノロジーズでは、APIをグループ外へ公開するケースは非常に珍しいとお聞きしました。A3RTを外部公開したのはどうしてなのでしょうか?

石川 その理由は2つあります。1つ目は、「多種多様なデータパターンを蓄積することで、それをプロダクトの機能向上につなげたかった」からです。機械学習は、インプットが多ければ多いほど精度が上がっていきますから。他社の例を挙げると、Google翻訳はユーザーに良質な機能を提供し、多くの人に使ってもらうことで大量のデータを集めました。そして、蓄積されたデータを用いてプロダクトの精度を上げ、リニューアルしてさらに良いプロダクトになりました。そういった好循環をA3RTでも実現したかったんです。もう1つの理由は、海外企業で近年流行しているオープンイノベーションの流れを日本でも作りたかったからです。

――オープンイノベーションとは、どういった概念なのでしょうか?

石川 自社だけでなく、他社や他の共同体などが持つサービスやノウハウ、データなどを組み合わせることでイノベーションを起こそうとする考え方です。海外の事例を挙げると、Facebook、Google、Microsoft、Amazon、IBMの5社が共同で、AI普及を目指す非営利団体を設立しました。このように、企業の垣根を超えて特定の分野の発展を目指すことは、海外では当たり前になっています。しかし、日本ではまだまだその考え方が普及していないのが実状です。

 でも、私たちが率先してその流れを生み出せば、他社もそれにチャレンジしてくれるかもしれませんし、興味を持ったユーザーがAI開発に取り組んでくれるかもしれません。そうなれば、日本におけるAI開発は一過性のブームでなく、地に足のついた技術になってくれるかもしれない。私たちはそう考えているんです。

株式会社リクルートテクノロジーズ ビッグデータ部 ビッグデータプロダクト開発グループ グループマネジャー 石川信行さん

外部公開にあたり、API仕様の統一化を進めた

――外部公開するにあたって、グループ内のみで使われていたときと比べてインフラ構成やAPI仕様を変更した部分はありますか?

松田 インフラ構成に関して言うと、急激なアクセスの増加に耐えられるようにスケーラビリティを持たせました。グループ内のみで使われている場合だと、予期せぬアクセスの増加というのは基本的にほぼありません。APIを使用するサービスは把握していますから「だいたいこの時間にアクセスが増加するだろうな」ということが予想できるためです。しかし、社外だとそうはいきません。どのくらいのユーザーがどれだけのリクエストを投げるのかが全く予想できなくなるので、急な負荷増に耐えられるようインフラを整備しました。また、それに加えてAPI仕様も統一化を進めたんです。

――“統一化”とは、具体的にはどのようなことですか?

松田 もともとこれらのAPIは、URIの規則や、呼び出すときのパラメータの渡し方、戻り値のルールなどが各API間で統一されていない部分がありました。加えて、共通のAPIを使用していてもロジック内部で事業部ごとにAPIの返り値を微妙に変えているようなケースもあったんです。そのままではグループ外に公開した際に問題が出てしまうため、APIの規約をつくり、仕様を揃えていったという感じですね。


  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

  • 中薗 昴(ナカゾノ スバル)

     大学卒業後、システムエンジニアとして8年ほど勤務。その後、編集者・ライターへとへキャリアチェンジ。  エンジニアとして培ったテクノロジーへの理解やリサーチスキル、ビジネススキルなどを強みに、テクノロジー・ビジネス系メディアの編集・執筆を得意とする。

バックナンバー

連載:プロダクト担当者インタビュー
All contents copyright © 2005-2017 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5