DevOpsの改革プロセスをビジネスの世界にも積極的に応用
初めに登壇したアトラシアンの新村氏は、自社のツールを「企業のチームのコミュニケーションおよびコラボレーションを支援し、あらゆるチームの可能性を解き放つもの」と説明する。これまでも情報共有やアジャイルなど、時代の要求に応えるさまざまなツールをリリースしてきた同社が現在重要なテーマの一つとして掲げているのが、「DevOps」だ。
言うまでもなくDevOpsとは、開発担当者と運用担当者が連携しながら、ユーザーとデベロッパー双方の視点にもとづいて最適化されたソフトウェアやサービスの実現を目指す開発手法である。
計画・設計から開発、運用、結果のフィードバックといった一連のサイクルの中で、開発プロジェクトに関わる全員が常に情報を発信し、参照しあうプロセスを通じて、製品はよりユーザーの要件に合致したものへと磨き上げられていく。アトラシアンでは近年、このDevOpsにおけるソフトウェア開発のPDCAサイクルを、ビジネスの世界に転用していく試みを積極的に進めているという。
新村氏は、「働き方改革、すなわちこれまでのむだが多く合理性に欠けた働き方を、より賢くスマートに変えていくためには、ツールを導入するだけでは十分ではありません。私たちは、働き方やビジネスの本質、すなわち企業文化そのものを変えることがもっとも重要だと認識しています」と語る。
ではその「企業文化の変革」のキーとなるものは何だろう。新村氏によると「異質なものを受け入れる姿勢」だという。事実、アトラシアンではここ数年、積極的にさまざまな国や文化を背景に持つ人々を社員に加えてきた。だがこれは、同社が成長期にあり、従業員を増やし続けるフェーズにあってこそ実現できたものだ。日本の多くの企業にとって、人材の流動性を高めたり、従業員規模を継続的に拡大したりすることは難しい場合もある。
「そこで、いきなり人を変えるのではなく、企業のコラボレーションやコミュニケーションを支援するITツールを導入し、その展開を推し進めていくことが、企業文化の変革にチャレンジする上では賢明な選択肢の一つになりえます。今回のNRIのトライアルは、まさにその好例といえるでしょう」(新村氏)