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AIエンジニアとして活躍するために必要なスキルとは? 人材育成の第一人者が語る

「AI Innovators Meetup Day」パネルディスカッション「AI時代に必要とされるスキルの変化と求められる人材育成のあり方」レポート

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AI人材のための教育体制、仕組みをどう整備する?

吉田:ところで日本ディープラーニング協会では資格試験を実施しています。この試験では何を見極めようとしているのでしょう。

巣籠:日本ディープラーニング協会はディープラーニングの正しい知識を身につけてもらうため、資格試験の実施、および東京大学の松尾研究室主体による教育コンテンツの提供に取り組んでいます。

 資格試験には「G検定(ジェネラリスト検定)」と「E資格(エンジニア資格)」があり、前者はビジネスパーソン向け、後者がエンジニア向けです。

 G検定ではクライアントや社内のエンジニアと会話ができるなど、AIを事業活用できる知識レベルを身につけることを目標としています。昨年末に試験を実施し、合格率は58%でした。

 E資格は教育講座の受講を前提とする試験で、いわば自動車教習所のイメージです。今はそのための教育事業者の認定作業を進めています。E資格はレベルが高く、ディープラーニングのコモディティを作れる程度のレベルを目指しています。人工知能の歴史などを交えつつ、機械学習、深層学習をメインに学びます。

吉田:数学やPythonの授業などもあるのでしょうか。

巣籠:数学は必須です。実装はPythonで行います。

吉田:グリッドではどういった人材を求めているのでしょうか。

曽我部:以前は有名大学を卒業した、情報工学や数学のエキスパートを採用する取り組みをしていました。しかし、そんな人材がたくさんいるわけではありません。最近は通常のエンジニア採用に切り替え、教育研修システムやフレームワークの整備に注力しています。

 もちろんGPUの計算など、一部の人には特殊な能力が必要でしょう。ですが、実際のプロジェクトとなると、基本的なビジネススキルを持つ人に教育さえすれば十分、AI人材として活躍できます。10年、20年とキャリアを積んだエンジニアにトランスファーしてもらうのが理想です。

吉田:グリッドではAI人材を育成できるシステムができているということですね。富士通ラーニングメディアではいかでしょう。

パネルディスカッションの模様
パネルディスカッションの模様

木下:私たちは5年前から「ビッグデータの時代」というキーワードのもと、データサイエンティストを育成するコースの充実を図ってきました。データサイエンスをするには「データ解析スキル」「ICTスキル」「ビジネススキル」の3つが必要です。これらはAI人材においても変わらず求められるものでしょう。

 さらにAI人材の場合、加えて「アルゴリズム」や「実装」のスキルも必要になります。特にディープラーニングは、人による意思決定の支援ではなく、コンピュータによる意思決定であり解釈しにくい技術なので、その基礎をしっかり理解していただくための教育体系も整備しています。

分析のアウトプットの活用マトリックス
分析のアウトプットの活用マトリックス

吉田:ディープラーニングは実際に活用し、予測することが重要になるため、「結果が出るならそれで問題ない」といった側面もあります。体系立てて学ぶよりも、「ディープラーニングを実施するために必要な知識だけを教えてほしい」などのニーズもあるかと思います。簡易的に学べるコースはないのでしょうか。

木下:「体験ディープラーニング」のコースがありますが、操作だけ学んでも本当にディープラーニングを活用できる人材は育たないでしょう。データについても一通り学んでほしいですね。

吉田:ハイパーパラメータを修正する際に、その部分の数式を知らなければいけないなど、後から必要性がわかってくることもありますよね。

ディープラーニングを始めるための一歩はここから

吉田:ではディープラーニングをこれから始めるとして、まず何をやるべきでしょうか。

巣籠:手始めにやるのであれば、画像領域から取り組むといいでしょう。画像は精度が出るため自信につながるはずです。

曽我部:私たちは「ReNom.jp」というWebサイトで、AI開発に必要なスキルセットを解説とソースコード含めて公開しています。こちらをぜひ、参考にしてください。

 また、会社の中で人材育成を検討しているのであれば、最低3人以上のチームで学ばせることをお勧めします。1人だと心が折れてしまいますが、3人集まればお互いに意見交換したり、わからないことを補完し合ったりできます。

 さらに、コーチを置いてください。わからないときに相談に行ける環境を整備するとチームとして機能し、最終的にはそのメンバー一人ひとりが次の人材を育成することができます。

 そしてもう一点大事なことは、研修で学んだことをドキュメントにさせたり、人に説明させたりすることです。学んだことを人に説明する環境を作ると伸びるはずです。

木下:AIで何ができるのか、まず身体から覚えていくことが大事だと思います。企業にはぜひ、学んだことを生かせる環境を作ってもらいたいですね。富士通ラーニングメディアでは巣籠さんによるディープラーニングの基礎講座、実践講座をはじめ、AI活用人材を育成するさまざまな講座を展開しています。ぜひ、活用してほしいと思います。

AIを体験して学習できる講座を開講!

 現在の第3次AIブームをけん引するディープラーニング。こちらをビジネスに活用するためには、ディープラーニングの可能性と限界を正しく理解した上で、システムやサービスの企画・開発を推進する必要があります。

 富士通ラーニングメディアでは、富士通のディープラーニング「Zinraiディープラーニング」の画像認識を実際に体験することで作業イメージをつかんで頂く講座、パネルディスカッションにも登壇した巣籠氏を講師に迎え、ディープラーニングの理論と実装を習得する講座を提供します。

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

篠部 雅貴(シノベ マサタカ)

 フリーカメラマン 1975年生まれ。 学生時代、大学を休学しオーストラリアをバイクで放浪。旅の途中で撮影の面白さに惹かれ写真の道へ。 卒業後、都内の商業スタジオにカメラマンとして14年間勤務。2014年に独立し、シノベ写真事務所を設立。雑誌・広告・WEBなど、ポートレートをメインに、料理や商品まで幅広く撮影。旅を愛する出張カメラマンとして奮闘中。 Corporate website Portfolio website

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/10752 2018/04/19 15:19

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