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「ActiveReportsJS」ではじめるフロントエンド帳票開発(AD)

さまざまなグラフを帳票に表示できる「ActiveReportsJS」のチャート機能

「ActiveReportsJS」ではじめるフロントエンド帳票開発 第4回

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 本連載では、WebブラウザのJavaScriptで帳票を出力できるグレープシティのライブラリ「ActiveReportsJS」を活用した帳票アプリの開発を、複数回に分けて紹介しています。前回はTablixレポートコントロールを利用してデータのクロス集計を行う方法を説明しました。今回はさまざまなグラフを帳票に表示できるChartレポートコントロールの利用法を紹介します。

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はじめに

 グレープシティのJavaScriptライブラリ「ActiveReportsJS」は、サーバー側処理ではなく、WebブラウザのJavaScript処理で帳票を出力できるライブラリです。本連載では、ActiveReportsJSの活用法を複数回に分けて紹介しています。

 グラフを帳票に表示すれば、データを視覚的に把握できる、表現力豊かな帳票を作成できます。ActiveReportsJSでは、グラフを表示するChartレポートコントロールが提供されます。Chartレポートコントロールを帳票に配置してデータを設定すると、棒グラフや折れ線グラフなどを帳票に表示できます。

 本記事では、Chartレポートコントロールでさまざまなグラフを帳票に表示する方法を、サンプルとともに説明していきます。

対象読者

  • Webページに帳票出力機能を実装したい方
  • 帳票にグラフを表示したい方
  • 視覚にアピールできる帳票を作成したい方

必要な環境

 本記事のサンプルコードは、以下の環境で動作を確認しています。Node.jsは、ActiveReportsJSの動作に必ずしも必要ではありませんが、ローカルでWebサーバーを動作させるために利用しています。

Windows 10 64bit版

  • ActiveReportsJS 1.2.0
  • Microsoft Edge 85.0.564.44
  • Node.js v12.18.3 64bit版

 サンプルコードを動作させるには、ActiveReportsJSのトライアル版が必要になります。公式ページからダウンロードしてください。トライアル版のZipファイルから、distフォルダーの内容をサンプルコードのactivereportsjsフォルダーにコピーします。次に「npm install」コマンドを実行してライブラリをダウンロード後、「npm run start」コマンドを実行すると、Webブラウザが開いてWebページが表示されます。

単純な棒グラフでChartレポートコントロールを体験

 最初に、単純な棒グラフを表示する図1のサンプルで、Chartレポートコントロールの基本的な利用法を説明します。このサンプルでは、携帯電話ショップの各月の販売台数を想定して、横軸に各月(5月~8月)、縦軸に販売台数を設定して棒グラフを表示します。

図1 Chartレポートコントロールで表示した棒グラフ(p001-basic)
図1 Chartレポートコントロールで表示した棒グラフ(p001-basic)

 図1の棒グラフを表示する元となるデータは、リスト1のJSONファイルです。月ごとに、携帯電話会社A社/B社/C社の販売台数と、合計の売上額を記述します。なお、実際のJSONファイルにはコメントを入れられませんが、本記事では便宜上コメント形式でデータ項目の説明を記述します。

[リスト1]図1の元データとなるJSONファイル(p001-basic/report-data.json)
[
  {
    "date": "5月",      // データの月
    "count_a": 32,      // A社の販売台数
    "count_b": 10,      // B社の販売台数
    "count_c": 12,      // C社の販売台数
    "sales": 1500000    // 売上額
  },
(略)
]

 まず、このファイルを帳票の「データソース」に登録して、そこから「データセット」を作成します。詳細な手順は過去記事を参照してください。今回はデータ項目名をチャートに表示するため、データセットの作成時に、図2の通りデータ項目に名前を設定しておきます。

図2 データセットのデータ項目に名前を設定(p001-basic/p001-basic.rdlx-json)
図2 データセットのデータ項目に名前を設定(p001-basic/p001-basic.rdlx-json)

 帳票デザインにデータソース・データセットを設定後、画面左側のコントロールリストから「Chart」をデザイン面にドラッグアンドドロップして配置します。ここで画面左側の「エクスプローラ」をクリックして表示させると、帳票に配置されたレポートコントロールの構造が階層表示され、Chartレポートコントロールの構成要素を表示できます。

図3 エクスプローラでChartの要素を表示(p001-basic/p001-basic.rdlx-json)
図3 エクスプローラでChartの要素を表示(p001-basic/p001-basic.rdlx-json)

 グラフを表示するには、Chartレポートコントロールの「プロット」にデータ系列を設定します。エクスプローラで「プロット - プロット1」をクリックして選択後、画面右のプロパティから「値」を選択して項目を追加します。追加した値の右側に表示されるアイコンをクリックすると、値の設定ができる画面が表示されるので、A社の販売台数に対応する「A社」を選択します。

図4 グラフに表示するデータを設定(p001-basic/p001-basic.rdlx-json)
図4 グラフに表示するデータを設定(p001-basic/p001-basic.rdlx-json)

 次に、表示するデータを分類するカテゴリを指定します。「エンコーディング」の「カテゴリ」で項目を追加して、「月」を選択します。

図5 「カテゴリ」で「月」を選択(p001-basic/p001-basic.rdlx-json)
図5 「カテゴリ」で「月」を選択(p001-basic/p001-basic.rdlx-json)

 ここまでの設定で棒グラフ自体は表示されますが、以下で表示を整えていきます。まず、X軸、Y軸、ヘッダ部の文言を設定します。エクスプローラで「X軸」「Y軸」を選択して「タイトル」、「ヘッダ」を選択して「キャプション」に、それぞれ文言を入力します。

図6 ヘッダの文言を設定(p001-basic/p001-basic.rdlx-json)
図6 ヘッダの文言を設定(p001-basic/p001-basic.rdlx-json)

 次に、Y軸の表示範囲と目盛りの間隔を調整します。「Y軸」を選択して「スケール」の「最小値」と「最大値」、「主グリッド線」の「主グリッド線の間隔」を図7の通り設定します。

図7 Y軸の表示範囲と目盛りの間隔を調整(p001-basic/p001-basic.rdlx-json)
図7 Y軸の表示範囲と目盛りの間隔を調整(p001-basic/p001-basic.rdlx-json)

 なお、上記ではエクスプローラを利用してChartレポートコントロールの要素を選択しましたが、デザイン面に配置したChartレポートコントロールの各部分をマウスでクリックして直接選択することもできます。例えば、グラフの中心部をクリックすればプロットが、タイトル部分をクリックすればヘッダが選択されます。

より実用的なグラフへ発展させる

 以下では、図1のグラフをもとに、より情報量の多い実用的なグラフを表示する方法を説明します。

複数のデータを棒グラフで並べて表示

 図1では、A社の販売台数のみを表示させていましたが、B社/C社のデータも並べて表示するようにしてみます(図8)。

図8 A社/B社/C社の販売台数を表示する棒グラフ(p002-bar-multi)
図8 A社/B社/C社の販売台数を表示する棒グラフ(p002-bar-multi)

 図8の通り表示するには、プロット1の「値」を2つ追加して、B社、C社の販売台数に対応する「B社」「C社」をそれぞれ設定します。

図9 B社/C社の販売台数をプロットに追加(p002-bar-multi/002-bar-multi.rdlx-json)
図9 B社/C社の販売台数をプロットに追加(p002-bar-multi/002-bar-multi.rdlx-json)

 データが複数種類になったため、それぞれを区別できる凡例を表示させます。プロットの「エンコーディング」-「凡例に値の名前を表示」を設定すると、凡例が表示されるようになります。

図10 凡例を表示させる設定(p002-bar-multi/002-bar-multi.rdlx-json)
図10 凡例を表示させる設定(p002-bar-multi/002-bar-multi.rdlx-json)

 追加された凡例を選択して、プロパティの「向き」や「位置」などで表示を調整します。ここでは向きを「Horizontal」にして並びを水平方向にし、位置を「Top」にしてグラフの上に表示するようにします。

図11 凡例の向きと位置を設定(p002-bar-multi/002-bar-multi.rdlx-json)
図11 凡例の向きと位置を設定(p002-bar-multi/002-bar-multi.rdlx-json)

棒グラフに折れ線グラフを重ねて表示

 異なる種類のグラフを重ねて表示させることもできます。ここでは販売台数の棒グラフの上に、売上額の折れ線グラフを表示させてみます(図12)。

図12 棒グラフに折れ線グラフを重ねて表示(p003-bar-line)
図12 棒グラフに折れ線グラフを重ねて表示(p003-bar-line)

 異なる種類のグラフを表示するには、チャートを選択して、「プロット」を追加します。最初のプロット(プロット1)と同じ手順で、追加したプロット(プロット2)の「値」には「売上額」、「カテゴリ」には「月」をそれぞれ設定し、「エンコーディング」-「凡例に値の名前を表示」を設定します。

図13 チャートにプロットを追加(p003-bar-line/p003-bar-line.rdlx-json)
図13 チャートにプロットを追加(p003-bar-line/p003-bar-line.rdlx-json)

 次に、追加したプロットのグラフ種類を折れ線グラフに変更します。「プロット2」を選択した状態で、帳票デザイナ上部(リボン部分)に表示される「Chart」メニューから「プロットのテンプレートの設定」をクリックすると、設定できるグラフの種類が表示されるので、折れ線グラフを選択します。

図14 追加したプロットを折れ線グラフに設定(p003-bar-line/p003-bar-line.rdlx-json)
図14 追加したプロットを折れ線グラフに設定(p003-bar-line/p003-bar-line.rdlx-json)

 X軸とY軸の表示を調整します。X軸は棒グラフと折れ線グラフで共通なので、プロット1のX軸を選択して、プロパティの「プロット」に「プロット2」を追加します。この設定により、棒グラフと折れ線グラフで共通のX軸が表示されるようになります。

図15 X軸の設定変更(p003-bar-line/p003-bar-line.rdlx-json)
図15 X軸の設定変更(p003-bar-line/p003-bar-line.rdlx-json)

 プロット2のY軸を右側に移動します。プロット2のY軸を選択して、プロパティの「レイアウト」-「位置」を「Near」から「Far」に変更します。NearはY軸なら左/X軸なら下、「Far」はY軸なら右/X軸なら上に軸を表示する設定です。「None」にすると軸自体が表示されなくなります。

図16 プロット2のY軸を右側に表示する設定(p003-bar-line/p003-bar-line.rdlx-json)
図16 プロット2のY軸を右側に表示する設定(p003-bar-line/p003-bar-line.rdlx-json)

 また、プロット2のY軸に対して「スケール」の最小値と最大値を設定し、「ラベル」の表示形式は「通貨」にします。

図17 プロット2のY軸にスケールとラベルを設定(p003-bar-line/p003-bar-line.rdlx-json)
図17 プロット2のY軸にスケールとラベルを設定(p003-bar-line/p003-bar-line.rdlx-json)

Chartで表示できるさまざまなグラフ

 ここまでの例では棒グラフと折れ線グラフを表示しましたが、Chartレポートコントロールではこれ以外にもさまざまな種類のグラフを表示できます。すべての種類については公式ドキュメントを参照してください。

図18 Chartレポートコントロールで表示できるグラフの例(公式ドキュメントより)
図18 Chartレポートコントロールで表示できるグラフの例(公式ドキュメントより

 以下では、Chartで表示できるグラフから何種類か抽出して、設定のポイントを説明します。詳細な内容は各サンプルコードを参照してください。

割合を表すのに便利な円グラフ

 円グラフは、全体に対する各データ項目の占める割合を表現します。図19は、スマホメーカーごとの販売台数と売上額を想定したデータを、円グラフとドーナツグラフで表示したものです。

図19 円グラフのサンプル(p004-circle/p004-circle.rdlx-json)
図19 円グラフのサンプル(p004-circle/p004-circle.rdlx-json)

 図19の元データはリスト2のJSONファイルです。メーカーごとに販売台数と売上額を記述します。

[リスト2]図19の元データとなるJSONファイル(p004-circle/report-data.json)
[
  {
    "vendor": "Apple",  // メーカー
    "count": 30,        // 販売台数
    "sales": 4000000    // 売上額
  },
(略)
]

 円グラフを表示するには、プロットの「値」に販売台数や売上額、「エンコーディング」の「詳細」にメーカーを設定します。

図20 販売台数の円グラフを表示するデータの設定(p004-circle/p004-circle.rdlx-json)
図20 販売台数の円グラフを表示するデータの設定(p004-circle/p004-circle.rdlx-json)

 円グラフに重ねて表示するラベルの種類は「ラベルのテキスト」-「テンプレート」で設定します。実際の数値(ここでは販売台数)を表示するには「Value Field Value」、パーセンテージで表示するには「Percentage in Category」を設定します。

図21 円グラフに実際の数値を表示するラベルの設定(p004-circle/p004-circle.rdlx-json)
図21 円グラフに実際の数値を表示するラベルの設定(p004-circle/p004-circle.rdlx-json)

 また、円グラフの「設定」-「内半径」を0より大きくすると、中央部に穴が開いたドーナツグラフになります。

図22 円グラフをドーナツグラフにする設定(p004-circle/p004-circle.rdlx-json)
図22 円グラフをドーナツグラフにする設定(p004-circle/p004-circle.rdlx-json)

 なお、円グラフの場合には凡例に表示するのは「販売台数」や「売上額」といった値の名前ではなく、「Apple」や「Samsung」といったメーカーなので、「凡例に値の名前を表示」は設定せず、「凡例」に「メーカー」を設定します。

図23 円グラフの凡例を設定(p004-circle/p004-circle.rdlx-json)
図23 円グラフの凡例を設定(p004-circle/p004-circle.rdlx-json)

進捗管理に便利なガントチャート

 ガントチャートは、横軸に年月日、縦軸に工程を割り当てて、作業の期間を横棒で表示するグラフです(図24)。プロジェクト管理でよく利用されます。

図24 ガントチャートのサンプル(p005-gantt)
図24 ガントチャートのサンプル(p005-gantt)

 図24の元データはリスト3のJSONファイルです。工程ごとに、開始/終了の予定と実績の年月日を記述します。

[リスト3]図24の元データとなるJSONファイル(p005-gantt/report-data.json)
[
  {
    "id": 1,                    // ID
    "name": "設計",             // 工程
    "planFrom": "2020/03/01",   // 開始予定
    "planTo": "2020/03/31",     // 終了予定
    "actFrom": "2020/03/10",    // 開始実績
    "actTo": "2020/03/25"       // 終了実績
  },
(略)
]

 ガントチャートでは、各プロットの「値」に「lower」(開始)と「upper」(終了)を設定します。

図25 ガントチャートにデータを設定(p005-gantt/p005-gantt.rdlx-json)
図25 ガントチャートにデータを設定(p005-gantt/p005-gantt.rdlx-json)

 なお、図24のガントチャートでは、表示を整えるため、x軸の設定を調整しています。まず「ラベル」-「ラベルの角度」を-90度に設定して、年月日が縦に(90度左回転して)表示されるようにしています。

図26 x軸のラベルを90度左回転する設定(p005-gantt/p005-gantt.rdlx-json)
図26 x軸のラベルを90度左回転する設定(p005-gantt/p005-gantt.rdlx-json)

 また、「スケール」の「最小値」と「最大値」に表示範囲を設定しています。x軸の値は年月日なので、年月日の値を1970年1月1日からのミリ秒で設定します。例えば最小値には、日時の差を計算するDateDiff関数を利用して、リスト4の式を設定しています。DateDiff関数の第1引数に「s」を設定すると、日時の差が秒単位で取得できるので、1000倍してミリ秒にしています。

[リスト4]ガントチャートのx軸に設定する最小値の式(p005-gantt/p005-gantt.rdlx-json)
=DateDiff("s", "1970-01-01", "2020-02-25") * 1000

株価の表示でおなじみのローソク足

 ローソク足は、株価などの始値と終値、高値と安値を、ローソク状の図形で表示するグラフです。

図27 ローソク足のサンプル(p006-candlestick)
図27 ローソク足のサンプル(p006-candlestick)

 図27の元データはリスト5のJSONファイルです。年月日ごとの始値、高値、安値、終値を記述します。

[リスト5]図27の元データとなるJSONファイル(p006-candlestick/report-data.json)
[
  {
    "date": "2020/07/22",   // 年月日
    "openPrice": 22791.75,  // 始値
    "highPrice": 22855.31,  // 高値
    "lowPrice": 22732.92,   // 安値
    "endPrice": 22751.61    // 終値
  },
(略)
]

 ローソク足では、プロットの「値」に「high」(高値)、「low」(安値)、「open」(始値)、「close」(終値)をそれぞれ設定すると、図27の通り表示されます。

図28 ローソク足にデータを設定(p006-candlestick/p006-candlestick.rdlx-json)
図28 ローソク足にデータを設定(p006-candlestick/p006-candlestick.rdlx-json)

まとめ

 本記事では、ActiveReportsJSでさまざまなグラフを表示できるChartレポートコントロールの利用法を説明しました。Chartを利用してデータをグラフで表示すれば、より表現力豊かな帳票が作成できます。

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