米Meta Platformsは、高性能なクエリ実行エンジン「Velox」を8月31日(現地時間)に公開した。
「Velox」は、C++で開発されたデータ管理システムのクエリ実行だけを受け持つエンジンであり、SQLパーサーやクエリ・オプティマイザなどの機能は持っていない。完全に最適化されたクエリ実行プランを受け取って、データ管理システムのリソースをフル活用して高速に処理することを目指している。
この仕組みから、Veloxはエンドユーザーが直接触れる性格のものではなくなっており、データ管理システムのクエリ実行エンジンだけを差し替えようとする開発者が扱うものとなっている。
Veloxを組み込むことができるデータ管理システムは、リレーショナルデータベース管理システムだけでない。データウェアハウスや、「Apache Spark」のような分散データ処理システム、「PyTorch」のような機械学習ライブラリなど、大量のデータを扱うシステムで幅広く利用できる。
Meta Platformsはすでに、社内のさまざまなデータ管理システムを対象に、クエリ実行エンジンをVeloxに置き換える作業を開始している。例えば、かつて同社が開発したビッグデータを対象とした分散SQLエンジン「Presto」にVelonを組み込んだところ、処理速度が6〜7倍に向上したという。PrestoはすべてJavaで開発しているため、クエリ実行エンジンをC++で開発したVelonに置き換えるだけでも相当な効果があると考えられる。ほかにも、Apache SparkやPyTorchのクエリ実行エンジンをVelonに置き換える作業を進めているという。
VelonはApache 2.0ライセンスでオープンソースとして公開しており、ソースコードなどはGitHubの公開レポジトリで管理している。
Meta PlatformsはVeloxの詳細について、9月5日〜9日にオーストラリア・シドニーで開催予定の学会「Very Large Data Bases 2022」(オンラインでも参加可能)で発表する予定。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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