クラウドサービスへの支出、2023年第3四半期は前年比16％と安定段階に入りつつあることが明らかに

　シンガポールのCanalysは、2023年第3四半期におけるクラウドインフラストラクチャサービスの世界市場分析を、11月22日（現地時間）に発表した。

　同分析によれば、クラウドインフラストラクチャサービスへの支出は、世界全体で前年比16％増となる、735億米ドルに達している。成長率は前四半期と変わっておらず、安定段階に入りつつあることがうかがえる。

　クラウドインフラストラクチャサービス分野における、世界での上位を占めるAmazon Web Services（AWS）、Microsoft Azure、Google Cloudは合わせて20％成長し、市場全体をわずかに上回り、総支出の65％を占めた。AWSは前四半期の業績を反映し、Microsoftの成長率は上昇する一方で、Google Cloudは成長率が低下している。

　企業がITへの支出最適化を続けているにもかかわらず、AIへの関心の高まりもあって、クラウド市場は回復の兆しを見せつつある。企業がAI戦略をサポートすべく、クラウドコンピューティングへの投資を開始するにつれて、AIソリューションに対する需要の高まりが、IT支出削減の影響を徐々に相殺しつつある。

　Microsoftは、AI製品を商品化する取り組みの勢いを増しており、とりわけ直近ではCopilotの導入によって、顧客とパートナーの関心が高まっている。AWSとMicrosoftによる、AIに特化したパートナープログラムの開始に続いて、Google Cloudは生成AIパートナーイニシアチブを導入し、Duet AIを含むAIソリューションの企業導入を促進する。

　AWSは、2023年第3四半期も引き続きクラウドインフラストラクチャサービス市場を支配し、市場シェアは31％だった。成長率（12％）は前四半期と変わっていないものの、市場全体の成長率を依然として下回っている。一方で、コスト削減と効率化に向けた取り組みによって、大幅な収益改善がみられた。また、AWS Marketplace経由での取引を加速するISVが増えていることから、パートナーによるAWS Marketplaceを使った販売促進を目的に、AWS MarketplaceとPartner Centralの改善に取り組んでいく。

　Microsoft Azureは、クラウドインフラストラクチャサービス市場において25％のシェアを獲得し、2位を維持した。7四半期連続で前年比成長率が鈍化した後、成長率は上昇して、前年同期比29％増となっている。クラウド受注残高は18％増加し、2120億米ドルに達したことから堅調な業績の推移が予想される。

　Google Cloudは、前年比24％の成長後に市場シェアは10％に達し、クラウドインフラストラクチャサービス市場で3位を確保した。成長率は予想を下回り、過去3年間ではじめてGoogle Cloudの成長率がMicrosoft Azureの成長率を下回っている。この落ち込みはおもに、企業のITコスト削減策の影響が遅れたことに起因する。