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Developers Summit 2024 セッションレポート(AD)

人事部門内にエンジニア組織を立ち上げ、人事データ分析を効率化するデータ基盤を構築

【15-C-3】Lookerを活用した人事データ基盤構築PJT~エンジニアチームが社内を巻き込み人事組織立ち上げから開発まで行った話

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データ連携を進める時には選択肢を用意して交渉にあたる

 データ連携するからには、各部署との調整も必要になる。まずは上級管理職に取り組みを説明して合意を得るところからはじまり、業務担当者やシステム担当者を通じて連携方針を確定していく。しかし人事データは個人情報が含まれることもあり、ハレーションが起こりやすい。「大丈夫なの?」と疑念を持たれることもある。

 スムーズに交渉を進めていくには信頼関係が欠かせない。単刀直入に「データ連携したいです(あなたの部署が持つデータをください)」と持ちこんでしまうと、いささか強引で相手の警戒心を高めてしまいかねない。そこで柳氏はシステム連携パターンを提示して「この中のどれなら連携しやすいですか?」と相手に連携方法の選択肢を与えるようにした。連携パターンには、データベースと接続して連携、APIでデータ連携、バッチ処理で取得、システム間連携、RPAでデータ取得、個別連携など8通りの選択肢を用意した。

 人事領域のデータマネジメントでは、体制と運用プロセスを検討した。あるべき姿として「はやく」「正確に」「安全に」と定め、基本方針には「さまざまなニーズに活用/提供できる」「データの価値を向上し続ける」「データは資産と認識し、適切に大事に管理する」「人事業務に関わる全てのヒトが人事データのデータマネジメントを担う」「全員で協力して目的を達成する」と定めた。データマネジメント組織は、HRDXグループのエンジニアと人事の業務部門担当者が協力してデータやメタデータを管理できるような体制にしている。

 最後にどのような効果が得られたのかを振り返る。柳氏は大きく分けて、①業務改善効果、②分析施策の加速、③会社ビジョン実現、④リスク対応の4つを挙げる。

 ①はこれまで業務部門に課されていたデータ登録、集計、保守作業が改善されるなどして、業務効率化が図れた。②は分析施策の対応スピードを高めることができた。あなどれないのが「データ受領待ち時間」だ。部署間のデータのやりとりでは、先方が業務の合間を縫って手動でデータを用意していると「待ち」が生じやすい。データ基盤を構築したことでこうした待ち時間を改善できたという。

 ③はデータ活用していくことで企業ビジョンの実現にも貢献するということだ。そして④は目的がないデータ共有の防止や手作業によるヒューマンエラー防止、まただれが・いつ・何をしたかの監視などをすることでリスク対応にもつながる。こうした効果を振り返り、現時点では2次の施策を進めているところだ。

 全体を振り返り、柳氏は「ここまでたどり着くのに、役員・会社経営者からの後押し(投資)が得られたのが大きかったのと、業務部門(人事本部)の協力も大変助かりました。またいろんなプロジェクトを並行して進めていくなかで、HRDXグループのメンバーが担当範囲を越えて協力する体制も重要でした。あと営業力。私の上司が人事データ基盤の構築や組織作りについて経営者と直接会話したことは起爆剤になったとも言えます。そしてデータ基盤は作って終わりではなく、定期的に改善することに皆さまも注力していただければと思います」とアドバイスする。

 将来の展望について、柳氏は「システム・データの観点からは時代に合うシステムづくりを継続して世の中の状況や戦略に迅速に対応していくこと、蓄積したデータもデータマネジメントを継続して品質を担保し続けること、データ拡張することが必要になります。こうしたデータを使うことで人事施策への活用へと進めていこうと考えています。また(ITやデータ施策で)システム部門が関与すると制限がでてしまうため、業務部門内にデータやBIを活用できるエンジニアを育成していくことを進めていきたいと思います」と抱負を述べた。

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレーターも担当しています。Webサイト:http://emiekayama.net

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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川又 眞(カワマタ シン)

インタビュー、ポートレート、商品撮影写真をWeb雑誌中心に活動。

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