MicrosoftのTypeScriptチームは12月2日(現地時間)、TypeScript 7.0の開発進捗を公式ブログで発表した。今回のTypeScript 7.0は「Project Corsa」と名付けられ、これまでJavaScriptで実装されてきたコンパイラと言語サービスをネイティブコード化する大規模な移植プロジェクトとなっている。
同発表によれば、主要なエディタ連携機能(補完、定義ジャンプ、リファレンス検索、リネームなど)と言語サービスの中心的な機能のほとんどは既に移植され、現在でも日常的に利用できる状態にある。これらはVisual Studio Code向けの拡張機能としてプレビュー版が毎日更新されており、すぐに試すことが可能だ。新アーキテクチャでは並列処理とメモリ使用効率が向上し、安定性も強化されている。
コンパイラは、TypeScript 6.0とほぼ同等の型チェック精度を既に実現しており、6.0で発生する約6000件の型エラーのうち74件を除き7.0でも同様のエラー結果となった。新しいコマンド「tsgo」により、--incremental対応やプロジェクト参照、--buildモードもサポート。4つのOSSプロジェクトで6.0とのビルド時間比較では、最大10倍超の高速化が確認された。
一方で、いくつかの非推奨機能の削除やデフォルト値の変更(--strictの標準有効化、--targetの最新化、es5対応の終了など)が予定されており、移行時には設定やコードの見直しが必要となる場合がある。また、現時点ではJavaScriptのemitや旧APIへの完全対応は限定的で、既存のツールとの組み合わせ利用が推奨されている。
TypeScript 6.0がJavaScript版の最終リリースとなり、今後は7.0開発への注力が明言された。TypeScriptチームは、開発者に7.0プレビュー版の積極的な利用とフィードバックを呼びかけている。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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