はじめに
Visual Studio Team System 2008 Team Foundation Server(以下、TFS)には、作業項目トラッキングという機能が用意されています。これはプロジェクトの中で発生するさまざまなタスクやバグといった項目をTFSで管理するための機能です。詳細については、2005バージョンの記事ですが、『Team Foundation Serverで進捗管理』をご覧ください。
この作業項目トラッキング機能には、あらかじめタスクやバグ、シナリオなどといった1つの項目を入力・管理するためのテンプレートが用意されています。しかし、ここに自分たちの独自の項目を追加して一緒に管理したいと思ったことはないでしょうか? わかってしまえば簡単ですが、なかなかとっつきにくく、これを躊躇している方も多いのではないでしょうか?
本稿では、作業項目を定義している定義情報の理解(前編)と、作業項目のカスタマイズ(後編)を通して、自分たちのプロジェクトの中で独自の作業項目を使えるようにする方法について紹介していきます。
本稿に付属のサンプルは、全編の中で作業(または確認)をしていくために必要なファイルの一式になります。ダウンロード後、デスクトップにファイルを解凍すると本稿の「作業項目の定義情報をTFSから取得する」の部分で行う作業と同様の結果を得ることができます。TFSの環境が用意できない場合には、サンプルファイルをもとに本稿を読み進めてください。
対象読者
- .NET Frameworkを利用した開発プロジェクトに携わっている人
- Visual Studio Team System 2008に興味がある人
- Team Foundation Serverの作業項目のカスタマイズに興味がある人
必要な環境と準備
本稿で解説している内容を実際に試す場合には、以下の環境が必要となります。
- Visual Studio Team System 2008 Team Foundation Server
今回の環境は、評価版を利用して構築することも可能です。TFSの評価版メディアは、「Visual Studio Team System 2008 Team Foundation Server(90 日間評価版)」からダウンロードできます。必要なOSの要件やインストールガイドへのリンクなども上記サイトに掲載されていますので、それらを参考にインストールを進めてください。また、こちらも2005バージョンの記事ですが、『Team Foundation Server超簡単インストール』で、TFSのインストール方法を解説しています。手順はほとんど同様ですので、こちらも参考にしてみてください。
本稿のゴール
前後編を通した本稿のゴールはもちろん作業項目をカスタマイズして利用できるようにすることです。では、どういった時にカスタマイズが必要になるのかを少し確認しておきましょう。TFSに用意されている作業項目は開発などのプロジェクトで日々発生するさまざまな出来事(タスクやテストのバグ、およびそれらの進捗など)を記録しておくために利用するものです。しかし、それぞれのプロジェクトごとに記録しておきたいデータはさまざまに異なると思います。
例えば、TFSに標準で用意されているMSF for Agileというプロセステンプレート内に含まれるタスクという作業項目について考えてみます。タスクには残存作業時間、実績作業時間という項目が用意されていますが、予定作業時間という項目はありません。また、開始日、完了日という項目はありますが、作業内容がドキュメント作成などの場合、それをレビューする予定日、レビューア、レビュー時間などを記録する項目はありません。そこで本稿ではここで挙げた予定作業時間、レビュー予定日、レビューア、レビュー時間を記録できるようにするためにタスク作業項目をカスタマイズして利用するということをゴールに設定します。