本連載では、具体的なテスト仕様書のサンプルを通して、さまざまなテスト技法を紹介し、開発のストレスとなりがちなテストをやさしく紐解いていきます。詳しくは連載の第1回をご参照ください。
1. 単体テスト計画書
それでは実際に単体テスト計画書を書き始めてみましょう。今回は「表紙」「目次」「第I部」「第1章」の部分です。
目次 第I部 テスト計画 第1章 単体テスト 1.1 目的 1.2 内容 1.3 開始基準 1.4 完了基準
1.1. 表紙
テンプレート1として表紙を載せました。
最初の行は「単体テスト計画書」と書きます。この文書の名前です。2行目は「プロジェクト名」を書きます。3行目は「プロジェクトチーム名」を書きます。
「プロジェクト名」はこの仕事の名前「プロジェクトチーム名」はそれを遂行する組織の名前です。図1ではプロジェクトの名前とそれを実施する組織が別の名前になっていて分かりやすいでしょう。
4行目は遂行する組織の中で、この文書を書いた人(組織)を書きます。5行目はこの文書のバージョン(次節の「1.2. 改訂履歴」で説明します)を書きます。6行目はこの文書を制定した日付を書きます。
1.2. 改訂履歴
表紙のすぐ裏に改訂履歴を載せます。最初の列は「項番」で、「0001」から一つずつ数を足して行きます。
2列目は「バージョン」です。次の3項目からなります。
- V: Version(バージョン)
- R: Release(リリース)
- M: Make(メイク)
「バージョン」は最初に単体テスト計画書を書く時は「第1版」。通常、単体テスト計画書は最後の設計局面(「詳細設計」と言ったり「内部設計」と言ったりします)で書くので、その時が「第1版」です。次の局面(単体テスト局面)で改訂があれば「第2版」、以下「第3版」「第4版」と版を重ねていきます。
「リリース」はバージョンの途中での改訂を表します。例えば第1版を定めた後で仕様変更が入り、改訂版を出さないと行けない時、同じ第1版ですが、リリースは「2」と上がります。以下、同一版中の改訂版はこのリリースで管理します。
「メイク」は同一「バージョン」「リリース」の間の文書改訂を表します。
3列目は「日付」、4列目は「作成者・改訂者」を表します。5列目は「補足」で追加の説明を書く列です。ここではこの履歴の性質を表す「初稿」や「レビュー」を入れています。
「初稿」とは最初の原稿のことで、似ていますが印刷用語の「初校」とは意味が異なります。「レビュー」はその初稿をレビュー(ここでは他人が作成物のチェックをすること)したことを表しています。レビューの結果、文書に訂正があってそれを修正したので、メイクが「2」になりました。