はじめに
「軽量フレームワーク」と呼ばれるソフトウェアは、その「軽量」という言葉から、つい動作速度やプログラムサイズなどに目が向いてしまいがちです。しかし、「軽い」は物理的なことだけを示すわけではありません。
「手軽に使えるフレームワーク」を考えるとき、その最大の魅力はファイルサイズや動作速度よりも学習にかかるコストではないでしょうか。とにかく短期間で習得し使えるようになる、それこそが、今のフレームワークに何よりも求められるものかもしれません。
今回取り上げる「Apache Click」は、何より「低い学習コスト」を重視して開発されているフレームワークなのです。
対象読者
- Javaで手ごろなフレームワークを探している技術者
- 最近のフレームワークをごくざっと理解しておきたい方
- Web開発の手法がどうも気に入らない、と常々考えているJavaプログラマ
Apache Clickとは?
「Apache Click」は、Apache Software Foundationが提供するWebアプリケーション開発のためのフレームワークです。これは以前、「Click Framework」という名前で呼ばれていました。こちらの名前の方が耳になじんでいる人も多いでしょう。Click Frameworkは、Bob Schellink氏とMalcolm Edgar氏が中心となって開発されてきました。最近になってApache Incubator入りし、名称も「Apache Click」となりました。現在、以下のWebサイトにて公開されています。
左側にあるメニューから[Download]リンクをクリックすれば、Apache Clickのダウンロードページに移動します。本稿執筆現在、2.0.1と2.1.0-RC1が最新版としてリリースされています。2.1.0-RC1の方はRelease Candidateなので、本稿では安定版である2.0.1をベースにして解説をします。
また、Apache Clickの開発を支援するものとして、「ClickIDE」というプログラムも用意されています。これはEclipse用のプラグインで、これを使えば別途Apache ClickをダウンロードしなくともApache Clickによる開発を行うことができます。ただし、本稿執筆現在、最新版はClick 1.5対応のもののようなので、ここでは使いません。Eclipseを使い、手作業でApache Clickの組み込みをして使うことにしましょう。
プロジェクトを作成する
では、ともかくApache Clickがどんなものか、使ってみることにしましょう。ここでは、Eclipse 3.5 IDE for Java EE Developersを使ってWebアプリケーションを作成することにします。なお、日本語化のため、「Pleiades」をインストールしたものをベースとします。
まずは、新しい「動的Webプロジェクト」を用意しましょう。名前は「clickapp」とし、動的Webモジュールバージョンを「2.5」とします。使用するサーブレットコンテナは、それぞれで用意ください。ここではTomcat ver.6.0を使うことにします。
プロジェクトを作成したら、Apache Clickのライブラリを組み込みます。ダウンロードしたClick 2.0.1の圧縮ファイルを展開し、「dist」内にある以下の2つのファイルを用意ください。
- click-2.0.1-incubating.jar
- click-extras-2.0.1-incubating.jar
Apache Clickを利用するために必要となるのは、この2つのJarファイルだけです。これらを、作成した動的WebプロジェクトのWebContent/WEB-INF/lib
内にコピーします。これでApache Clickを利用するための準備が整いました。