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高品質なソフトウェアを目指すアジャイルテスト

『実践アジャイルテスト』刊行記念

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 翻訳チームの一員として参加した『実践アジャイルテスト』が先月出版されました。原書には、私自身が日々考え悩んでいることの答えやヒントが書かれており、読者として非常にハッピーな日々を過ごしました。本稿ではその経験をもとに、現在アジャイルテストで議論されている内容の一端を紹介したいと思います。

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日々の業務のヒントが散りばめられた
『実践アジャイルテスト』

 先月末に『実践アジャイルテスト』が翻訳出版されました。私は翻訳チームの一員として参加し、テストの視点からアジャイルテストを俯瞰する機会を得ました。翻訳作業は非常にタフなものでしたが、原著『Agile Testing』の読者としては非常にハッピーな日々でした。というのも、読み進めていくうちに私自身が日々考え悩んでいることの答えやヒントが偶然にもそこに書かれてあったのです。

 例えば、品質メトリクスを現場にいかに周知徹底していくかという検討会議の後に翻訳した部分が品質メトリクスの記述部分であったり、また、東京都下某所でテストのしやすさについて議論した後に翻訳した部分がテストを考慮した設計であったりしました。ここでは、その経験から、現在アジャイルテストで議論されている内容の一端を紹介したいと思います。

ライフサイクルとアジャイルテストとの関係

 同書では、アジャイルチームにおけるテストを「アジャイルテスト」と呼んでいます。従来型の局面化開発方法と比べて、アジャイルチームでは、比較的短期間で特定の機能を実装したソフトウェアをリリースしていき、そのサイクルを繰り返すことによってソフトウェアを作り上げていくことがよく行われています。その中でテストをどのように位置づけ、テスターはどんな役割を担っていくのか。そして、どのようにするとうまくいくのか。アジャイルテストについてこのようなポイントで議論がなされています。

 その議論の中核をなすものとして、アジャイルテストは下図の4象限で説明されています。行うテストはビジネス面から見たものなのか技術面から見たものなのか、またアジャイルチームを支援する目的で行うのか製品を批評する目的で行うのかに分けられています。これらの象限からテストを行うことにより、高品質の製品を作り出すだけでなく、高品質を追求するチームを作っていこうとしています。

 各象限の概要は次のとおりです。

  • 第1象限はチームを支援する技術面のテスト
  • テスト駆動開発などアジャイル開発の中心。

  • 第2象限はチームを支援するビジネス面のテスト
  • 顧客の視点からのハイレベルの機能テストなど。

  • 第3象限は製品を批評するビジネス面のテスト
  • ユーザー受入テスト、探索的テストなど。

  • 第4象限は技術面のテストを使った製品の批評
  • パフォーマンステスト、セキュリティテストなど。

 このように4つの象限に分けて、チームと製品のライフサイクルにあわせテストを行っていきます。テストの全体像を表すものとしては、V字モデルに相当するもの考えても良いかもしれません。シンプルで分かりやすい分類であり、実践的でもあります。

 これにツールを重ね合わせ、テストを手動で行うのか自動で行うのかといった方法の議論もあります。また、進め方やツールの話だけではなく、チームの一員としてテスターはどのような態度で臨むべきかといった、チームビルディングに関連する議論もアジャイルテストの中にはあります。

ロスマン氏が来日するソフトウェアシンポジウム「JaSST'10 Tokyo」

 さて、2010年1月28日から29日にかけて開催される「JaSST'10 Tokyo」では、基調講演およびチュートリアルにジョハンナ・ロスマンを迎え、その豊富なコンサルティング経験から講演いただきます。ロスマン氏のチュートリアルはアジャイルに関連した内容となる予定ですので、ぜひご参加ください。

 JaSST'10 Tokyoの開催案内は次のとおりです。

開催概要

  • 日時:2010年1月28日(木)~29日(金)
  • 場所目黒雅叙園(東京目黒区)
  • 参加費:1日券が5,250円、2日券が8,400円から(ともに税込)、チュートリアル受講や情報交換会参加等は別途
  • 参加申込方法Webページのフォームから

参考文献

  1. 実践アジャイルテスト』 Janet Gregory・Lisa Crispin 著、榊原彰 監修/翻訳、山腰直樹・石橋正章・増田聡 訳、翔泳社、2009年11月
  2. Agile testing directions」 Brian Marick 著、
  3. JaSST'10 Tokyo

 

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この記事の著者

NPO法人ASTER 増田 聡(マスダ サトシ)

1991年日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。アプリケーション開発・保守部門において、新手法や新技術、ツールの適用・展開などの技術支援業務に従 事。2002年から海外IBMと共に、テスト方法論、技法、テストツールに専門的に取り組み、日本のプロジェクトにおいて展開を行う。2007年から IBMのグロー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/4722 2009/12/17 14:00

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