本稿は、Scott Guthrie氏のブログを、氏の許可を得て翻訳、転載したものです。米Microsoft社の副社長で、ASP.NETやSilverlightの開発チームを統率する氏のブログでは、次期製品を含む最新の技術をいち早く紹介しています。
Microsoft Web Farm Frameworkの紹介
先月、Microsoft Web Farm Frameworkのベータ版をリリースしました。Microsoft Web Farm Frameworkは無償の製品で、Webサーバーファーム(負荷分散と冗長かを行うためのWebサーバー群)のプロビジョニングや管理が簡単にできます。この製品で、Webサーバーファーム内のプラットフォーム・コンポーネントのインストールおよび構成を自動化でき、ASP.NETアプリケーションを自動的に同期およびデプロイできます。またロードバランサーとの統合もサポートしており、サーバー間の更新が自動化できるため、サイト/アプリケーションがダウンしたり利用不可になることがまったくありません(ロードバランサーのローテーションからサーバーを自動的にまとめてプルし、それらを更新し、そしてローテーションに戻します)。
Microsoft Web Farm Frameworkのサイズは1MBで、IIS7以上にインストールできます。無償で利用できます。このベータ版の初回プレビューはWebからダウンロードできます(x86版 / x64版)。
Web Farm Frameworkが便利な理由
Webサーバーファームを運用すると、複数サーバーのプロビジョニングや管理が必要になります。Webサーバーファームの運用には(特に)次の点が含まれています。
- サーバー上にIIS、ASP.NET、およびすべてのコアプラットフォームコンポーネントをインストール
- 独自のIISモジュール(UrlRewriteやメディアサービスなど)をインストール
- IISアプリケーションプールおよびサイトの構成
- HTTPエンドポイントなどに対するSSL証明書の設定
- さまざまなボックス間に適切なサイト/アプリケーション/コンテンツをコピーまたは同期化
- ロードを配布するためのHTTPロードバランサーとさまざまなWebサーバーを調整
現在Webサーバーファームを管理している管理者や開発者は、上のような作業を行うために多くのステップを手動で実行していたり(これはエラーが発生しやすく危険です)、多くの独自のスクリプトを書いてそれを自動化しています(これは時間がかかって大変です)。新しいサーバーの追加または構成、およびアプリケーションの変更は、大変で時間がかかることが多いです。
Microsoft Web Farm Frameworkはこのプロセスを非常に簡単にし、完全に自動化された方法でWebサーバーファームを管理できます。最高なのは、簡単にセットアップし使えることです。
WebサーバーファームのプロビジョニングやスケールにWeb Farm Frameworkを使用
Microsoft Web Farm Frameworkでは、『Webサーバーファーム』が簡単に定義でき、そこへいくつでもサーバー情報を追加できます。『Webサーバーファーム』に含まれているサーバーは、Web Farm Frameworkにより自動的に更新、プロビジョニング、管理されます。つまり、IIS(UrlRewriteやメディアサービスなどのようなモジュールを含む)、ASP.NET、独自のSSL証明書を、プライマリサーバー上に一度インストールすると、Web Farm Frameworkは、ファーム内のその他すべてのWebサーバーに、自動的にまったく同じ構成のレプリケーションおよびプロビジョニングを行います(手動または追加のステップは不要です)。
その後、IISアプリケーションプールや新しいサイトおよびアプリケーションを、プライマリサーバー上に一度作成および構成すると、Web Farm Frameworkは、ファーム内のその他すべてのWebサーバーに、自動的にその設定のレプリケーションおよびプロビジョニングを行います。
そして、ASP.NETアプリケーションを、プライマリサーバー上に一度コピー/デプロイすると、Web Farm Frameworkは、ファーム内のすべてのWebサーバーに、自動的にその変更のレプリケーションおよびプロビジョニングを行います(手動または追加のステップは不要です)。
Web Farm Frameworkにより、サーバー群に対する手動によるインストール/管理が不要になります。すべてのプロビジョニングやデプロイが、完全に自動化された方法で処理されます。
ロードバランサーの統合
サーバーやアプリケーションのプロビジョニング/デプロイを簡単にする他、Web Farm Frameworkにはロードバランサーの統合も含まれています。具体的には、Web Farm Frameworkは、HTTPロードバランサーと統合できるので、ファームにあるWebサーバーが更新されると、それらはロードバランサーのローテーションから自動的に取り出されて、更新され、また戻されます。Web Farm Frameworkはオプションとして一度にマシンを更新することもできるため、重い処理に対して常にサーバーが利用可能になっています。これにより、更新のロールアウトを制御および管理するために、手動のスクリプトを書くことなく、更新中もサイトを常に利用可能にしておけます。
現在のWeb Farm Frameworkのベータ版には、IIS Application Request Routing(ARR)サービスがビルトインでサポートされます。これは、Webサーバーファームの複数のマシン間でのHTTPリクエストを、自動的にロードバランスするサポートを行います。
最終のWeb Farm Frameworkリリースでは、その他のロードバランス技術との拡張も可能となり、更新されるとロードバランスのローテーションから、サーバーを自動的にプル/挿入することが可能になります。