ヴイエムウェアは9日、同社主催のイベント「VMware vForum 2010」の会場において報道関係者向けに、アジア太平洋地域でのクラウドコンピューティング(以下、クラウド)に関するユーザーの意識調査の報告を行った。今後のクラウド市場の方向性が伺える内容だ。
調査を担当したスプリングボードリサーチ株式会社 リサーチマネージャーの柏木成美氏が考察を含め調査結果を発表した。
クラウドの理解度はIT市場の成熟度に比例
調査対象はオーストラリア、中国、インド、日本、マレーシア、シンガポール、タイの企業6953社(うち日本は1181社)で、システムまたは業務部門の意思決定者に対しWebベースの調査を行った(一部は訪問インタビューを実施)。調査期間は2010年9月17日から9月30日。回答者のうちIT部門と業務部門の割合はほぼ半々で、日本ではIT部門が約3分の2と若干高くなっている。
日本のクラウドに対する理解度は10段階評価で7.1。オーストラリアの7.5に次ぐ自己評価の高さとなっている。柏木氏は「クラウドの理解度はIT市場の成熟度に比例し、大企業ほどクラウドの理解度も高い」と説明している。
クラウドに対する認識が高まり導入が進む日本
「クラウドが自社に直接関係あるかどうか」という質問に対しては、92%の日本企業が「ある」と回答。日本のクラウドに対する意識はアジアでもっとも高いことが示された。このようなクラウドの必要性に対する認識は1年半前に比べ倍増の傾向にあるとも説明している。
社内におけるクラウドの利用状況については、「現在利用中」が36%と日本が最も高く、逆に「利用予定あり」は27%と最も低い。このように日本はアジアの中でクラウドの導入が先行している様子が確認できた。また、インドは両者を足した割合が70%と一番高くなっていることも興味深い。
パブリッククラウドかプライベートクラウドか
日本企業におけるクラウドの利用形態(パブリッククラウド/プライベートクラウド)の調査では、パブリックとプライベートを組み合わせたハイブリッドクラウドへの期待が最も高く34%、続いてプライベートクラウドが27%、パブリッククラウドが15%と、プライベートを軸にした形態が支持されているようだ。一方、パブリックの支持率も日本がアジアで最も高く(アジア平均8%)、「まだ分からない」(24%)という回答もアジアで最も高い。