本稿は、Scott Guthrie氏のブログを、氏の許可を得て、翻訳、転載したものです。米Microsoft社の副社長で、ASP.NETやSilverlightの開発チームを統率する氏のブログでは、次期製品を含む最新の技術をいち早く紹介しています。
Silverlight 5の告知
今日(注:米国時間2010年12月2日のエントリー)のSilverlight FireStarterイベントで、次期リリースのSilverlightを公表しました。
Silverlight 5には、素晴らしい新機能が追加され、開発者は、上質なメディア体験が作成でき、ブラウザ、デスクトップ、デバイス対応のリッチなアプリケーションを提供できるようになります。今朝の私の基調講演で、Silverlight 5が提供する開発者の生産性と、Silverlight 5が可能にする新しいユーザー体験を、強調したデモを数多く行いました。私の基調講演は、ここから見られます。
Silverlight 5のベータ版は、来年前期に利用できるようになり、最終リリースは来年後期に出荷される予定です。
上質のメディア体験
Silverlightを適用した、素晴らしい上質なメディアソリューションがあります。ここ数か月間、Canal+、TV2、Maximum TVのような会社が、ライブとオンデマンドの両方で、Silverlightソリューションをローンチするところを見てきました。
Silverlight 5は、以下のものを追加することで、さらに素晴らしいメディア体験を可能にします。
- ハードウェア・ビデオ・デコード:Silverlight 5は、現在GPUアクセラレーテッド・ビデオ・デコードをサポートしています。これにより、HDビデオに対するCPUロードが大幅に減少します。Silverlight 5を使うと、パワーの低いネットブックでも、1080p HDコンテンツを再生できます。
- トリックプレー(Trickplay):Silverlight 5は、自動音声ピッチ修正とともに、クライアント上でのメディアコンテンツの変速再生が可能です。これは、トレーニングビデオなどで、先生の言っていることを理解できる早さまで、速度を上げたい時などに有用です。
- 改善されたパワーの認識:映画鑑賞中にスクリーンセーバーが走らなくなり、ビデオが再生されていない時にのみ、コンピュータがスリープ状態になります。
- リモートコントロール・サポート:Silverlight 5にビルトインされ、ユーザーは、リモートコントロール・デバイスで、メディアの再生が制御できます。
アプリケーション開発
Silverlightでは、リッチなアプリケーション開発の環境を提供しており、素晴らしいWebアプリケーションの構築ができます。Silverlight 5では、以下のような、アプリケーション開発に対する、大幅な改善を行いました。
- データバインディングとMVVM:Silverlight 5では、データバインディングの大幅な改善により、開発者の生産性を向上しました。開発者は、データバインディング式のデバッグやブレークポイントの設定、また簡単にエラーの確認ができます。暗黙のデータテンプレートにより、デフォルトで特定の型をサポートするテンプレートが作成できるようになります。Ancestor RelativeSourceバインディングは、コンテナーコントロール上のプロパティに、データテンプレートがより簡単にバインドできるようにします。スタイル・セッターのバインディングは、他のプロパティを参照するスタイル内で、バインディングが使用できるようにします。そして、新しいDataContextChangedイベントは、変更処理をより簡単にするために導入されました。タグの拡張もサポートされるようになり、最新のMVVMサポートを有効にしながら、プロパティとイベントハンドラの両方に対して、XAMLのパース時にコードが実行できます。
- WCFおよびRIAサービス:Silverlight 5には、WS-Trustサポートが含まれるようになりました。 RIAサービスが改善され、複合型のサポート、より良いMVVMのサポート、改善されたコード生成のカスタマイズが含まれるようになりました。Silverlight 5のネットワーク・スタックでも、低いレイテンシのネットワークシナリオがサポートされるようになり、レスポンスのいいアプリケーションシナリオが可能になりました。
- 文字と印刷:Silverlight 5は、文字の鮮明さを改善し、よりくっきりよりきれいな文字の描画、複数カラムに渡る文字やリンクされた文字コンテナ、記号やスペースのサポート、OpenTypeフォントのフルサポートが可能になりました。Silverlight 5には、新しいPostscript Vector Printing APIも含まれているため、印刷したいものに対するプログラム的な制御や、リッチなレポートやドキュメントの印刷が可能です。驚くべき情報のビジュアル体験が構築できるピボット機能も、Silverlight 5 SDKにビルトインされます。
- グラフィック:Silverlight 5には、イミディエイトモードのグラフィックサポートが含まれており、開発者はGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を完全に活用し、アクセレーレテッド3Dグラフィックのサポートも有効化できます。この新しいサポートは、さらにリッチなデータのビジュアル化シナリオを促進します(基調講演で非常に驚きのものを紹介しているので見てください)。
- アウトオブブラウザ:Silverlight 5は、Silverlight 5で導入されたアウトオブブラウザ機能の上でビルドします。アウトオブブラウザ・アプリケーションは、子ウィンドウの作成と管理ができるようになりました。信頼済みのアウトオブブラウザ・アプリケーションではP/Invoke機能が使用できるようになり、アンマネージのライブラリやWin32 APIが呼び出せます。改善されたグループポリシーのサポートで、企業はSilverlight 5アプリケーションのセキュリティ・サンドボックス機能のロックと解除が可能になります。
- テスト・ツール:Visual Studio 2010に、Silverlightアプリケーション向けの、自動UIテストサポートを追加しました。これにより、Silverlightアプリケーションのテストや、その機能の自動化が簡単になります。
- パフォーマンス:Silverlight 5は、より高速なアプリケーションのスタートアップと、64ビットブラウザのサポートを行います。Silverlight 5は、IE9の新しいハードウェアアクセラレーション機能とも統合し、windowsless モードで、ハードウェアアクセラレーションを有効化します。
まとめ
私たちは、素晴らしい新機能をSilverlight 5で提供できることを非常に嬉しく思っており、フィードバックを頂けることを楽しみにしています。私の基調講演は、ここからオンラインで見れます。もし、新リリースの動作を確認したい場合は、詳細がSilverlight Webサイトにあります。
Hope this helps,
Scott