大ヒットゲーム「ドラゴンコレクション」を支えるインフラ
11月25日、「mobidec 2011」においてコナミデジタルエンタテインメントのスタジオITセンター長である正延光弘氏によるセッション「大ヒットSNSゲーム『ドラゴンコレクション』を支えるコナミのクラウド技術の活用」が行われました。
ドラゴンコレクションは、GREEで提供されている携帯電話向けのカードゲームタイプのRPG。プレイヤーは、エリアごとにある複数のクエストをクリアしていき、モンスターカードや「秘宝」を手に入れ、さらに「ドラゴンカード」を集めていきます。また、ほかのプレイヤーとバトルすることでも秘宝を入手できるというSNS要素も取り入れられていました。2010年9月のサービス開始後、順調にプレイヤー数を伸ばし、現在では登録人数が500万人を超えています。
サービス開始当初は社内でサーバを構築し、フロントエンドに6台のサーバ、バックエンドに3台のデータベースサーバ、そしてロードバランサという構成で、コストパフォーマンスを重視していたといいます。それがサービスが好調になってくると、「構築スピード」「スケーラビリティ」「システムの信頼性」が重視されるようになりました。さらにPVが増えてくると自前のサーバとネットワークでは追いつかなくなり、同時に大規模ネットワークに対するノウハウの不足、エンジニアの不足が課題になってきました。オンラインゲームでは快適なアクセスが最重要となるのです。そこで同社はクラウド(IaaS)の活用に踏み切ります。
複数のクラウドサービスを比較した結果、IIJの「IIJ GIO」を採用しました。正延氏はその理由として、「コストパフォーマンス」「安定したネットワーク」「仮想・物理のハイブリッドによるディスクI/Oの解決」「両社間での運用体制構築」を挙げています。しかし、それでも急増していくアクセスに対し、さまざまなチューニングを行ったといいます。具体的には、データベースの水平垂直分割、RDBMSとキャッシュサーバのハイブリッド化、オープンソースコードのチューニング、徹底した負荷試験とサーバの需要予測を行ったのです。それでもアクセス対策には苦労が続き、最終的には「IIJ GIO」内に専用ネットワークを構築するに至りました。これにより、ドラゴンコレクションに最適化されたシステムの構築が可能になるとともに、アクセス対策の問題も解決できたといいます。最終的にクラウド利用をやめた形ですが、チューニングの苦労はノウハウとして蓄積できたと正延氏はいいます。
今後は、スマートフォンへの対応を強化していくとともに、HTML5への対応、認証とセキュリティの強化、ワールドワイド展開に向けてのコンテンツ、ファシリティ、パートナーシップの強化を行っていくとしました。パートナーシップでは、ゲームにおける企画や運営、デザイン、データ分析、サーバ、プログラムといった要素をコナミ1社で行うのではなく、それぞれの要素に強みを持つ会社と連携することで1社ではできないことを実現していくというビジョンを打ち出しています。つまり、サービスの提供はコナミが行い、パートナー各社が協力できる環境を準備します。これにより、それぞれのパートナーにはゲーム全体の経験が不要になり、強い部分だけに注力していけるわけです。こうして正延氏のセッションは終了しました。
セッション終了後、正延氏に大規模ゲーム運営のノウハウについてお話をうかがうことができました。正延氏はポイントとして、オープンソースコードのチューニング、データベースのチューニング、そして運用面を挙げました。それぞれについて、さらに詳しく掘り下げてみます。