Mozilla Japanは、新バージョンへの更新をより簡単にするとともに、組み込みの開発ツールに85以上の改良を加えた、Windows/Mac/Linux対応Webブラウザ「Firefox 12」のベータ版を、17日に公開した。
新たに採用された更新プロセスでは、Firefoxの更新時に、Windowsの「ユーザーアカウント制御」(UAC)ダイアログが表示されないようになっている。なお、PCへ新規にFirefoxをインストールする場合には、従来通り「ユーザーアカウント制御」ダイアログを表示する。
その他の改良点としては、HTML5 video/audio要素のコントローラを改良し、ブラウザ上での動画・音声再生時の操作性を高めている。また、巨大なJavaScriptコードを使用しているページでは、コンパイルを分割して行うことによってページ表示を高速化するとともに、ページの読み込みが完了している画像は、デコード時にプログレッシブ表示せず、即座に描画するよう変更した。
さらに、MacではCoreGraphics Azureバックエンドを、LinuxではSkiaバックエンドを実装することで、Canvasの描画速度を改善するなど、パフォーマンスを向上している。
なお、次期バージョン「Firefox 13」では、新しいタブを開いた際に、空白ページではなく「よく見るページ一覧」が表示されるようになる予定。そこで、「Firefox 12」のベータ版では試験的にこの機能を実装している(デフォルトでは無効)。about:configにて、browser.newtab.urlの値をabout:newtabに、browser.newtabpage.enabledの値をtrueに変更し、ブラウザを再起動することで、「よく見るページ一覧」の表示を有効にできる。
他にも、タブ一覧ボタンがデフォルトで非表示になったり、アプリケーションタブを再起動時に読み込まないようにする隠し設定を追加したりと、細かな修正が数多く盛り込まれている。
Web開発者向けの新機能や改良点としては、HTML5仕様に合わせて複数行のツールチップ表示に対応するとともに、CSS3のcolumn-fill、text-align-lastプロパティに、ベンダー接頭辞付きで対応。また、DOMParserがHTMLドキュメントの解析に対応するとともに、XMLHttpRequestオブジェクトにtimeoutプロパティ(単位はミリ秒)とontimeoutイベントを追加、同期リクエストのネットワークタイムアウトを簡単に指定できるようになっている。
JavaScriptについては、次世代JavaScriptのコア仕様であるECMAScript 6に向けて提案されているMap/Setオブジェクトに、試験的に対応。また、エディタ(フォーム)上でIMEを使って文字入力を行っている場合に、従来は確定後にinputイベントが発生していたところを、IMEで編集中の文字列が変更されたことを示すcompositionupdateイベント直後にもinputイベントが発生するよう変更した。これによって、inputイベントハンドラを使って、日本語入力中にも未確定文字列を含めたフォームの入力内容を取得可能となる。
開発ツールに関しては、Webコンソールにコンソールを開く前に呼び出されたconsole.logも出力するように変更。また、ページのソース画面で左端に行番号を追加した。他にも、組み込み開発ツールに85以上の改良を行っており、Webコンソール、スクラッチパッド、スタイルエディタ、ページインスペクタ(HTMLパネル、スタイルパネル、3Dビュー)の細かな使い勝手を向上している。
【関連リンク】
・Mozilla Japan
・Firefoxプレビューリリース
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