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Delphi次期版のモバイル開発機能は、1本のソースコードでiOSとAndroid向けにネイティブなアプリを作れる
──開発担当副社長に聞く

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2013/02/01 14:00

 米Embarcaderoは、同社の開発ツール製品のモバイル対応を進めている。同社の開発担当副社長に、この2013年第1四半期にも登場予定のDelphi次期版で追加されるモバイルアプリ開発機能を中心に聞いた。

米Embarcadero社 Worldwide Research and Development,
Senior Vice President Tony de la Lama氏
米Embarcadero社 Worldwide Research and Development, Senior Vice President Tony de la Lama氏

Embarcaderoが出したモバイルアプリ開発への解とは

──モバイルアプリ開発に注力する理由を教えてください。

 de la Lama:今やモバイルが主流だからです。多くの企業が、「モバイルファースト戦略」を採っています。世界が劇的に変わっているのですから、ツールも変わらなければいけません。

 世界中にあるクライアントの台数を見てみましょう。Windowsが10億台、Macが6500万台の規模なのに対して、モバイルは10億台、そしてWebは20億クライアントという規模です。今後も、ダイバーシティ(多様性)が強まる傾向が続くでしょう。開発者にとってもマルチデバイス対応は急務です。

──Embarcaderoは、マルチデバイス対応について、どのような特色を打ち出そうとしているのですか。

 de la Lama:私たちの狙いは、「ラピッド(迅速)なマルチデバイス開発」です。

 マルチデバイス開発では、プラットフォームベンダー製のツール(ベンダー純正ツール)を使う以外に、HTML5による開発や、プラットフォーム共通の仮想コードによる開発など、いくつかの選択肢があります。私たちの製品でも、HTML5 BuilderはHTML5開発を、Prismは仮想コード(.NETとMono)による開発をサポートしています。

 プラットフォームベンダー製のツールを使う場合は、それぞれのプラットフォームごとに異なるプログラミング言語とフレームワークを使う必要があります。Windowsでは言語はC#やC++、フレームワークは.NETまたはMFCで、Mac OS XではC++やObjective-CとOSX SDK、iOSではC++やObjective-CとiOS SDK、AndroidではJavaとAndroid SDKです。こうした複数の開発環境に習熟するのは大変なことです。

 私たちは1本のコードからマルチデバイス向けの、しかもネイティブコードを生成するアプローチの製品を準備中です。これは、C++とDelphiの2つの言語と、FireMonkey FM2フレームワークで実現します。ターゲットはWindows、Mac OS、iOS、Androidの4種類です。1本のソースで、4種類のターゲットのネイティブコードを作れるのです。私たちは、ここで作られるネイティブコードを、仮想コードと区別するため「リアルコード」と呼んでいます。

新しく開発しなおしたコンパイラに自信あり

──「リアルコード」を使うことで、何が良くなるのですか。

 de la Lama:仮想マシンの上で仮想コードを動作させるやり方は、チューニングの手法に限界があり、またハードウエア制御にも制約があり、GC(ガーベジ・コレクション)のため時々実行が中断するなどの弱点があります。もちろん、これは「仮想マシンは良くないやり方だ」という意味ではありません。オンラインバンキングやEC(電子商取引)などのアプリケーションは、このアプローチでも大きな問題はないでしょう。

 リアルコードは、驚くようなユーザー体験を提供するアプリを作るために必要です。パフォーマンスを重視して、ハードウエアと密接に連携するようなアプリケーションです。こうしたアプリケーションをマルチデバイス対応で作ることができるのです。

──技術的には、どのようなチャレンジがあったのでしょうか。

 de la Lama:今回、IntelとARMの両方のアーキテクチャに対応するコンパイラを新たに開発しました。元々、私たちはBorland時代からコンパイラには自信を持っていましたが、今回も強力なコンパイラです。残念ながらベンチマーク結果の数字を今日お見せすることはできませんが。

 一方、最も難しかったのは、GUIコンポーネントです。私たちが提供するコンポーネントがそれぞれのOSの上でネイティブのように見え、ネイティブのように振る舞うよう設計しました。

──異なるUIを持つOSに対して1本のソースコードで対応するには、開発者の側でも工夫が必要になるのではないでしょうか?

 de la Lama:それはあります。例えば、複数のページから構成するアプリケーションでは、OSによる違いを開発者が意識して管理しなければなりません。

2013年内にiOSとAndroidに対応

──製品提供のスケジュールを教えてください。

 de la Lama:2013年第1四半期に、Delphiの新バージョンでiOSに対応します。開発コード名は「Project Q」です。第3四半期には、Androidにも対応する予定です。開発コード名は「Zephyr」です。これにより、Delphiのラピッド(迅速)な開発環境により、1本のコードでiOSとAndroidの両方のアプリを生成できるようになります。現時点ではβ版を提供中です。

 さらに2013年第4四半期には、C++製品でiOSとAndroidに対応予定です。

──Delphiのモバイル対応版は、どのようなユーザーにとってメリットがあるとお考えですか?

 de la Lama:今、iOSやAndroidでモバイルアプリを開発している開発者は、両方のOSに向けたアプリを作るために苦労しています。そのような人達にとって、福音となるツールになるはずです。

「Project Q」によりiOS向けモバイル開発が可能になるDelphi
「Project Q」によりiOS向けモバイル開発が可能になるDelphi
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著者プロフィール

  • 星 暁雄(ホシ アキオ)

    ITジャーナリスト。日経BP社で『日経エレクトロニクス』記者、オンラインマガジン『日経Javaレビュー』編集長などの経験を積み2006年に独立。現在はフリーランスとして活動。半導体、プログラミング言語、オペレーティングシステム、エンタープライズIT、インターネットサービス、スマートデバイスなど、幅広...

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