SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Yahoo! JAPAN 黒帯シリーズ

ITエンジニアがUXデザインを実践するコツと心構え

Yahoo! JAPAN 黒帯シリーズ(第5代黒帯) 第1回

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「UXデザイン(ユーザーエクスペリエンスデザイン)」という言葉は、近年多種多様な職種業種で頻繁に耳にするようになりました。皆さんは、その意味をどのように解釈しているでしょうか? 「なんだか小難しそう」「ちゃんと勉強したことがないし、自分にはできそうにない」といった印象を持たれている方も少なからずいるのではないかと思います。ですが、今回私が特にエンジニアの方向けにお伝えしたいのは、UXデザインは職種や専門領域に関わりなく、誰にでも、もちろんエンジニアにもできることということです。では、どのように取り組んだらよいのか、今回はWebサービスを例に解説します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

UXデザインとは?

 UXデザインを実践するにあたって大事なことは、ユーザー(開発するWebサービスを使う人たち)を中心に、ユーザーが関わる関係者の気持ちを考えながらサービス作りを心がけることです。必ずしも「UXデザイン」という言葉の厳密な定義を覚える必要はありません。

図1 UXデザインの基本プロセス
図1 UXデザインの基本プロセス

 Webサービスを開発するにあたっては、ユーザーの気持ちを考え、ユーザーにとって、よりよい体験を提供できるサービスを作っていくために、さまざまな手法や考え方、その手法を活用した実践方法があります。ですが、UXデザインの基本プロセスは、図1に示した至ってシンプルな進め方です。実際に取り組みながら、自分なりのやり方やコツを掴んでいくとよいでしょう。

よりよい体験を実現する手段としてのUI

 ここで、UI(ユーザーインターフェース)とUXとの違いがよく分からないという方のために、UIの位置付けを解説します。学術的な言葉の定義というより、UXデザインを実践するにあたってのUIの捉え方として覚えておくとよいでしょう。

図2 UIの位置付け
図2 UIの位置付け

 図2のように、さまざまな要素が絡み合って、ユーザーへの最高に価値のある体験の提供が実現します。例えば、Webサービスの場合、そのサービス自体も価値ある体験の提供のためにユーザーに利用される一手段です。UIは、そのWebサービスをユーザーが利用する際のインターフェースであり、その操作性自体が価値のある体験かどうかに影響を与えます。

ユーザー体験を考える効果

 UXデザインを実践しようとするとき、「UXデザインは時間がかかるし、時間をかけてまでやる意味があるのか?」などと問われることが多々あります。ユーザー体験を考え、それを重視してサービスを開発する意味を、エンジニア視点でいくつか紹介します。

開発効率が上がる

 サービス開発時に重要なポイントとして、「何のためにつくるのか(why)」「何をつくるのか(what)」の2つがあります。「対象ユーザーがどのような体験ができることを目指すのか?」をUXデザイン実践時には考えるため、ゴールイメージが明確になります。ゴールイメージ=サービス開発をする目的=「何のためにつくるか(why)」という関係になります。

 このように考えると、ユーザー体験を考えて開発を進めていけば、「何のためにつくるのか(why)」「何をつくるのか(what)」が明確な状態でエンジニアは実装にとりかかれます。これら2つのポイントが明確になっていないと、せっかく実装しても、ユーザーニーズにマッチしていなかったため、作り直しということにもなりかねません。たとえプロジェクト初期に多少時間がかかったとしても、「何のために(why)」「何をつくるのか(what)」を明確にした上で開発に取りかかった方が、結果的に時間を無駄にせず、効率よく進められると言えるでしょう。

やりがいを感じられる

 Webサービス開発時、エンジニアはサービスを実装することがメインタスクとなりがちです。ですが、プロトタイプや実装したサービスを利用したユーザー調査を実施する機会を設定できるのであれば、エンジニアも積極的に参加することをお勧めします。自分が実装したものがどうユーザーに使われるのか、直接ユーザーの反応を見ることで、実装したものが本当にユーザーにとって必要なものであったのか、改善すべき箇所はどこかを実感できます。このようにフィードバックを実際に得ることで、「何のためにつくるのか(why)」に納得して開発できるようになり、開発することにやりがいを感じられるようになるはずです。

使い続けてもらえるサービスへ

 ユーザー体験を考慮に入れた上でのサービス開発は、結果的にユーザーのニーズに応え、ユーザーがもっと利用したいと思えるサービス提供につながります。もちろん、はじめからユーザーニーズに完全にマッチするサービスになるわけではありません。ですが、図1に示したUXデザインの基本プロセスを何度も続けていくことで、徐々にユーザーニーズに応えたサービスへと進化させることができます。改善を繰り返し、ユーザーに満足して使い続けてもらえるサービス実装を目指していくとよいでしょう。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
手法の活用例

この記事は参考になりましたか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Yahoo! JAPAN 黒帯シリーズ連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

瀧 知惠美(ヤフー株式会社)(タキ チエミ(ヤフーカブシキガイシャ))

ヤフー株式会社。UXデザイナー/黒帯UXデザイン。ヤフー株式会社にて、サービスのコンセプト設計から関わるプロジェクトに複数参加し、UXデザインの様々な手法を実践。2013年、所属部署にて発足したUXデザインチームでマネージャーを務める。その後、UXデザインの社内推進活動を開始し、ワークショップや各サ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/9690 2016/09/30 14:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング