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社会を変えたインターネット。エンジニアはIoTにどう関わるべきか?

エンジニアが生き残るためのテクノロジーの授業 第2回

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2016/10/25 14:00

 本連載では、ITエンジニアが時代の波に飲み込まれず、ITの世界で生き残っていくための知識を解説していきます。第2回はIoTをテーマに、インターネットと社会の変化を眺めてみましょう。その中で、IoTによるサービスを提供する立場にあるエンジニアはどうすべきか考えます。

目次

新刊のお知らせ

 2016年12月17日に、この連載をベースにした新刊『エンジニアが生き残るためのテクノロジーの授業』が発売されました!

 ITとビジネスの関係、コンピュータ、ネットワーク、プログラミング、データベース、セキュリティ、人工知能など、本連載で解説した内容も含め、エンジニアなら誰もが知っておくべきテーマを一冊で学ぶことができます。

インターネットは人間の描いた理想?

コミュニケーション手段の発達

 人間は、どうすれば相手と情報を高速にやり取りできるかを考え続けています。多くの人とコミュニケーションするには、遠くの相手に速く正確に情報を伝えることが重要で、そのためにさまざまな方法が提案されてきました。まず言葉が生まれ、それを保存するために文字が登場し、印刷により多数の人に伝えられるようになりました。

 紙よりも速く伝えるため、電気を使った通信が発達し、今も進化が続いています。モールス信号のように符号化を使った「電信」に始まり、文字を電気信号に変えた「電報」、音声を電気信号に乗せた「電話」などは、離れた人にすぐ情報を伝えることを実現しました。それから無線の時代に入り、ラジオやテレビといった「電波」を受発信し、いまや「衛星通信」もGPSなどで一般人が利用しています。

インターネットで情報流通が世界規模に

 では、「インターネット」はどうでしょうか。少し昔を振り返ると、「パソコン通信」を使っている人がいました。これは電話回線などを経由した専用ソフトによる通信で、特定のサーバーに接続している利用者とだけつながるネットワークでした。プロバイダによってサービスが異なるため、それぞれのサービスを使うためには複数のプロバイダに加入する必要がありました。その進化形がインターネットです。プロバイダ経由なのは同じですが、提供されているサービスは共通なので、一度接続すれば通信方式や接続しているプロバイダは関係ありません。

 ネットワークを使うと、複数のコンピュータの間でデータをやり取りできます。ネットワーク同士を互いに接続することで、世界規模での情報の流通が可能になりました。ここが、これまでの電波などを使った通信と異なる画期的な点です。瞬時にたくさんの人に情報を伝達できるという、人間が求めていた理想にかなり近づいてきました。

図1:通信形態と特性
図1:通信形態と特性

すべてがつながったら起きること

家電が社会を変えていく

 生活に不可欠の家電。ボーナス商戦などの時期は、新製品にどんな機能が追加されたのか気になるものです。テレビのような製品であれば、地上デジタル放送に対応した、画面サイズが大きくなった、薄くなった、4K放送に対応したなど、目に見える変化が分かりやすいものです。一方で、エアコンや冷蔵庫は外観があまり変わらず、節電効果などをアピールすることが一般的でした。

 その流れに大きな変化を起こしそうなのがインターネットへの接続です。これまでは冷蔵庫もエアコンも(テレビもですが)、単体で活用するものであって、それ以上の機能は求められていませんでした。しかし、インターネットにつながることで、ほかの機器との連携や、外出先からのアクセスなどが可能になると、使い方が変わってきます。例えば、冷蔵庫の中を内部カメラで撮影して、外出先からスマートフォンで確認できると便利です。自宅の温度をチェックして帰宅前にエアコンをつけておいたり、逆に電源の切り忘れをチェックして止めたり、便利な使い方はいくらでも思い浮かびます。

 ネットワークはこれからも私たちの生活を変えていくでしょう。特に家電では、コンピュータの通信では問題にならなかった接続設定なども自動にする必要があります。生活に密着するぶん、セキュリティについても意識しないと、影響が大きくなってしまいます。

付加価値はモノからサービスへ

 家電などがネットワークにつながる前と比較してみると、ビジネス面での最大の違いは「モノの販売」から「サービスの提供」になることです。以前はハードウェアを売るだけだったものが、そこに付加されるソフトウェアの機能が差別化の対象となり、さらにネットワークを通じて提供されるサービスの競争へと変化しています。

 一例を挙げると、携帯用音楽プレーヤーの選択では、メーカーやブランド、性能や価格以外の判断基準が出てきました。オンラインで音楽を購入できるサービスや、定額で聞き放題になるサービスが利用できるという理由で、購入する端末を決める人が増えています。音楽プレーヤーを買う、そもそもの動機は、「モノが欲しい」のではなく「音楽が聴きたい」であることを考えると当然です。

継続したサービス提供を実現する視点

 いつでもネットワークに接続できるのであれば、利用者の手元にデータを保存する必要がありません。データをクラウドに預けることが一般的になると、サービス提供者は利用率などのデータを継続的に収集できます。こういったデータを分析すれば、ソフトウェアの開発に活用できるだけでなく、顧客に合わせた新たなサービスを提供できる可能性が高まります。製造業向けのシステムであれば、複数の機械を組み合わせて新たな商品を開発したり、機械が故障する前に対策を実施したり、トラブル状況の把握がスムーズになったり、活用方法はいろいろありそうです。

 ここでのポイントは、複数のデータやサービスを、利用者が組み合わせて使えるようにすることです。機器の一部だけを購入しても、他社製品と組み合わせて利用できるサービスなら利用者は安心して購入でき、利便性も非常に高いです。このとき、「汎用化」「標準化」「モジュール化」といったキーワードが登場します(図2)。もちろん、個々の機器に対する工夫や差別化が求められることは変わりませんが、ハードウェアの進化に合わせたネットワークへの接続を、どのようにビジネスに活かすかを考えることは必須です。

図2:サービス継続のためのキーワードの分類
図2:サービス継続のためのキーワードの分類

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著者プロフィール

  • 増井 敏克(マスイ トシカツ)

    増井技術士事務所 代表。技術士(情報工学部門)、テクニカルエンジニア(ネットワーク、情報セキュリティ)、その他情報処理技術者試験に多数合格。 ITエンジニアのための実務スキル評価サービス「CodeIQ」にて、情報セキュリティやアルゴリズムに関する問題を多数出題している。 また、ビジネス数学検定1級に...

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