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イベントレポート

「データ分析」が破壊的な力を持った時代にSASが提供できる価値とは【SAS FORUM JAPAN 2018】

「SAS FORUM JAPAN 2018」基調講演レポート


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 SAS Institute Japanは5月18日、東京都港区のグランドハイアット東京において「SAS FORUM JAPAN 2018」を開催した。基調講演において、SAS Institute Inc.のエグゼクティブ・バイスプレジデント兼COO兼CTOであるオリバー・シャーベンバーガー氏は「アナリティクス」(分析)が現在、社会や経済を大きく変革する破壊的なテクノロジーとなっていること。そして、これまで40年以上にわたってアナリティクスの領域をリードしてきたSASこそが、アナリティクスから価値を生みだそうとする企業にとって有力なパートナーであることを来場者にアピールした。

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SAS Institute Inc. エグゼクティブ・バイスプレジデント/COO/CTO オリバー・シャーベンバーガー氏

SAS Institute Inc. エグゼクティブ・バイスプレジデント/COO/CTO オリバー・シャーベンバーガー氏

データから価値を生みだす「アナリティクス・エコノミー」の時代に

 シャーベンバーガー氏は冒頭、人々の生活や娯楽を含む社会経済全体が、デジタルテクノロジーによって急激な変化を遂げている現状を強調。その変化は「デジタライゼーション」「オートメーション」「オーグメンテーション」「コネクティビティ」「インテリジェンス」といったトレンドの中で起きているとした。

社会経済全体に急激な変化をもたらしている5つのトレンド
社会経済全体に急激な変化をもたらしている5つのトレンド

 特にデジタライゼーションによってもたらされている新たな社会経済を、同氏は「アナリティクス・エコノミー」と呼んだ。

 「アナログからデジタルへの変化、それに伴って爆発的に増加したデータは、それだけでは価値を生まない。大量のデータは、分析されること(アナリティクス)によって価値を生みだす。エンジンはアナリティクスであり、データはエンジンを動かすための燃料とも言える」(シャーベンバーガー氏)

 これまで、アナリティクスはそれを活用することで「差別化」を図るための要素だった。しかし現在、アナリティクスは既存のさまざまな枠組みを再構築することが可能な「破壊的技術」の性質を帯びてきているとシャーベンバーガー氏は言う。アナリティクスの「破壊的」な特性を加速させているのは、近年、手法の進化が著しいAI(人工知能)の領域だ。

 「近年の急速なAI進化の背景には、膨大なコンピューティングパワーをリーズナブルなコストで利用できるようになり、高度なアナリティクスをより高速に行えるようになったことがある。AIは、すでに人間を超えたビジョンを私たちに提示しようとする領域に入りつつある。過去においては、テクノロジーの進歩が先行し、それがアナリティクスの進化を後押ししてきた。しかし、今ではアナリティクスの進化が、技術の進歩を促進している」(シャーベンバーガー氏)

「アナリティクス」があらゆるデジタルトレンドを加速させる

 シャーベンバーガー氏は、「オートメーション」「オーグメンテーション」「コネクティビティ」「インテリジェンス」といったテーマにおいても、それぞれに劇的な変化が起こっているとする。その変化をドライブしている中核のテクノロジーは、やはりAIだ。

 例えば、人の行ってきた作業を機械によって自動化、効率化する「オートメーション」の流れは、産業革命以降、さまざまな産業、社会を変えてきた。近年では、これまで人間にしかできないと考えられていた意思決定、つまり「インテリジェンス」が必要とされる領域にAIが適用されることで、より幅広い分野での自動化、効率化が可能になってきているとする。例を挙げれば、銀行でのローン申請処理、自動車の自動運転、医療分野や機器メンテナンス分野における画像処理AIによる診断といったことがすでに実用可能な段階に到達している。

 「オーグメンテーション」は、道具により人間の能力を拡張するという形での進化だ。デジタライゼーション以前にも、建設機械や乗り物による腕力や脚力の拡張は、人間の文明を大きく前進させてきた。デジタライゼーション以降では、GPSによる空間認識能力の拡張、AR/MR/VR内における付加情報の取得、AIのサポートによる状況認識能力の拡張など、その領域はさらに広がっている。そして、「コネクティビティ」の向上は、そうした道具、デバイス群がインターネットに接続し膨大なデータをやり取りするための必須要素となっている。

 「ネットワークに接続されたデバイスは、そこで得たデータをもとに、AIの学習と、ユーザー向けのパーソナライズを同時に行えるようなものでなければならない。こうしたことが可能な環境は、AIとIoTとを組み合わせて『AIoT』と呼ばれるようになっている」(シャーベンバーガー氏)

 AIoTの環境では、AIのモデルに基づいて判断や制御を行う仕組みと、その結果をデータセンターに送って学習に利用する仕組みとをスマートデバイスなどの機器に組み込んで利用する。大規模施設における装置の調整、医療機器の制御による患者ごとの投薬量変更、スマートフォンを介した個人の健康診断や機械翻訳など、AIoTの適用領域は広範におよぶとする。

 では、こうした「アナリティクス・エコノミー」の時代において、アナリティクスの破壊的な力をビジネスで活用していくためには何が必要なのだろうか。シャーベンバーガー氏は、企業にとってアナリティクス活用の障壁となっている課題として「人材不足」「運用の難しさ」「データ戦略の不足によるデータのサイロ化」などを挙げ、これらを解決するためのソリューションが、SASの分析エンジンと、同社が提供するAIおよびアナリティクス活用の統合プラットフォームである「SAS Viya」であるとした。

 SAS Viyaの特長は「オープン性(Openness)」「柔軟性(Flexibility)」「運用性(Operational)」であり、データの収集、整理、デプロイ、分析といった「アナリティクス・ライフサイクル」を反復していくための機能を包含すると言う。

 「SASは42年前に設立されて以来、アナリティクスが世の中に変化をもたらすテクノロジーであることを一貫して掲げてきた。そして、実際にアナリティクスは生活のあらゆる側面に変化を起こしてきた。今、アナリティクスは破壊的な技術となりつつあるが、この破壊には大きなチャンスが伴う。アナリティクスを活用し、データの価値を利用できる組織、データを根拠に行動を変えることができる組織には大きなアドバンテージが生まれる。SASは、これからもアナリティクスを活用する組織を強力にサポートする。それがSASの存在理由だ」(シャーベンバーガー氏)

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この記事の著者

柴田 克己(シバタ カツミ)

フリーのライター・編集者。1995年に「PC WEEK日本版」の編集記者としてIT業界入り。以後、インターネット情報誌、ゲーム誌、ビジネス誌、ZDNet Japan、CNET Japanといったウェブメディアなどの製作に携わり、現在に至る。現在、プログラミングは趣味レベルでたしなむ。最近書いているの...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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