- 講演資料(セガゲームス 上田展生氏):GitHub Enterprize 導入から定着までにやってきたこと
- 講演資料(マクニカネットワークス 根本竜也氏・廣田華代氏):セキュアな環境でDevOpsを実現する厳選ツール
「GitHub Enterprise」の導入から定着まで
セガゲームスのスマートフォンゲーム開発では、もともとバージョン管理ツールとしてSubversionを使用していた。だが、よりモダンな開発環境に刷新するため、2016年から「GitHub Enterprise」の試験的な導入を開始した。
「2016年5月ごろに、3名で導入委員会を立ち上げました。この時点では50ライセンスを購入し、まずは新規プロジェクトにGitHubを導入。この方針は正解でした。利用者に向けて説明会も開催し、スムーズなスタートを切ることができました」(セガゲームス 上田氏)
数カ月後、ライセンス数を50から100に拡大した。導入委員会の3名のうち1名はGitHub普及の専任メンバーとなり、インフラの整備やトラブル対応を実施。2016年12月ごろには、社員からGitHubに対するポジティブな声が寄せられるようになった。
「この時点で、全社的な導入を進めるために会社への説得を行いました。ただ、『なぜ導入する必要があるのか?』というネガティブな意見もいくつか出て。よく指摘された3点と、どう説得したかをご紹介します。
まず、『Subversionのままではダメなのか?』ということ。この意見に対しては、Google検索トレンドの傾向を紹介しました。Subversionの検索数は下降しており、GitHubの検索数は上昇している。多くの企業はSubversionからGitHubに乗り換えていることを明示しました。
次に、『レビューの価値がよくわからない』という意見。これに対しては、Pull Requestベースによるレビューを行うことで作業の手戻りを減らせるため、経済的なメリットが大きいことを解説しました。
『無料のGitHubクローンではダメなのか?』という意見もありましたが、GitHubはデファクトスタンダードであるため情報が得やすいこと、Enterprise版ならばマクニカネットワークスさんから有益なサポートを受けられることなどを説明していきました」(セガゲームス 上田氏)
その結果、会社からの承認を得て2017年から本格導入を開始。新規プロジェクトを開始する際は必ずGitHubでリポジトリ管理するように運用を変えた。導入委員会はさらにサポートを強化し、ドキュメントの拡充や社内ハンズオン、トラブル対応などを実施。その結果、徐々に賛同者は増えていったという。
だが、まだ課題は残っていた。ゲーム開発において、ファイル管理を行うのはエンジニアだけではない。当然ながら、デザイナーやプランナーもファイルを扱う。すべてのファイルを統合的にGitHub管理する過程で、エンジニア以外のメンバーから「Gitの操作が大変だ。Subversionに戻してほしい」という意見があがったのだ。
その課題に対し、「Pengit」というGitHubクライアントを作成することで対応した。このツールはGUI上で簡単に操作できるため、Gitの学習コストが大幅に軽減可能だ。こうした施策を続けたことで、2018年の秋にはGitHub Enterpriseが全社的に浸透。GitHub導入による成果も、明確に表れてきたという。
現在セガゲームスでは、もう一歩進んだ活用方法を2つの軸で推進している。1つは「CircleCI」など、ほかのツールとの連携。もう1つは、GitHub Enterpriseのデータを収集することで、うまくいっているプロジェクトに共通して見られる傾向を分析することだ。
「GitHubを活用することで、開発体制そのものを改善していける仕組みが整いつつあります」(セガゲームス 上田氏)