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Developers CAREER Boost 2023 セッションレポート(AD)

AWS Top Engineersが教える、クラウドサービスとコミュニティで織りなすスキルアップキャリア道

【B-3】クラウド時代の舞台裏~多彩なスキルアップ戦略とは?~

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新たなキャリアへの扉を開く、コミュニティとキャリアの相互効果とは?

 こうした佐々木氏の挑戦やスキルアップが成功したのは、自身の努力だけでなく、新しいチャレンジを認めてくれる周りの環境があってこそ。幸い佐々木氏の上司は、佐々木氏が熱心に語るサーバレスアーキテクチャや新しい仕事の仕方について耳を傾け、理解をしてくれたという。しかし、人によってはそうでない場合も少なくはない。その際は環境を変えることも1つの手段と言えるだろう。

 佐々木氏は「わかってくれる人は世界に必ずいるはず。共感できる仲間を見つけることも重要であり、それは社内に限らない」と語り、2つめのスキルアップ戦略として、ユーザーコミュニティを活用することを挙げた。

 ユーザーコミュニティとは、特定の商品やサービスのユーザーが集まり、意見やノウハウを交換し、情報を共有する場のことだ。佐々木氏は「JAWS-UG」と「SORACOM UG」のそれぞれ札幌支部に運営メンバーとして携わる。現在、SORACOMではあまり活動できていないものの、「いつか札幌でイベントを開催したい」と語る。他にもPHPやOffice 365などさまざまなコミュニティが活動中であり、佐々木氏は、「転職経験がない人や社外の情報が欲しい人は、ぜひとも興味のあることのコミュニティに参加することをおすすめする」と語った。

佐々木氏のJAWS-UGでの活動
佐々木氏のJAWS-UGでの活動

 なお「JAWS-UG」は、全国各地の支部の他、特定分野に特化した専門支部で構成され、その数は2023年時点で60を超える。世界的にも活発に活動しており、年間約450回以上の勉強会がオン&オフラインで開催され、誰でも参加できる。AWSを業務で触っている人はもちろん、触り始めたばかりの人、これから触ってみたいという人など、参加動機はさまざま。AWSを軸に自身の活動への賛同・共感を得たり、思いもしない活用法に驚いたり、仕事や趣味の悩みまで多様な交流が行なわれている。

JAWS-UGの支部は全国に
JAWS-UGの支部は全国に

 基本的には、勉強スタイルや事例発表などのライトニングトーク(3〜5分程度の短いプレゼンテーション)がメインで、「ハンズオン」や「もくもく会」と呼ばれる自分で集中的に作業に取り組む会もある。業務後の参加が難しい人でも、朝会や昼の開催もあるので、参加してみると良いだろう。

 佐々木氏は札幌での開催の様子を紹介し、「アウトプットをしないのは“知的な便秘”と聞く。参加してインプットしたら、ぜひ自身の体験を発表してみてほしい。成功事例だけでなく、失敗も大事なアウトプット。上手に発表する必要もない」と語った。

 なお佐々木氏の場合は2015年に初めて登壇し、拙い説明だったものの温かい声をかけてもらったという。そして、登壇したことでメインセッションの講演者と交流する機会が得られ、その後の再会を機に一緒に仕事をすることもあるとか。他のコミュニティでも登壇や発表の機会を得たり、ハンズオンや外部講師などで活動したりするようになった結果、2021年と2022年には「AWS Top Engineers」に選出された。優秀なエンジニアとAWSから認められたことで、社内でもトップエンジニアとして現役職についたという。ユーザーグループでの活動とキャリアが密接に結びついた結果だ。

佐々木氏の登壇実績
イベント登壇の様子

 なお「AWS Top Engineers」は所属会社がAWSパートナーネットワークへ参加していることが認定条件のため、条件に合わない場合は、「AWS ヒーロー」「AWS コミュニティビルダー」などの認定制度に注目するとよいだろう。特にAWSパートナーネットワークに参加する企業の採用では、これらの認定が有利に働くことが多い。当然、社内のキャリアアップにもプラスになるといえる。他業界からのジョブチェンジにも有効であり、佐々木氏の知人は、IT未経験のテレビ局勤務から4年後に「AWS HEROES」認定を取得し、現在はエンジニアとして活躍中だという。

未来を楽しみながら築く:楽しさとスキルアップが導くキャリアの可能性

 スキルアップ戦略として、「現状のやり方を根本から覆すこと」と「ユーザーコミュニティを活用すること」について語った佐々木氏だが、今後のエンジニアのスキルアップについてはどのように考えているのだろうか。入社7年で自身のキャリアを自立的に考えるようになってAWS Lambdaに出会い、社外コミュニティに参加、AWSのイベントに登壇、ユーザーグループの立ち上げやサーバレスの講師活動など外部的な影響力を見認められ、プロフェッショナル、さらにシニアプロフェッショナルへと昇格した。

キャリアとコミュニティでの活動を振り返って
キャリアとコミュニティでの活動を振り返って

 この経緯について、佐々木氏は「決して特別なことをしたわけではなく、ただ自分の好きなことを追いかけ続けてきた結果」と評し、「社内での評価は会社が変わるとリセットされるが、社外の評価は変わらない。ぜひとも自分のキャリアのためにも新しいことに挑戦しよう。インプットとアウトプットでキャリアアップする方法があることも知ってほしい」と語った。

 確かにIT業界は日々アップデートしており、その進歩は凄まじく速い。AWSだけでも年間1000以上のアップデートがなされ、全てをキャッチアップするのは難しい。さらにLLM(大規模言語モデル)やChatGPTなどが登場し、革新的なサービスが生まれるなど、IT業界は急速に変化し続けている。それらへの追従もかなりの困難が生じるだろう。佐々木氏は「もともと勉強は好きではなく、これらを仕事として勉強していたら息切れしていた。遊びの延長線上だったからこそスキルアップすることができた」と振り返りつつ、「英語が苦手なので効率的な勉強法を知りたい」と語った。

 そして最後に、11月開催の「AWS re:Invent」で登壇したAmazon CTOであるWerner博士のキーノートから、エンジニアのキャリア形成に重要な3つのポイントを紹介した。まず1つめは「Learn and be Curious:学び、好奇心を持ち続けよ」、そして「There's never been a better time to be a builder:開発者になるのにこれほどいい時期はない」。スキルチェンジやキャリアアップをするのに、これほど良い時期はないとも捉えられ、エンジニアのキャリアに無限の可能性が秘められていることが示されている。そして、3つ目は「If I can do it, you can do it:私にできるなら、あなたにもできる」だ。佐々木氏はこれを聞いて、「自分にもできるし、もっとスキルアップしていきたい」と思ったという。

 佐々木氏は、「自分ができたように皆さんにもできるはず。ぜひ、互いに切磋琢磨していこう」と語り、セッションを終えた。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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