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FileMaker Pro 実践チュートリアル(AD)

FileMaker Pro によるWebデータベース構築 (2) : インスタントWeb公開

第8回 FileMakerの使いやすさを体現したインスタントWeb公開

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スクリプトの利用

 画面左にFileMaker Proと同様のステータスエリアが表示されていますが、FileMaker Proのスクリプトを利用してそのステータスエリアを隠すこともできます。スクリプトを作成するには、FileMaker Proで[スクリプト]メニューの[ScriptMaker]を選び、[スクリプトの管理]ウインドウにある[作成]ボタンをクリックします(図14)。

図14 [スクリプトの管理]ウインドウ
図14 [スクリプトの管理]ウインドウ

 スクリプト名は「ログイン」にして、左側に表示されている[ウインドウ]のカテゴリーから、[ステータスエリアの表示切り替え]ステップを選択し、[移動]ボタンをクリックします。続いて、画面右下に表示されている、該当ステップのスクリプトステップオプションを[表示切り替え]から[隠す]に変更します。そして、[スクリプト]メニューの[スクリプトの保存]を選択すると、作成したスクリプトが保存されます。

 なお、スクリプトの編集ウインドウの左下にある[Web の互換を区別して表示]にチェックをつけると、Web上でサポートされていないスクリプトステップは淡く表示されるようになり、各ステップのWeb互換性を確認できます(図15)。

図15 [Web の互換を区別して表示]で各スクリプトステップのWeb互換性を確認できる
図15 [Web の互換を区別して表示]で各スクリプトステップのWeb互換性を確認できる

 続いて、該当ファイルを開いた時に、スクリプトが実行されるようにしてみましょう。[ファイル]メニューの[ファイルオプション]を選択すると、該当ファイルを開く時に実行するスクリプトを指定する設定画面が現れます。[このファイルを開く時]の[実行するスクリプト]の右にある[指定]ボタンをクリックすると(図16)、スクリプトを指定するダイアログボックスが表示されます。

図16 [ファイルオプション]ダイアログボックスでファイル開閉時に実行するスクリプトを指定できる
図16 [ファイルオプション]ダイアログボックスでファイル開閉時に実行するスクリプトを指定できる

 さきほど作成したスクリプト(「ログイン」)を選択して、[OK]ボタンを押します(図17)。

図17 ファイルを開く時に実行するスクリプトを指定
図17 ファイルを開く時に実行するスクリプトを指定

 続いて[ファイルオプション]ダイアログボックスの[OK]ボタンを押すと、該当ファイルを開く時に実行するスクリプトが割り当てられます。

 再度Webブラウザに戻って、データベースホームページにおいて「HelloWorld」をクリックします。今度は、ステータスエリアが隠れている状態になっていることを確認できます。ただし、今のままではFileMaker Proでファイルを開いた時も、ステータスエリアを隠すスクリプトが実行されます。Webブラウザでのアクセスの場合のみ、ステータスエリアが隠れるようにしたい場合には、該当スクリプトを下記の図18のように変更します。

図18 Web経由のアクセスの場合のみステータスエリアを隠すようにスクリプトを変更
図18 Web経由のアクセスの場合のみステータスエリアを隠すようにスクリプトを変更

 Get ( アプリケーションバージョン)関数を使用すると、クライアントの種類を判別できます。「FileMaker Web Publishing」という文字列が含まれていれば、Web経由のアクセスであると判断できますので、[If]スクリプトステップの条件式の内容は次のようにすれば、Webブラウザでのアクセスの場合のみステータスエリアを隠すことができます。なお、任意の文字列がいくつ含まれているか調べる場合には、FileMakerではPatternCount関数を使います。

PatternCount ( Get ( アプリケーションバージョン ); 
"FileMaker Web Publishing" ) = 1

 Web互換のスクリプトステップしか使用できないものの、インスタントWeb公開でもFileMaker Proのスクリプトを実行させることができます。レイアウト上に配置したボタンにもスクリプトを割り当てることが可能であり、FileMaker Proの場合と同様にデータベースを作り上げていくことができます。記事に付属しているサンプルファイル(図19)で、FileMaker Proで定義したレイアウトがWebブラウザに反映されることや、レイアウト上に配置されたボタンを使用してスクリプトを実行できることなどを確認してみてください。

図19 記事に付属しているサンプルファイルの画面
図19 記事に付属しているサンプルファイルの画面
データベースホームページのカスタマイズ
 インスタントWeb公開では、通常のWebサイトのようにHTMLを自由に記述できないという仕様上の制限がありますが、データベースホームページのみカスタマイズが可能です。FileMaker Proの場合は、「iwp_home.html」という名前のHTMLファイルをFileMaker Proフォルダ内にある「Web」フォルダの中に保存すると、デフォルトのデータベースホームページを置き換えることができます。

インスタントWeb公開の限界

 データベースソフトウェアでありながらドローソフトウェアのように使用できるFileMaker Proのレイアウト機能を活用できるものの、インスタントWeb公開には残念ながら限界があります。インスタントWeb公開ではCSS(Cascading Style Sheet)を使用してWebブラウザ上でレンダリングされますが、一部のレイアウトオブジェクトはCSSで表示できず、FileMaker Proで定義したレイアウトがWebブラウザで完全に再現されるわけではありません。また、Web互換のスクリプトステップしか実行できないため、標準機能ではレコードのエクスポートやメールの送信ができません。FileMaker Proの機能すべてがインスタントWeb公開でもサポートされているわけではなく、さらにFileMaker Proの場合と挙動が違う部分もあります。

 FileMaker Proの[ヘルプ]メニューの[製品マニュアル]サブメニュー内にある[インスタント Web 公開ガイド]を選ぶと(図20)、PDF形式の製品マニュアル「インスタント Web 公開ガイド」が表示されます。WindowsではPDFファイルを表示させるためにPDFリーダ(Adobe Reader)が別途必要ですが、仕様上の制限や機能の差異について記載されていますので、詳細については製品マニュアルの内容を確認するようにしてください。

図20 FileMaker Pro 9ではメニューから素早く製品マニュアルを開くことが可能
図20 FileMaker Pro 9ではメニューから素早く製品マニュアルを開くことが可能

まとめ

 FileMakerのインスタントWeb公開について駆け足で解説しました。インターフェイスを工夫して作り込めば、インスタントWeb公開でも実用的なWebアプリケーションを構築できます。今回はインスタントWeb公開の最初の一歩を解説しただけですが、記事に付属のサンプルファイルも確認していただければ、インスタントWeb公開の実用性や可能性を実感していただけることと思います。ただし、インスタントWeb公開で対応できない機能を実装する必要がある場合、次に検討する候補はカスタムWeb公開となることでしょう。

 それでは、このあたりで次の方へバトンを渡したいと思います。次回も引き続きFileMakerのWeb公開に関する話題で、今度はPHPを使用したカスタムWeb公開について解説される予定です。乞うご期待。

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この記事の著者

松尾 篤(マツオ アツシ)

2000年に株式会社エミックに入社。2007年より同社代表取締役。FileMakerとオープンソースソフトウェアのインテグレーションを得意とし、FileMakerによるWeb公開に関連する内容を取り扱ったブログを日々更新中。FileMaker 8 認定デベロッパ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/2213 2008/09/05 11:02

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