はじめに
Ruby on Railsの登場から、Webアプリケーションを構築するためのフレームワークはさまざまなLL(Lightweight Language)系言語を中心に生み出されてきました。
本連載ではPerlで実装されたWebアプリケーションフレームワークであるCatalyst(カタリスト)について、基本的な仕組みや実装方法などをサンプルを交えて紹介していきます。
初回では、Catalystのインストールと簡単なサンプルアプリケーションの作成までを紹介します。
対象読者
- Perlで簡単なスクリプトを作成したことのある方
- Webアプリケーションの基本的な仕組み(HTTPリクエスト、レスポンスなど)についての知識のある方
必要な環境
本連載で紹介するサンプルなどを実行している環境は次のとおりです。
CentOS 5.3
- Perl 5.8.9
- Catalyst 5.80007
また、今回はWindows上へのインストール方法も説明していますが、その環境は次のとおりです。
Windows Vista
- ActivePerl 5.8.9 Build 826
- Catalyst 5.80007
また、データベースを使用するサンプルなどではSQLiteを使用します。
Perl5.10.0では「Unknown error」バグと呼ばれる問題があるため、Catalyst::Devel
をインストールする際に警告が出ます(参考:『Attributes + UnkownError』)。
この問題に対する修正は既にリポジトリには反映されていますが、5.10.0上でCatalystの開発環境を構築するには、5.10.1の正式リリースを待つか、リポジトリから取得してインストールするなどの作業が必要になります。このため、本連載ではPerl5.8系の最新バージョンである5.8.9を使用してサンプルプログラムの作成、解説などを行っていきます。
Catalystとは
「Catalyst」という言葉には「触媒」という意味があります。その言葉どおり、Catalystフレームワークは、後述するCPANに登録されたモジュールと連携することを前提に設計されています。そして、その他のWebアプリケーションフレームワークと同様にMVC(Model-View-Controller)パターンを利用しており、役割に応じて実装するコンポーネントを分離することで効率的な開発やメンテナンスを可能にしています。
例えば見た目だけの変更を行いたいのであれば、Viewの該当部分だけを修正すればよく、他のModelやControllerには手を入れることなく実装、メンテナンスを行うことができます。さらに、同じ内容のデータをHTMLだけでなく、PDFやメール形式で表現することもできます。
Catalystについての情報は、Catalyst - Web Frameworkからたどることができます。英語ではありますが参照ください。
CPANについて
CPAN(Comprehensive Perl Archive Network:「シーパン」と発音します)とは、Perlを使っている人ならば、おそらく一度はお世話になったことのあるWebサイト/仕組みだと思います。世界中の開発者がさまざまなモジュールやドキュメントを登録しており、検索サイトに行けばキーワード検索だけでなくカテゴリから必要なモジュールを探すこともできます。CatalystもCPANに登録されているので、CPANを使ってインストールやアップグレードを行います。
CPANにはモジュールだけではなくドキュメントも登録されており、チュートリアルなどの情報もCatalyst- Manualから得ることができます。英語ではありますが、いろいろな情報を得ることができるのでぜひチェックしてください。