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「SEXYHOOK」 とある関数の接合部

SEXYHOOKで始めるテスト
とある関数の接合部(1)

既存のソースコードに手を加えず、自由に接合部を作成

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ダウンロード sexyhook0.8 (80.0 KB)

 テストを書いていると、一時的に関数の挙動を書き換えたいときがあります。time()がハードコートされている関数をデバッグしたい時や、まれにしか失敗しないAPIの失敗をエミュレーションしたい時などです。本稿では、一時的に関数の挙動を書き換え、失敗を返すことが可能になる「SEXYHOOK」の使い方について説明します。

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はじめに

 テストを書いていると、一時的に関数の挙動を書き換えたいときがあります。

 time()がハードコードされている関数をデバッグしたい時や、稀にしか失敗しないAPIの失敗をエミュレーションしたい時などです。これらはテストの自動化の妨げになっていました。

 拙作のSEXYHOOKを利用すると、一時的に関数の挙動を書き換え、失敗を返すことが可能になります。

 本稿では、SEXYHOOKの使い方について説明します。

対象読者

  • C++でソフトの開発を行い、テストを書きたいエンジニア

 SEXYHOOKはC++で使うことを想定しています。

必要な環境

  • Windows
  •  Microsoft Visual C++ 6/2003/2005/2008

  • Linux
  •  GCC 4.x(推奨) / 3.x

 現状では32bitバージョンのみのサポートになります。SEXYHOOKはデバッグビルドのみで利用できます。

SEXYHOOK本体

 ご自由にご利用ください。

コンパイルオプションの注意

Microsoft Visual C++ 6~2003

 このバージョンには、__LINE__の展開バグがあるため、デバッグ情報に標準のエディットコンティニュ(/ZI)オプションが利用できません。

 エディットコンティニュ(/ZI)オプションの代わりにプログラムデータベースを使用(/Zi)オプションを指定してください。

 詳しくは、マイクロソフトのナレッジをご覧ください。

gcc

 デバッグビルド、最適化なしで実行してください。

-g -O0

 ソースコードはSJISで記述しているため、--input-charset=cp932オプションを推奨します。

テストと接合部

 この関数は2000年以上だったらtrue、それ以前だったらfalseを返す関数です。

//2000年以上か?
bool isOver2000year()
{
        //現在なら間違いなく true. これを falseにするには?
        return time(NULL) >= 946652400; //2000-01-01 00:00:00
}

 現在は2000年以降なので、isOver2000year関数を動かしてみるとtrueを必ず返します。確かに仕様どおりなのですが、テストを行う以上、isOver2000year関数がfalseを返すところを確かめないといけません。

 isOver2000year関数は、残念なことに関数内にtime関数をハードコードしています。そのため、isOver2000year関数がfalseを返すことを確認するには、PCの時計を1999年などの昔に戻し、関数を実行しなくてはいけません。

 毎回PCの時計を戻すなどの作業を行うのは手間です。手作業が発生するため、自動テストを構築することもできません。ここで、一時的にtime関数をフックして、昔の時刻を返すことができないかと考えました。もし、time関数が現在は1999年だと答えさせることができれば、isOver2000year関数がfalseを返すところを確認できます。

 そこでSEXYHOOKの出番です。SEXYHOOKを利用すれば、関数、API、クラスメソッドなどの挙動を一時的に書き換えることができます。

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この記事の著者

rti(あーるてぃーあい)

働いたら負けだと思っていた元ニートのプログラマ歌って踊れてさくらたんにもハァハァできます。love:C++,アセンブラ,PHP,javascript好きのOO厨房低レイヤープログラムやネットワークサーバからサーバサイドプログラム、ソフトウェア設計、インフラ設計運用までと幅広くやってます。多分設計信者。 あんまり得意ではないけど 人工知能(学習エンジン)とかシステム...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/4882 2010/02/23 13:15

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