はじめに
2010年11月のPDCでWindows Azureの新機能が多数紹介されましたが、その中にWindows Azure MarketPlace DataMarket(以降、DataMarket)が正式にリリースされたことも発表されていました。ただ、その他のサービスと異なり雰囲気が違うため、これまで日本において使用イメージがあまり言及されることがありませんでした。しかし、筆者はこのサービスがマッシュアップと呼ばれるWebプログラミングの潮流をさらに進化させ、支えていく重要なサービスになっていくと信じて注目しています。そのため、今回DataMarketのサービス概要を紹介して実際に使用してみることで、皆さんにもこのサービスをイメージしていただきたいと思います。
対象読者
- クラウドとして提供されるサービスに興味がある方
- DataMarketに興味がある方
- マッシュアップでのサービス開発に興味がある方
必要な環境
- 有効なWindows Live IDアカウント
DataMarketとは
マイクロソフト社が提供するクラウドサービスではPaaSとしてのWindows Azure Platform、SaaSとしてのOffice 365などの他にWindows Azure MarketPlaceと呼ばれるオンラインマーケットのサービスがあります。MarketPlaceは"Application"と"DataMarket"の2つのセクションから構成されており、今回紹介するのは"DataMarket"になります。このサービスは以前コードネーム Dallasと呼ばれていたものです。なお、"Application"はサービスやアプリケーションなどを対象としたマーケットプレイスです。12月下旬にベータ公開されています。
このサービスはMarketPlace(場所としての市場) DataMarket(データの市場)という言葉で表現されているように、データベースのデータを売り買いするための市場を提供するサービスになります。
これまでデータを取得する場合は、例えばLivedoor Weather Web Serviceのようにデータベースを提供している事業者のサイトを探した上で、それぞれの規約やデータ提供方法に従ってデータを受け取る必要がありました。そのため、必要なデータを探して使用するには非常に手間がかかりました。このような状況を打開できる可能性をDataMarketは持っています。
まず、すべての情報はDataMarketのサービス経由で呼び出されるため、統一された手法でアクセスできます。また、データの提供もすべてODataと呼ばれるWebベースで提供されるデータ共有・操作のためのプロトコルで統一して提供しているためアクセスは容易です。また、ODataはVisual StudioやExcelなどで対応しているため使用も容易です。
また、同じ場所でデータを購入できることも重要なサービスです。例えば洗濯機を買うために小売店に行った際に、店内を見回してたまたま目に入ったkinectコントローラが気になることがあるかもしれません。このように、これまでのように事業者ごとにデータが配置されていたならば気づかなかったような発見の可能性が高まるのが一箇所に情報が集まった効果です。これにより、今まで思いつかなかったような新しいマッシュアップでのサービスが構築されるかもしれません。
このように新しい可能性を開くためのインキュベータとなりうるのが、Windows Azure MarketPlace DataMarketです。
現在、国連が提供する統計情報・ヨーロッパの温暖化ガスの排出状況・地図情報・シンガポールの観光情報・薬関連の統計情報・MLB(野球のメジャーリーグ)NFL(アメリカのアメリカンフットボールのプロリーグ)・天気情報など様々な情報が提供されていて、まだまだ増えているようです。