場所ではなく、人に注目した「アジアンハッカー列伝」という連載をエンジニアtypeでやっているので、そちらも併せてご覧ください。
ハッカースペースへのいざない
僕はチームラボMake部/ニコニコ学会β/DMM.Makeなどで活動しています。今年の2月くらいから、世界のいろいろなところでチームラボの話を中心に、Make関連のイベントで講演の依頼をいただくことが多く、8月中旬から9月上旬にかけては、スウェーデンの「The Conference」というイベントに招待されて、ヨーロッパに行ってきました(リンク先は僕の講演のアーカイブです)。基本はシンガポールを拠点に活動しています。
ハッカー達と友達になるのはとても楽しいことです。日本人のハッカーなら、たぶん簡単に彼らと友達になれます。コカコーラかマンガ雑誌をおみやげに、ステッカーがベタベタ貼ってあるラップトップを抱えてハッカースペースを訪問すれば、そこには「おまいら」が待っています。
ハッカースペースってどんなところ?
先進国の都市には、たいていハッカースペースがあります。西欧が本場で、デンマークのコペンハーゲンには、
「これがハッカースペースだ」という明確な定義はなく、認定組織などもありませんが、有志によって運営されている「Hackerspace Wiki」に、世界の「自称ハッカースペース」はまとめられています。
あなたが自分の場所をここに登録すれば、新しいハッカースペースの誕生です。
ハッカースペースの多くは、フリーランスのエンジニアやデザイナーのためのシェアオフィスとなっています。
月額メンバーシップ費を払えば机が与えられ、郵便物を受け取ることができるハッカースペースや、なかには個室が与えられて住めるハッカースペースもあります。単なるシェアオフィスとの違いとして、基本的にはメンバーは「コンピュータを使って何かを作ることを生業にしてる」人たちであることと、アポイントなしの来訪でもおおむね歓迎してくれる(すくなくとも、邪魔には思わない)ことがあげられます。
多くのハッカースペースがソファーや寝袋などを備え、いつも誰かしらハッカーがいます。固定の住人がいなくても、誰かがいつもいることは、大学の部室のようなとてもカジュアルな雰囲気、生活感をつくります。
僕は基本的にはメールかIRCチャットでアポイントを取るのですが、そうしたハッカースペースからは「まあ、いつでも誰かいるから、適当に来てよ」みたいな回答が返ってきます。
中ではもちろん各自、PCに向かって何かしています。プログラムを書いている人、ハンダとオシロスコープで電子回路を作っている人、旋盤で削ってる人……もちろんネットゲームやってる人やアニメを見ている人もいます。共通の書棚には技術書が並び、ボードゲームなどもあります。
ワークショップ、ハッカソン、プレゼンテーション大会なども頻繁に行われます。週に1回程度「Meetup」と呼ばれるプレゼン大会と飲み会を兼ねたイベントが行われ、そこで「君、最近どんなモノ作ったの?」という情報交換が行われることが多いようです。
フリーランスのエンジニアやデザイナー、まさに会社を立ちあげたばかりのスタートアップにとって、そういう交流は新しい仕事や仲間を探すための貴重な機会です。自分たちがハッカースペースにいることは、メンバーにとって生活や正業の一部なのです。
この連載では、
- 物理的なスペースであること
- ハッカー達がいること
- 誰でも中に入れて、アポイントとか会議とかの目的がなくても、その場にいることができること
を指してハッカースペースと扱います。
もちろん、夜中には誰もいないとか、休日でないと人が集まりづらいとかは当たり前なのですが、「ワークショップの時だけ開ける」ようなハッカースペースはここでは扱わないようにします。