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【2025年最新】Pythonとは?学習入門ガイドや活用例、スキルアップによるキャリアメリットを紹介

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 エンジニアを目指すなら知っておきたいPythonの主な特徴や歴史、人気の理由や活用できる開発ジャンル、具体的な事例に加えて大人にも子どもにも役立つ効果的な学習方法を徹底解説します。

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Pythonとは何か

 Pythonは、コンピューターに特定のタスクを実行させるための「命令」を記述する道具であるプログラミング言語の一つです。世界中の開発者から絶大な支持を得ており、その人気の背景には次のような項目が挙げられます。

  • シンプルで読みやすい文法
  • 広範な応用性
  • 活発なコミュニティの存在

 Web開発、データサイエンス、AI、自動化、組み込みシステムなど、多岐にわたる分野で利用されるPythonですが、なぜこれほどまでに普及したのか、その核心に迫っていきましょう。

Pythonの特徴

 Pythonの最大の特徴は、そのシンプルで可読性の高い構文にあります。他の多くのプログラミング言語では、コードブロックを区切る際に中括弧({})を使用しますが、Pythonではインデント(字下げ)によってブロック構造を表現します。この規則は、強制的に読みやすいコードを書くことを促し、チーム開発におけるコード品質の統一にも寄与します。

 また、インタプリタ型言語であることも特徴です。これは、プログラムを実行する前にコンパイル(機械が理解できる形式に変換する作業)を必要とせず、書いたコードを一行ずつ逐次的に実行していく方式を指します。これにより、開発のサイクルが速くなり、テストやデバッグが容易になります。

 さらに、Pythonはオブジェクト指向言語でもあります。これにより、現実世界に存在する「モノ」を模倣した形でプログラムを設計することができ、再利用性が高く、メンテナンスしやすいコードを書くことが可能です。オブジェクト指向の概念は、大規模なシステム開発において非常に重要な役割を果たします。

Pythonの特徴まとめ

  • シンプルで可読性の高い構文
  • プログラム実行前にコンパイルを必要としないインタプリタ型言語
  • 再利用性・メンテナンス性が高いオブジェクト指向言語

Pythonのプログラミング言語としての歴史的背景

 Pythonの歴史は、1980年代後半にオランダの研究機関で生まれた「ABC」というプログラミング言語にさかのぼります。この言語は教育用途で開発されたもので、シンプルで読みやすいという特徴を持っていました。しかし、ファイルシステムへのアクセスや例外処理など、実用的な機能が不足していたのです。

 これに不満を抱いたGuido van Rossum氏が、ABCの利点を引き継ぎつつ、より実用的な機能を追加した新しい言語の開発に着手します。そして、1991年に最初のPythonのバージョン(0.9.0)がリリースされました。Pythonという名前は、英国のコメディ番組「空飛ぶモンティ・パイソン(Monty Python's Flying Circus)」に由来しており、このことからも開発者のユーモア精神がうかがえます。

 初期のPythonは、システム管理やWebスクリプトの作成といったニッチな用途で利用されていましたが、豊富なライブラリとフレームワークが次々と登場し、Web開発や科学計算分野での利用が拡大しました。特に、2000年代後半から始まったデータサイエンスと機械学習ブームが、Pythonの地位を確固たるものにしました。NumPy、Pandas、Scikit-learn、TensorFlowといった強力なライブラリ群がPythonのエコシステムを支え、今やAI分野ではデファクトスタンダードとなっています。

Pythonが人気を集める理由

 Pythonがこれほどまでに人気を集めているのには、明確な理由があります。ここでは主に4つ紹介します。

機械学習・AI開発領域での活用

 近年、最も顕著なのがAI・機械学習分野での優位性です。Pythonは、機械学習や深層学習(ディープラーニング)のためのライブラリが非常に豊富であり、TensorFlow、PyTorch、Keras、Scikit-learnといった主要なフレームワークがすべてPythonで利用できます。これにより、複雑なAIモデルの開発やデータ分析を効率的に行うことが可能です。また、データサイエンティストの多くがPythonを主要なツールとしており、この分野でのPythonの地位は揺るぎないものとなっています。

Webアプリケーション開発が容易にできる

 PythonはWeb開発にも非常に強力な言語です。DjangoやFlaskといったフレームワークを利用することで、効率的かつセキュアなWebアプリケーションを構築できます。これらのフレームワークは、データベースとの連携、ルーティング、テンプレート処理など、Web開発に必要な多くの機能をあらかじめ提供しており、開発者がビジネスロジックに集中できる環境を整えています。InstagramやDropboxなど、世界的に有名なサービスもPythonで開発されています。

自動化による業務効率化が可能

 Pythonは、繰り返し行う日常的な作業を自動化するスクリプトを作成するのに最適です。ファイルの整理、Webからの情報収集(スクレイピング)、レポートの自動生成、メールの送信など、様々なタスクを少ないコードで実現できます。これにより、手作業によるミスを減らし、生産性を大幅に向上させることが可能です。

Raspberry Piなど組み込みシステムやIoTデバイス開発にも使える

 Pythonは、小さなコンピューターボード「Raspberry Pi」のような組み込みシステムや、IoT(Internet of Things)デバイスの開発にも広く使われています。GPIO(汎用入出力)ピンを簡単に制御できるライブラリが多数存在するため、センサーデータの取得やモーターの制御など、ハードウェアとソフトウェアを連携させたプロジェクトを容易に進めることができます。

他のプログラミング言語(Java・JavaScript・C/C++)との比較

 Pythonは「これさえ使えれば何でもできる」というほど万能な言語ではありませんが、他の言語と比べて多くの分野で独自の強みを持っています。

Javaとの比較 Javaは厳格な静的型付けを持ち、大規模かつ堅牢なエンタープライズシステム開発に適しています。一方、Pythonは動的型付けで、より少ないコード量で素早く開発を進められるため、スタートアップやデータサイエンス分野で好まれます。
JavaScriptとの比較 JavaScriptはWebブラウザ上で動作する唯一の言語であり、フロントエンド開発に不可欠です。近年、Node.jsの登場によりサーバーサイドでも使われるようになりましたが、データサイエンスや科学計算分野ではPythonが圧倒的なシェアを誇ります。
C/C++との比較 C/C++は、ハードウェアに近い低レベルな制御や、高いパフォーマンスが求められるゲーム開発、組み込みシステム開発で強みを発揮します。PythonはC/C++に比べて実行速度は遅いですが、開発速度と可読性で勝ります。Pythonのライブラリの多くは、内部的にC/C++で書かれた高速な処理を利用しています。

Python以外のおすすめプログラミング言語を知りたい方へおすすめ記事

Pythonでできること

 Pythonは「バッテリー付属(Batteries Included)」と称されるほど、標準ライブラリが非常に充実しています。さらに、サードパーティ製のライブラリやフレームワークも豊富で、これらを活用することで多岐にわたる開発が可能です。ここでは、Pythonで実現できる主要な開発ジャンルを具体的に見ていきましょう。

Webアプリケーションの開発

 Pythonは、動的なWebサイトやWebアプリケーションの開発に広く使われています。DjangoやFlaskといった強力なフレームワークが、Web開発を効率的かつ楽しくしてくれます。

Django 大規模なWebサイトや複雑なWebアプリケーションの開発に適したフレームワークです。セキュリティ機能や管理画面が標準で備わっているため、企業向けの堅牢なシステムを迅速に構築できます。
Flask 非常にシンプルで軽量なフレームワークです。小規模なWebサイトやAPIの開発、学習用途に最適です。必要な機能を自分で追加していくスタイルなので、自由度が高いのが特徴です。 これらのフレームワークを組み合わせることで、ユーザー登録機能、ブログ機能、ECサイト、SNSなど、様々なWebサービスを構築できます。

参考記事

PythonのWeb開発フレームワーク「Flask」がわかる参考記事(書籍抜粋)

データ分析と機械学習

 Pythonが最も得意とする分野の一つが、データ分析と機械学習です。Pythonのシンプルな構文と、以下のような専門ライブラリの組み合わせが、この分野での優位性を確立しています。

NumPy 高速な数値計算を可能にするライブラリです。多次元配列(行列)を効率的に扱うことができ、データサイエンスの基盤となります。
Pandas データの加工や分析を容易にするライブラリです。表形式のデータを扱うための「DataFrame」という強力なデータ構造を提供します。
Matplotlib/Seaborn データをグラフやチャートで可視化するためのライブラリです。複雑なデータも直感的に理解できるようになります。
Scikit-learn 機械学習の主要なアルゴリズム(回帰、分類、クラスタリングなど)が実装されたライブラリです。初心者でも簡単に機械学習モデルを構築できます。
TensorFlow/PyTorch 深層学習モデルを構築・学習するためのオープンソースフレームワークです。画像認識、自然言語処理など、最先端のAI研究や開発に不可欠です。

参考記事

自動化スクリプトの作成

 プログラマーの三大美徳に「怠惰(Lazy)」という言葉があるように、Pythonは繰り返し行われる面倒な作業を自動化するのに非常に適しています。

ファイル操作 大量のファイルを特定のルールに従って整理したり、ファイル名を一括で変更したりするスクリプトを作成できます。
Webスクレイピング Webサイトから特定の情報を自動的に収集するスクリプトを作成できます。たとえば、毎日更新される株価情報やニュース記事の見出しなどを自動で取得できます。
RPA(Robotic Process Automation) PyAutoGUIなどのライブラリを使えば、マウスカーソルの移動やキーボード入力を自動化し、PC上の定型業務を自動化できます。

シンプルなゲーム開発

 Pythonはゲーム開発にも利用できます。PygletやPygameといったライブラリを使えば、2Dゲームを簡単に開発できます。特にPygameは、シンプルで初心者向けであり、ゲーム開発の基礎を学ぶのに最適です。高度な3Dゲーム開発にはC++やC#が使われることが多いですが、シンプルなゲームや教育用ゲームの開発にはPythonが適しています。

Pythonを使ったゲームが作れる参考連載

IoTと組み込みシステムへの応用

 Pythonは、前述のようにRaspberry Pi上で動作するプログラムを開発するのに人気があります。センサーからデータを読み取ったり、LEDを点灯させたり、モーターを制御したりするプログラムを少ないコード量で書くことができます。身近な家電をインターネットに接続するIoTデバイスや、ロボットの開発も可能です。

Raspberry Piで手軽にIoTが学べる参考連載

Pythonの活用事例紹介

 Pythonの柔軟性と汎用性は、世界中の多くの著名な企業やサービスで証明されています。ここでは、Pythonが実際にどのように活用されているか具体的な事例を紹介します。Pythonが現代社会のデジタルインフラを支える重要な技術であることが理解できるでしょう。

Google

 言わずと知れた検索エンジンの巨人Googleは、Pythonを創業初期から深く活用している企業の一つです。検索エンジンのコア部分から、YouTube、Google Earth、そして社内のシステムツールまで、幅広いサービスやシステムでPythonが使われています。GoogleのエンジニアであるPeter Norvig氏は、かつて「GoogleはPythonを好んでおり、数多くのGoogleのプロジェクトでPythonが使われている」と述べています。

Instagram

 Metaが提供する写真と動画をメインとしたSNS「Instagram」のバックエンド(サーバーサイド)は、主にPythonとDjangoフレームワークで構築されています。Instagramのような巨大なスケールのサービスでも、Pythonの高い生産性と柔軟性によって迅速な機能追加や改善を可能にしている様子がうかがえます。

Spotify

 音楽ストリーミングサービス「Spotify」も、Pythonを大規模に利用しています。特に、ユーザーの聴取履歴に基づいた「おすすめのプレイリスト」を作成するレコメンデーションエンジンや、データ分析、バックエンドサービスの一部でPythonが活用されています。高速なデータ処理が求められる場面で、Pythonの強力なデータサイエンスライブラリがその力を発揮しています。

Netflix

 オンラインストリーミングサービス「Netflix」は、Pythonを多岐にわたるシステムで利用しています。レコメンデーションエンジンはもちろん、セキュリティ、ネットワークの自動化、映像コンテンツのエンコーディング(圧縮)プロセス、そしてデータ分析まで、Netflixのサービスを支える多くの裏側でPythonが動いています。

NASA

 アメリカ航空宇宙局(NASA)もPythonを利用していることで知られています。特に、科学データの解析や宇宙船の制御システムの開発、火星探査機の画像解析など、膨大なデータを扱う科学計算分野でPythonが重要な役割を果たしています。宇宙開発という最先端の分野でもPythonが選ばれていることは、その信頼性と科学計算能力の高さを物語っています。

Pythonについての最新情報・開発事例を得るならCodeZineで

 CodeZineでは、Pythonを活用したエンジニアリングの事例や最新の情報をニュース・記事で多数紹介しています。Pythonの動向をより深く把握したい方は、ぜひCodeZineをチェックしてみてください。

プログラミング初心者でもつまずかないPythonの学習方法

 Pythonは、プログラミング初心者でも学習が容易な言語の一つです。しかし、闇雲に学習を進めても身につくのに時間がかかってしまいます。スキル習得への近道は、体系的なアプローチを取ることです。ここでは、Pythonを学びたい方におすすめな勉強方法を紹介します。

Pythonの公式ドキュメント・チュートリアルを見る

 Pythonの公式ドキュメントは、言語仕様やライブラリの機能を正確に知る上で最も信頼できる情報源です。特に、公式ウェブサイトにあるチュートリアルは、Pythonの基本的な文法や概念を順序立てて学ぶのに最適だといえるでしょう。すべて英語で記載されていますが、非公式で日本語訳されたものも多く出回っています。

書籍から学習する

 体系的に学びたいなら、やはり書籍が一番です。初心者向けの入門書は、プログラミングの「なぜ」を丁寧に解説しているものが多く、基礎を固めるのに役立ちます。また、特定の分野(データサイエンス、Web開発など)に特化した書籍を選ぶことで、専門的な知識を効率的に深めることができます。

参考書籍

『独習Python 第2版』

Pythonの独学に最適な教科書として、多くの読者の支持を集めてきた『独習Python』。プログラミング言語入門書の執筆で定評のある山田祥寛氏の執筆による信頼感をそのままに、非同期、型ヒントなど注目の新仕様を取り込んで改訂!

https://www.seshop.com/product/detail/26866

『Python1年生 第2版 体験してわかる!会話でまなべる!プログラミングのしくみ』

本書はPython初心者の方に向けて、ヤギ博士とフタバちゃんと一緒に基本的なプログラムの作成から、面白い人工知能アプリの作成までを体験できる機会を提供。対話形式でプログラミングのしくみを学べます。

https://www.seshop.com/product/detail/25005

ウェブメディアや技術ブログ、YouTubeを見る

 CodeZineのようなウェブメディアや、現役エンジニアの技術ブログ、YouTubeのチュートリアル動画も非常に有効な情報源です。最新の技術トレンドや、実践的な開発ノウハウ、学習のヒントなどを手軽にキャッチアップできます。視覚的にコーディングの流れを追える動画は、初心者にとって特に分かりやすいでしょう。

オンライン学習プラットフォームを活用する

 各社が提供するオンライン学習プラットフォームは、実践的な演習を通してスキルを身につけるのに最適です。コードを実際に書きながら学べる環境が整っており、ゲーム感覚で楽しく学習を進められます。

コミュニティや実践的なプロジェクトに参加する

 一定の知識を身につけたら、さらなるスキルアップのためにオンライン・オフラインのコミュニティや、オープンソースプロジェクトに参加してみるのも良いでしょう。他の開発者と交流し、コードレビューを受けたり、共同で何かを開発したりすることで、実践的なスキルやチーム開発のノウハウを身につけることができます。CodeZineでも、こうしたコミュニティ参画のきっかけ作りを目指したイベント「Developers Summit(デブサミ)」や「Developers Boost(デブスト)」を定期的に開催しています。

独学でプログラミングを学ぶ効果的な学習方法を紹介する参考記事

子どもがPythonを学びたいと言ったら?

 2020年度以降、小学校でプログラミング教育が必修化され、中学・高校でも順次導入されたことから、子どもたちがプログラミングに触れる機会が増えています。Pythonは、その読みやすさから子ども向けの教育にも適しています。ここでは、子どもがプログラミングに興味を持った際のサポート方法のヒントをご紹介します。

子どもにPythonを習得させるメリット

 子どもがPythonを学ぶメリットは、単にプログラミングスキルが身につくだけではありません。次のようなメリットが存在します。

論理的思考力の育成 プログラミングは、物事を順序立てて考え、論理的に解決する力を養います
創造性の向上 自分のアイデアをコードという形で具現化することで、創造性を育むことが可能です
問題解決能力の育成 課題に直面した際に原因を分析し、解決策を導き出す力を養えます
将来の選択肢の拡大 ITが社会の基盤となる現代において、プログラミングスキルは将来のキャリアを考える上で大きな強みとなります

子どもと一緒にPythonを学ぶ方法

ビジュアルプログラミングから始めてみる

 パソコンに触れ慣れていない段階で、子どもにいきなりコードを書かせるのはハードルが高いかもしれません。その場合は、「Scratch」のようなビジュアルプログラミング言語から始めるのがおすすめです。ブロックを組み合わせるだけでゲームやアニメーションが作れるため、楽しみながらプログラミングの基本的な概念を学べます。Scratchで論理的な思考力が身についたら、Pythonにスムーズに移行できるでしょう。

本や動画を活用する

 子ども向けのプログラミング学習本やYouTubeのチュートリアル動画は多数存在します。アニメーションやゲームを作りながら学べるものも多く、子どもの興味を引きつけやすいでしょう。親子で一緒に取り組むことで、共通の話題も増え、コミュニケーションを深める良い機会にもなります。

プログラミングスクールに通う

 親がサポートしたり一人で学習を進めたりするのが難しい場合、さらなる専門的な知識を身につけさせたい場合は、子ども向けのプログラミングスクールに通うのも一つの手です。専門の講師が丁寧に指導してくれるため、効率的に学習を進めることができます。

Pythonを学ぶメリット

 IT・エンジニアリングの専門家として、Pythonをスキルセットに加えられると業務効率化やキャリアアップにつながる可能性があります。具体的にどんなプラスの作用があるのか見ていきましょう。

技術市場における需要・将来性

 Pythonは、機械学習(AI)、データサイエンス、Web開発など、人材需要や将来性が高い分野で中心的な役割を担っています。そのため、Pythonスキルを持つ人材の市場価値は非常に高く、今後も求人需要は拡大していくと予測されています。

 実際に、Pythonを利用するケースが多い機械学習エンジニアの平均年収は999万円(2025年時点)とランキングでも上位を記録しています(CAMELORS調べ)。エン・ジャパンが提供するフリーランス向け案件検索エンジン「フリーランススタート」の求人情報動向を分析したレポート(2025年6月度)でも、Pythonの平均単価は他言語より上昇傾向にあるため、キャリアアップを目指す方にとっても、Python学習は非常に有効な投資であると考えられます。

開発スピードの向上

 Pythonのシンプルで読みやすい構文は、コードを迅速に書くことを可能にします。また、豊富な標準ライブラリやサードパーティ製のライブラリが、多くの機能をゼロから実装する手間を省いてくれるため、短期間でのプロトタイプ(試作品)作成やMVP(Minimum Viable Product:必要最低限の機能を備えた製品)の市場投入も実現できます。

データ収集・分析の効率化

 現代のビジネスにおいて、データは非常に重要な資産です。Pythonを使うと、Webスクレイピングによるデータの自動収集、PandasやNumPyによるデータの加工・分析、Matplotlibによるデータの可視化といった一連の作業を効率的に行えます。これにより、ビジネス上の意思決定をデータに基づいて行う「データ駆動型」のアプローチを加速させることが可能です。

Pythonが苦手な開発ジャンル

 Pythonは非常に汎用性が高い言語ですが、すべての開発ジャンルに最適なわけではありません。Pythonが苦手とする、あるいは他の言語が優位性を持つ分野も理解しておきましょう。新たにスキルを身につける場合は、適切な言語選びが重要です。

Webデザイン

 Pythonはプログラミング言語であり、主にバックエンド(サーバー側)の処理を担当するものです。そのため、Webデザインそのものに直接的に関わることはありません。ユーザーが直接目にするフロントエンドのデザインやレイアウト構築時には、HTML、CSS、JavaScriptが必須です。

 ただし、これらを使って構築されたWebサイトに高度な機能を実装する際にはPythonの知識が求められます。Webサイト構築・運用のどこに携わりたいかによって、適切なプログラミング言語を選びましょう。

高度な3Dゲームやスマホ・デスクトップアプリの開発

 2Dゲームの開発はPythonでも可能ですが、グラフィックス性能が求められる大規模な3Dゲームや、ネイティブのスマホアプリ(iOS/Androidアプリ)を開発する際には、実行速度が速く、複雑な処理やハードウェアとの連携に適しているC++、C#、Swift、Kotlinといった言語が使われます。

翔泳社の書籍・CodeZineの記事でPythonをより深く理解しよう

 技術の進化は日進月歩です。エンジニアは、一度プログラミング言語や必要な技術を習得した後も常にアンテナを張り、新たな知識を吸収し続けなければなりません。

 翔泳社の書籍CodeZineでは、エンジニアやデベロッパーのみなさんが効率的に情報収集や知識のアップデートができる場をリアル・オンライン双方から提供しています。ぜひ興味のあるコンテンツをチェックしてみてください。

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ITエンジニア研究所(アイティーエンジニアケンキュウジョ)

ITエンジニアやソフトウェア開発にまつわる情報や豆知識をまとめて発信します。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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