はじめに
「Apache Struts」(以下、Struts)とは、Web開発のデファクトスタンダードとしてあまりにも有名な、Java言語で書かれたオープンソースのWebアプリケーション・フレームワークです。JavaでのWeb開発者には、もはや説明する必要はないかもしれません。
最初のStruts(以下、Struts 1)がリリースされる2001年以前は、JavaでのWebアプリケーションというと、JSPとサーブレットを直接用いたアプリケーションが一般的でした。そのため、ちょっとしたアプリケーションでも、けっこうなコード量が必要だったのですが、Struts 1のフレームワーク機能により、煩わしい記述の手間がずいぶん少なくなり、Webアプリケーション開発の敷居がぐっと下がりました。
本連載は、そんなStruts 1の次世代バージョンであるStruts 2を紹介します。Struts 2は、字面だけでは、単にバージョンが上がっただけのように見えます。しかし実際には、Struts 2は、WebWorkというフレームワークをベースにしたもので、Struts 1とは別物と言えるほど変更点が多く、互換性もありません。
Struts 1とStruts 2の違いについては、Struts 1/Struts 2 Webアプリケーションフレームワークの比較を参考にしていただくとして、本稿ではStruts 2を中心に解説します。また、基本的にはチュートリアル形式として、ある程度まとまったサンプルコードを交えて進めていきたいと思います。実際にWebアプリケーションを作ってみることが、大きく進化したStrutsをマスターする第一歩になるはずです。
対象読者
サーバサイドJava(JSP、サーブレット)について基本的なことは理解している方を対象とします。
Struts 2の特徴
先ほど書いたようにStruts 2は、WebWork(の後継のWebWork2)をベースにしており、今となっては古臭く感じるStruts 1の設計に比べ、最近のトレンドを踏まえたエレガントな構造になっています。Struts 2の主だった特徴を以下にまとめてみました。
- MVCパターン
- プラグイン機能
- アノテーション機能
- DI(Dependency Injection)コンテナ機能
- POJO(Plain Old Java Object)