視覚情報の共有方法アレコレ
さくらインターネット研究所では次世代空間情報として、さまざまな表現方法について調査研究を行っています。全天周・全天球撮影技術を用いて1枚の画像の中に多くの空間情報を詰め込むことでデータを圧縮し、災害時の回線状況が極めて悪い場合でも、有効な情報共有ができるようになります。全天周写真から球面への投射、さらに平面画像への切り出しなど、すでに多くの研究成果が出ているパノラマ技術を元に、実証実験を繰り返しています(図1)。
今回は各種ツールの紹介や使い方は割愛し、空間表現方法を目で理解していきましょう。
全天球撮影した写真には、数多くの情報量が含まれています。共通のツールやWebサービスを使うことで共有することは可能ですが、それ以外にも1枚の画像へ投影することで電子メールやSNSなどを通じて簡単に共有できます(図2)。
撮影された写真(図2)は、湖畔からの全天球撮影したデータを、あたかも小さな地球に居るように変換したものです。これはSmall Planet(スモール・プラネット)と呼ばれる表現方法で、パノラマ撮影技術分野では一般的になっているものの一つです。私も一昨年開催されたIVRPA(International VR Photography Association)主催のICELAND2013を通じて数多くの空間表現方法について、参考とさせていただきました。
全天球撮影データをスモール・プラネット化する場合にも、さまざま配慮が必要です。天候や撮影している高さ、共有したいシンボルの位置などが上げられます。図3は、近隣に鉄塔が存在することを知らせるために作成した画像です。
通常の写真であれば、撮影者の背面をデータとして残すことはできません。しかし、全天周・全天球での撮影であれば可能なのです。具体的に何を相手に伝えたいかが、最初からしっかりと分かっている場合には、細かい被写体単位での撮影は有効ですが、相互に知りたい情報が異なっている場合での空間情報の共有には、「まずすべてを写して共有する」ことが極めて合理的になります。