全天球撮影で得られるデータ
さくらインターネット研究所では次世代空間情報として、さまざまな表現方法について調査研究を行っています。前回の『災害コミュニケーション ITだからできるコト(7)』に引き続き、今回も全天周・全天球撮影技術による空間情報の表現方法について見ていきましょう。
RICOH THETAに代表される全天球撮影データは、基本的に1枚の平面画像もしくは複数枚の平面画像の集合体として保存・管理されています。図1はRICOH THETAで保存されている全天球撮影データです。ご覧のように指と頭が映り込んでいることがお分かりいただけるかと思います。全天球カメラの撮影方式によっては撮影者自身もしっかりと映り込んでしまいます。
全天球カメラによる夜間撮影でも同様ですが、撮影データ自体が少し異なってきます(図2)。ご覧のように全天球カメラの特性により、光量の少ない状況では撮影モードの微調整などが必要になってきます。私もいくつかの全天球・全天周カメラおよび撮影方式を試していますが、それぞれ一長一短の特性を持っています。どのような状況で全天球撮影を行うかを、あらかじめ理解した上で機材および手法を選択することが重要です。
つづいて、夜間撮影した全天球撮影データをパノラマ技術を用いてスモールプラネット化してみましょう(図3)。
いかがでしょうか? 見えている空間情報が大きく変化したことに気づかれるかと思います。人間の目は見たいものだけを大きく見ようとします。周辺空間情報がすべて閉じ込められた全天球撮影データは、表現方式を変化させることで、人間同士の空間情報の共有の助けとなっていきます。