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災害によるITインフラへの影響と情報発信の在り方

災害コミュニケーション ITだからできるコト(4)

災害によるITインフラへの影響と情報発信の在り方(4)

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 本連載では災害によるITインフラへの影響と情報発信の在り方について、さくらインターネット研究所が独自に調査研究を行った成果を元に、今後期待される災害コミュニケーションの在り方についてご紹介します。

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 IT機器が高度にネットワーク接続された我々の社会では、日常的に情報が発信消費されています。情報社会ではネットワークは不可欠であり、災害時には情報収集と発信が行える心強いツールです。東日本大震災を教訓として、災害時にITでは何ができたのかをここでは学んでいきます。

 この文章には、東日本大震災当時を想起させる記述が含まれます。お読みいただく前にご留意ください。

リアルタイム情報が災害復旧を早める

 前回『災害によるITインフラへの影響と情報発信の在り方(3)』では、震災後に何が起こっていたかについて見てきました。当時の情報と現在の情報を交えながら、災害を紐解いていきます。

 災害時に通信事業者は被災した設備を迅速に復旧する必要があります。我々にとって通信手段は不可欠であり、さまざまな復旧活動を支える情報をやり取りするからです。しかし、まずは通信網を復旧させなければ始まりません。今回は、東日本大震災の発生直後に行われた通信事業者による通信網の復旧と、その情報支援について当時の情報から紐解いていきましょう。

 災害復旧の作業担当者は、業界の違いに関わらず、被災状況を理解するための情報が必要になります(図1)。

 しかしすべての情報を把握できることは少なく、また最初から情報の存在を知らない場合もあります。

図1.災害復旧の作業担当者に必要な情報
図1.災害復旧の作業担当者に必要な情報

 当時の記録を紐解くと、2011年3月12日時点の都内交通網は完全に麻痺状態にあり、長距離移動が行えない状況であることが分かるでしょう(図2)。

図2.2011年3月12日時点の都内交通網
図2.2011年3月12日時点の都内交通網

 災害発生当時、もっとも感動的だったデータ公開としてGoogle Crisis Reponse自動車・通行実績情報マップがあります(図3)。このマップでは24時間に通行実績のあった道路とそうではない道路を色分けしてくれていました。災害復旧のために遠距離移動が必要となる通信事業者の作業担当者にとって、移動できる道路の情報は災害復旧を早める貴重な情報であり、私自身もこの情報により作業担当者への情報支援が行えたことを記憶しています。

図3.自動車。通行実績情報マップ
図3.自動車。通行実績情報マップ

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この記事の著者

松本 直人(マツモト ナオト)

1996年より特別第二種通信事業者のエンジニアとしてインターネット網整備に従事。その後システム・コンサルタント,ビジネス・コンサルタントを経て2010年より,さくらインターネット株式会社 / さくらインターネット 研究所 上級研究員。(2016年より一時退任)研究テーマはネットワーク仮想化など。3~5年先に必要とされる技術研究に取り組み、世の中に情報共有することを活動基本としている。著書: 『モノのインターネットのコトハジメ』,『角川インターネット講座 ~ビッグデータを開拓せよ~』など多数。情報処理学会 インターネットと運用技術研究会 幹事

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/7497 2013/11/25 14:00

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