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CTO不在、エンジニア大量離職からのプロダクトV字回復――アライドアーキテクツはなぜ開発体制を再構築できたのか?

アライドアーキテクツ プロダクト開発インタビュー前編

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2020/07/30 11:00

 アライドアーキテクツ株式会社は、SNSを軸に企業のマーケティングを総合的に支援するテクノロジーカンパニーだ。マーケティング支援の領域において確固たる地位を確立している同社だが、かつてはプロダクト事業の存続危機に直面していた。その後、開発体制の刷新を図り、事業のV字回復を成し遂げたという。躍進の裏側には何があったのか。CPO兼プロダクトカンパニー長の村岡弥真人氏と、プロダクトカンパニー プロダクト開発リーダーの石川裕弥氏、Allied Tech Base Co.,Ltd、Allied Tech Camp Co.,Ltd.(※) CTOの岩間亮氏に伺った。

目次

※Allied Tech Base Co.,Ltdはベトナム・ハノイ市に位置する子会社。Allied Tech Camp Co.,Ltd.はベトナム・ホーチミン市に位置する子会社。アライドアーキテクツは国内本社を含む3拠点でサービス開発を行っている。

企業のマーケティング課題をテクノロジーで解決する

――アライドアーキテクツの開発体制や提供しているサービスについて教えてください。

村岡:アライドアーキテクツはカンパニー制(企業内において一つの会社のように位置付けて運営される独立採算制の事業部門)を採用している企業で、プロダクトカンパニーとソリューションカンパニー、クロスボーダーカンパニーに分かれています。プロダクトカンパニーは企業のマーケティング活動を支援するためのSaaS型プロダクトを提供。ソリューションカンパニーはマーケティング課題を解決するためのソリューションビジネスを提供、クロスボーダーカンパニーは中華圏に向けたプロモーション、集客・販促を総合的にサポートするさまざまなソリューションを提供しています。今回インタビューを受けている私たちは、プロダクトカンパニー所属です。

CTO兼プロダクトカンパニー長 村岡弥真人氏
CPO兼プロダクトカンパニー長 村岡弥真人氏

――日本企業のマーケティング活動にはどのような課題があるのでしょうか?

村岡:これまで、広告業界では代理店や人に依存した属人的なビジネスモデルが主となっていました。そして現在もかなりの時間を、企業同士のコミュニケーション業務や各種レポート・資料作成といった作業に取られています。

 こうした仕事の多くはテクノロジーで代替できます。マーケティングに携わる方々には、人間だからこそできる顧客に向き合う仕事にフォーカスしていただきたい。そこで私たちは、マーケティング活動の工数削減や成果向上などを実現するSaaS型プロダクトを提供しています。

――創業当初から、アライドアーキテクツはSaaS型のモデルでサービスを提供していたのでしょうか?

村岡:もともと月額課金型のモデルではありましたが、SaaSというよりもASPに近い形でした。SaaS型のモデルに転換したのは2017年くらいからです。ASPは売り切るまでの営業活動が重要な一方で、SaaSは導入していただいて“から”が重要なモデルで、いかに顧客のビジネス成長に貢献できるかがカギになります。SaaSとASPではビジネス設計が全く異なるわけです。

事業の危機が、抜本的な方針転換のきっかけ

――なぜ、SaaS型モデルへの転換を行ったのでしょうか?

村岡:理由は大きく2つあります。3年ほど前からSaaS型モデルが流行の兆しを見せていたため。そして、当時のアライドアーキテクツはこれまで売上の基盤をつくってきたプロダクト事業がマイナス成長となっており、事業回復のためにビジネスモデルや組織運営の方針転換を行ったためです。

 きっかけとなったのは、当時のCTOの退職でした。CTOはスキルが高くエンジニアを惹きつける力があり、エンジニア組織の運営も非常にうまくいっていました。しかし、退職に伴い組織運営が徐々に立ち行かなくなり、エンジニアの大量離職が発生したのです。かつ、当社はベトナムにも開発拠点があるのですが、日本とベトナム間の連携もうまく取れていませんでした。

――かなり危機的な状況ですね。

村岡:その状況を機に、経営方針の抜本的な転換が行われました。より大きな価値を顧客に提供するためSaaS型モデルのサービスを開発・運営すること、エンジニア組織を新体制にすることを決定したのです。私はその頃から、エンジニア組織のマネジメントを担うようになりました。私はもともとビジネスサイドのメンバーでしたから、最初の頃はエンジニアとの意思疎通に苦労しましたね。

――どのような点が大変でしたか?

村岡:ビジネスサイドとエンジニアサイドは基本的に、仕事に対する価値観が異なります。例えば、ビジネスサイドが「○○をすぐやってほしい」と伝えたとき、エンジニアサイドが「(技術的に)できない」とか「○か月くらい時間がほしい」と返事をして、両者が揉めるケースは多くの企業でよく見られます。これは、両者の認識齟齬により発生するトラブルです。私自身も、エンジニアの価値観を理解できるようになるまでに時間がかかりました。

 エンジニアは、良いサービスを提供したいという価値観のもとビジネスに関与しています。一方でビジネスサイドは、良いサービスがあるのは当たり前で、その価値をどうやって顧客に伝えるかをいつも考えています。つまり両者には、ビジネスにおいて重視している内容に差がある。だからこそ認識のギャップが生じることに気付きました。


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著者プロフィール

  • 中薗 昴(ナカゾノ スバル)

     週の半分はエンジニア、もう半分はライター・編集者として働くパラレルキャリアの人。現職のエンジニアとして培った知識・経験を強みに、専門性の高いIT系コンテンツの制作を行う。

  • 岡田 果子(編集部)(オカダ カコ)

    2017年7月よりCodeZine編集部所属。慶応義塾大学文学部英米文学専攻卒。前職は書籍編集で、趣味・実用書を中心にスポーツや医療関連の書籍を多く担当した。JavaScript勉強中。

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