低迷していたNPSを3倍に改善──Mixpanelの実例から見るプロダクト指標のモニタリングと調整方法
Mixpanel, Incからのプロダクトティップス 第6回
グローバルで6千社以上の導入実績をもつプロダクト分析ツールのベンダー「米Mixpanel社」のキーパーソンによる海外ブログ翻訳記事です。プロダクトマネージャーの日々の業務に役立つ、さまざまな知見をお届けします。今回は、一時NPSが業界平均の半分くらいまで落ち込んだ中、プロダクト指標を捉え直すことで迅速にその状況を脱した自社製品の実例をもとに、プロダクト指標のモニタリングと調整を行う方法について解説します。
-
- Page 1
はじめに
プロダクトのローンチは、旅の最初のステップにすぎないと考えている方は多いはずです。成功している企業は、ローンチ後に適切なプロダクト指標をモニタリングし続ける必要性を理解しています。プロダクトが軌道から外れていないかどうかを確認し、外れている場合には、軌道修正の措置を講じたいと考えているからです。
われわれのプロダクト「Mixpanel」における、2019年の経験をもとにご説明しましょう。
「Mixpanel」は、ユーザー行動分析によって、コンバージョンや顧客エンゲージメント、リテンションを高めるセルフサービス型のプロダクト分析ツールです。2009年にMixpanel, Inc.が設立し、2019年にはプロダクトがしっかりと出来上がっていました。弊社のプロダクトチームは細かな隙間を埋めるべく新機能を着々とリリースし続けており、より多くの顧客を獲得しようとしている状況でした。すべてが順風満帆に進んでいるように見えていたはずです。
しかし残念ながら、そうではありませんでした。NPS(ネット・プロモーター・スコア)は、B2BのSaaS企業として、われわれが注意深くモニターしている指標です。2019年における「Mixpanel」のNPSは、最善を尽くしたにもかかわらず、わずか15であることが分かりました(B2B SaaS業界の平均は30点)。
これは、何かがおかしいというサインです。その原因を突き止め、すぐに修正しなければなりません。NPSの詳細なコメントを掘り下げてみると、その50%がUXに関するものであることが分かりました。

指標を正しく把握し、ユーザーデータを深掘りする
「この状況を変えるには、どうすればいいのか」。これが問題です。まず始めに気が付いたのは、われわれのコア指標が適切でなかったということです。解約を防ぐために、NPSをコア指標としていましたが、NPSはアウトプットを測定するものです。ユーザーがプロダクトの価値を体験し、それがユーザーの満足と定着につながるためには、どのようなユーザー行動を促す必要があるのかを教えてくれる指標ではありません。
われわれは自社プロダクトの「Mixpanel」を使ってユーザーの行動データを分析しました。その結果、ユーザーは「Mixpanel」で特定の答えを得るために、フィルターを適用したり、クエリを分解したりすること(Mixpanelではこれをセグメンテーションと呼んでいます)が気に入っているようだと気づきました。これを念頭に置き、Learning User Verifiedという新たな指標を定義しました。この定義は、過去1週間に少なくとも3回セグメンテーションを行ったユーザーの数です。このユーザーグループは継続率が通常の3倍であることを発見しました。
プロダクトチームは、この新しい指標に導くユーザーパスを特定するため、データを掘り下げ続けました。また、ユーザーが定着するまでの6段階のファネルを設定し、プロダクトのどの部分を修正すべきかを明確にしました。新規ユーザーオンボーディングの改善やプロダクトUXの改善(2020年だけで合計92回のアップグレード)が加わったのです。

ユーザーオンボーディングの6段階ファネルは、新規ユーザーがプロダクトの価値を体験することに重点をおいています。そしてこれは、重要な指標の理解に役立っています。
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
-
- Page 1
-
- Page 2
この記事は参考になりましたか?
- Mixpanel, Incからのプロダクトティップス連載記事一覧
- この記事の著者
-
カービー・チュア(Mixpanel, Inc)(カービー・チュア)
Mixpanelのプリンシパル・カスタマーサクセス・アーキテクト。APAC地域を対象に、プロダクト分析を活用した持続的な成長支援を行う。Mixpanel 以前は、20年以上にわたりプロダクトおよびソリューション領域で経験を積み、複数のプロダクトマネジメント職を歴任してきた。現在は、さまざまな業界にお...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
-
合同会社TOKYO MARKETING(トーキョーマーケティング)
バイリンガルのデジタルマーケティング・エージェンシー。広告、SNSマーケティング、ローカライゼーション、コンテンツ作成、SEOなど、クロスチャネルでマーケティング戦略を設計。グローバル企業を中心に、日本市場に特化したビジネスグロースを支援(旧社名:合同会社KOCHI)。https://www.tok...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
