データが実際に示していたこと
マクマホン氏がLoveholidaysの2つの事例を紹介してくれました。その率直なストーリーこそが、MXP Londonでのセッションに参加した価値を際立たせてくれました。
客室分類の問題
Loveholidaysのホテル掲載情報には、重複した客室タイプや不適切な名称の客室タイプが「ロングテール」として蓄積されていました。これは長年にわたり放置されてきた厄介な問題で、これまで行ったあらゆる改善の試みも実を結びませんでした。
あるチームがAIを用いてこの問題に、解決への自信を持って臨みましたが、チームが突き止めたのは、この問題が決定論的なものであるということでした。つまり、2つの客室は「同じ」か「違う」かのいずれかに留まり、AIはそのような精密さを処理するようには設計されていないのです。
AIモデルは、詳しく見ると矛盾した方法で客室をグループ化していました。顧客が認識していた名称を変更し、人々が実際に予約していた掲載情報をこっそり削除してしまいました。出力結果は一見して一貫しているように見えたものの、実際にはそうではありませんでした。
マクマホン氏自身の言葉を借りれば、「壊れたものの上にAIを載せるのはやめましょう。まず根本にある問題を解決すべきです」
Q&Aツール
別のチームは、ホテルを比較している顧客は質問したいことがあるだろう、という仮説に基づき、LLM(大規模言語モデル)を活用したQ&A機能を予約前のプロセスに導入しました。この機能は、実際にとても頻繁に利用されるようになりましたが、チームが利用者を分析してみると、データは仮説とはまったく一致していませんでした。
利用していたのは、選択肢を検討中の予約前の顧客ではなく、すでに予約を済ませ、今後の旅行に関する基本的な情報を探すために、長くて分かりにくい予約後のプロセスを調べているユーザーたちでした。そして、そこで尋ねられていた質問もまた、チームが想像していたものとは異なっていました。上位2つは、「部屋にケトルは付いているか」と「アイロンはあるか」というものでした。3番目に多かったのは、Wi-Fiのパスワードでした。
つまり、Loveholidaysの既存情報を探している顧客が、旅行用のアイロンを持ち込む必要があるかどうかを尋ねるためだけに、複雑なAI搭載機能をくぐり抜けていたのです。チームは、実際の需要がある予約後のプロセスにこのツールを移行することを提案しましたが、マクマホン氏はこれを却下しました。その理由には、じっくりと向き合う価値があります。
「たとえAIがそのユーザーの質問に答えられるからといって、それが正しい解決策だとは限りません。私たちがその情報を持っていることは事実です。必要なことは、ユーザーが必要とする形でその情報を提供することだけです」(デビー・マクマホン氏)
その代わりに、予約後のユーザー体験を改善し、Q&Aツールは廃止されました。しかし、話はそこで終わりません。チームは、根本的に異なる仮説に基づいて、この機能を再リリースしようとしています。あの最初の実験以来、Loveholidaysは独自のレビュープラットフォームを立ち上げ、Q&Aツールが果たすべき有意義な役割や、その真の対象者が変わってきています。
現在では、特定のユーザー層に結びついた具体的なユースケースが存在するようになり、「今はまだやるべきときではない」という判断を適切に活用できるようになっています。
さらに詳しく
AI時代におけるプロダクトの普及促進と測定に関する参考資料:
その人に合わせた多様な体験を構築する
AIを介した予約体験についてどう感じるかを理解したいと思い、Loveholidaysは顧客に直接連絡をとって尋ねてみました。返ってきた回答には、「不安」「フィルターの方を信頼する」「自分でクリックしたい」といった言葉がありました。回答者の一部には、純粋な歓迎の声も示されましたが、懐疑的な声が確かに存在し、回答者のかなりの割合に見られたため、マクマホン氏はAIの有用性を無理に弁解しようとはしなかったそうです。
2025年9月に発表されたガートナーの調査によると、消費者の53%がAIを活用した検索結果を信用していません。ステージ上で、マクマホン氏も同様の数字を挙げ、その見解は明快でした。「この事実を無視することはできません。これが弊社の顧客にとっての現実であり、私たちはそこから出発する必要があります」
彼女の出した答えは、より精密なセグメンテーションを行うこと。現在、彼女のチームでは、体験をパーソナライズするために、人口統計、旅行の種類、流入経路と並んで、AIに対する安心感や関心も指標の一つとなっています。すべての人にAIを介して同じ体験を設計してしまうと、新しいことを探求したいユーザーを妨害してしまったり、まだ準備ができていない顧客に望まない変化を押し付けることになります。
マクマホン氏の父親は、彼女が使い始めてから約10年後にメールを使い始めました。彼女はこれを一つの参考事例としています。つまり、技術の普及には独自のタイムラインがあり、機能をリリースして「完了」と宣言したからといって、そのプロセスを短縮することはできないということです。
