プロダクトの意思決定をできる人を増やすことが、非連続な成長を生み出す
だが「ここで満足はしていない。まだまだ解決できていない課題、見えていない不確実性は無限にある」と門脇氏。変化のストレス・機運を生かしつつ、さらなるチームの成長にチャレンジしているという。
そのチャレンジとは、開発チームの自律性・並列性のさらなる強化、そして変化への適応力・非連続な成長を生み出す力の向上である。そのために「プロダクト開発のプランニングに関する意思決定ができる人を増やす」というアプローチを取っていると言う。
これまでもプロダクト開発に関する意思決定をスケールさせることについて継続的に取り組んで来たという門脇氏。事業・プロダクトが巨大化・複雑化している一方で、プロダクトのWhy、「なぜ作るのか?」に関してはCPOに強く依存していた。この状況では、意思決定のスピードや精度に限界があるだけではなく、物事を多角的に見られなかったり、前提を疑ったり覆したりするアクションが取りづらくなる。
そこでCPOにあえて頼らない状態を作り、Whyを主体的に考えられる人を増やすことにしたのである。具体的には、Whyに責任を持つ場を作り、強いビジョンや累積思考のあるメンバーに入ってもらい、CPOにはプロダクトのWhyを考える場からあえて離れてもらう。残ったメンバーだけでストレスを感じながらもWhyについて議論し、その議論で明らかになった必要な観点、ポイントについてCPOに頼るといった仕組みにしたという。
だが、CPO抜きで議論することは意外に難しかったと門脇氏は話す。メンバーの関心、見えている範囲が多様で、プロダクト全体の共通視点が持ちづらく、取り組むテーマの優先順位決めに時間がかかるのだ。またこれまでの活動をベースにした短期の計画は立てられても、長期計画についての議論は難しいということもわかったという。
そこで議論を進めるため、まずは計画を粒度で分割し、スケールの手順を決めた。会社視点・長期視点(3年ぐらい)、中期視点(半年くらい)、短期視点(2カ月くらい)という粒度のプランに分け、まずは短期視点のプランからCPOなしでできるようにして、徐々に中期視点へと範囲を広げ、開発チームで議論が完結しない長期視点については、CPOやビジネスのメンバーを議論に巻き込むという手順にしたのである。また優先順位についての議論が進むよう、機能フェーズごとにテーマを分類、投資バランスでやる・やらないを判断できるようにする仕組みも作ったという。これらの取り組みは現在進行形で行っている。
「今後は場に参加するメンバーを少しずつ入れ替えながら、さらにスケールさせていきたい。そうすることで、開発チームの自律性・並列性が高まり、より不確実性の高い世界の中で成長することができると思う。どんどん変化のスピードを上げることにトライしていきたい」
門脇氏は最後にこう語り、セッションを締めくくった。
※2人へのQ&Aコーナーは、後編のレポートで公開いたします(編集部)。
