SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine(コードジン) DeveloperZine(デベロッパージン)- エンジニアの意思決定を支える技術情報メディア

ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

AI時代の「壁」を乗り越えろ。プロダクトマネージャーが直面するカオスと、現場を動かす「仕組み化」のリアル

ProductZine Day 2026

ProductZine Day 2026

プロダクトの地図の描き方──OOUXではじめる構造設計

良い設計は、良い問いから始まる──関係・アクション・属性を整理する

プロダクトの地図の描き方──OOUXではじめる構造設計 第3回

 前回は、プロダクトの中に存在する「オブジェクト」の見つけ方と、粒度や呼び名の揃え方を解説しました。しかしオブジェクトは、単独では意味を持ちません。「案件」と「顧客」はどうつながるのか。その「契約」は、誰なら承認できるのか。第3回では、関係性・アクション・属性という3つの観点から、プロダクトの構造を具体化していきます。マトリックスを埋める作業の値打ちは、図が仕上がることではなく、チームが答えられない問いに気づけることにあります。要件定義に入る前に、どこまで問いを潰しておくべきかの話です。(編集部)。

オブジェクトは単独では存在しない

 前回は、プロダクトの中に存在する「オブジェクト」をどう見つけ、粒度と呼び名をどう揃えるかを解説しました。しかしオブジェクトは、そもそも単独では存在しません。ほかのオブジェクトとの関係の中で、初めて意味を持ちます。

 本連載で扱うOOUX(Object-Oriented UX:オブジェクト指向UX)は、プロダクトが扱う対象(オブジェクト)を起点に、情報の関係性や構造を整理していく設計思想です。

 では、この考え方を実際にどう取り入れていけばよいのでしょうか。PIVOTでは、OOUXの提唱者であるSophia V. Prater(ソフィア・V・プレイター)によるORCAというフレームワークを取り入れています。ORCA(オルカ)は、Object(オブジェクト)、Relationship(関係性)、CTA(Calls-to-Action:行動を促すアクション)、Attribute(属性)の頭文字を取ったもので、これらの観点からプロダクトの構造を具体化していきます。前回はこのうちのO、オブジェクトの見つけ方を扱いました。今回は、残るR・C・Aの3つの観点から、構造をさらに具体化していきます。

関係性を定義すると、良質な問いが生まれる

 第2回の案件管理システムの例で紹介した「案件」「顧客」「契約」というオブジェクトは、互いにどう関係しているのでしょうか。

 これを確認するために、オブジェクト同士の組み合わせをマトリックスに並べ、1つずつ関係を確認していきます。この確認を通して、これまで意識していなかった関係が見つかることがあります。逆に言えば、本来存在するはずの関係が設計上表現されてこなかったために、プロダクトのどこかが使いにくくなっていた、という可能性にも気づけます。

 関係性を定義する作業には、大きく2つの問いがあります。1つ目は、そもそも2つのオブジェクトの間に直接的な関係があるかどうか。2つ目は、関係があるとして、それがどのような関係なのか、という問いです。

 例えば「案件」と「顧客」には、どのような関係があるでしょうか。1つの案件には必ず1つの顧客がひも付きます。一方で、顧客として登録されていても、まだ案件が存在しないこともあれば、複数の案件を持つこともあります。つまり、案件から見れば顧客は「1」、顧客から見れば案件は「0〜複数」という関係になります。

 では「案件」と「契約」はどうでしょうか。案件には必ず契約があるのか、それとも契約前の案件も存在するのか。こうして関係を1つずつ確認していくことで、それまであいまいだった業務上のルールが問いとして浮かび上がります。

オブジェクト関係のマトリックス例
オブジェクト関係のマトリックス例

 関係があるかどうか、そしてその関係がどのような形か。この2つの問いに、チームは即答できるでしょうか。もしすぐに答えられないとしたら、それは設計の詰めが甘いというより、そもそも業務の実態を十分に理解できていないサインかもしれません。答えられない問いによって、リサーチや業務理解がまだ十分ではない部分が可視化されます。

 関係性を定義する作業は、単に図を完成させるための手続きではありません。チームがそれまで気づかなかった問いに向き合い、業務の実態とプロダクトの構造を突き合わせる機会でもあります。

次のページ
オブジェクトが明確になると、アクションが整理しやすくなる

この記事は参考になりましたか?

プロダクトの地図の描き方──OOUXではじめる構造設計連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

伊藤 環(株式会社PIVOT)(イトウ タマキ)

国内外の企業を経て株式会社PIVOTに参画。業務システムからコンシューマー向けアプリまで、幅広いプロダクトの情報設計・UXデザインに従事。複雑な業務要件を整理し、ユーザーとビジネスの双方にとって分かりやすい情報構造・体験設計を得意とする。2025年、Sophia V. Prater氏が提唱する「OO...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/29753 2026/09/25 08:30

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー