SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Developers Summit 2022 レポート(AD)

自分ではなく他者に軸を置いて行動することで、成長の好循環が始まる【デブサミ2022】

【18-B-2】The Growth Mindset Developer - みんなで成長するための挑戦 -

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 変化の激しいITの世界でデベロッパーとして働き続けるには、自分自身を常に成長させ続けなければならない。こう聞くと「生きるも死ぬも自分次第」と解釈する人がいるかもしれないが、クリエーションライン株式会社 富山事業所の十松和生(じゅうまつ かずお)氏は「他者に軸を置いて行動することで、より成長できる」と力説する。かつては自意識過剰だったと振り返る十松氏が、他者に目を向け始めたきっかけ、他者に軸を置いて行動するようになった経緯、それが自分自身の成長につながると感じ始めた瞬間などについて失敗談も交えて語ってくれた。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

クリエーションライン株式会社 富山事業所 EDIT エンジニア 十松和生(じゅうまつ かずお)氏
クリエーションライン株式会社 富山事業所 EDIT エンジニア 十松和生(じゅうまつ かずお)氏

自意識をこじらせ、落ちるところまで落ちる

 十松氏は東京工業大学大学院を修了しているが、これは「自意識の高さから来る学歴ロンダリングだった」と告白する。他大学に通っていた十松氏は、外部受験で東工大大学院を受験したわけだが、ただ「他人からすごいと思われたいの一心」しかなかったという。めでたく合格し進学したのはよかったが、そこがゴールになってしまい、大学院での研究には身が入らなかった。

 「何かやりたいことを探さなければ」と考えた十松氏は、以前から興味を抱いていたこともあり、役者になるための勉強を始める。大学院修了後も定職には就かず、アルバイトをしながら役者としての活動を続けていた。住まいは千歳烏山にある家賃1万8000円のアパート。風呂もエアコンもない。それでも役者にこだわったのは「学歴を捨てて夢に挑戦する自分に酔いしれていた」からだ。

 当然、そう簡単に成功するはずもなく、役者への道も諦めてしまう。貯金もなく、リボ払いは元本まで払えず、利息だけを払い続ける日々。本当にまずいと思った十松氏は、一発逆転を狙ってビットコインのFX取引に手を出す。レバレッジをかけて勝負に出ると、ビットコインは増えていった。しかし、大きなレバレッジをかけて勝負に出たところですべてを失う。そのときにぱっと空を眺めたところ「めちゃくちゃ真っ青な晴天だった」のだという。この晴天は、後々まで十松氏の記憶に残ることになる。

 絵に描いたような転落ぶりだが「全部自分のせい。自己責任で誰のせいでもない。言い訳できない」と十松氏は語る。それでも気にかけてくれる周囲の人はいて、声をかけてくれた。そこで心境の変化が訪れる。

 「今の自分は嫌いだけど、周りの人がこうしてくれている以上、自分のことを受け入れざるを得ない」

 この境地に至って初めて自分に対する諦めが付き、こだわりが減り始めたという。少しずつだが「自分に向き過ぎていた強い矢印が、外を向き始めてきたような感覚があった」と十松氏は振り返る。地道にやっていくことを決めた十松氏は「働いて借金を返せるような状況にしよう」と動き出した。

 再出発の地に選んだのは富山だった。十松氏の地元である岐阜県神岡町から近いところで、腰を据えて働こうと仕事を探し始めた。そこで富山に事業所を開設したばかりで、スタートアップメンバーを探していたクリエーションラインの求人を見つける。そして2019年4月、晴れて入社。未経験で飛び込んだITの世界、当然わからないことだらけだ。「C言語がどのようなものかもサッパリわからなかった」と十松氏は振り返る。

ようやく働き始めたが、わからないことだらけだった
ようやく働き始めたが、わからないことだらけだった

 しかしここで再び十松氏の自意識が顔を出す。できるヤツだと思われたい気持ちが強く出てしまい、わからないことがあっても周囲の仲間には聞かず、自分のやり方で物事を進めてしまった。当然よい結果は出ず、時間ばかりが余計にかかり、自身もつらい気持ちを抱き始めていた。そんなあるとき、すべてを失った日の青い空を思い出した。

 そこで十松氏は目を覚ます。できないことを受け入れて周りの人を頼った。自分がどう見られているかではなく、目の前の仕事を進めようと考えることができたのだ。そのとき周囲の仲間は「めちゃくちゃ親身に助けてくれた。それがとってもありがたいなと本当に思った」と話す。

 その後は自分のやり方に固執せず、周囲の仲間の言葉を素直に受け入れて、目標達成を優先させることを覚えた。すると「仕事がうまく回ってきている感覚を得ることができた」という。理解できることも増えてきて、仕事の面白さも実感できるようになってきた。仕事がうまく回れば周囲の評価も高まり、それが新たなモチベーションになる。成長の好循環が始まったのだ。

 十松氏はその際、自分の外に目を向けて、目標の達成を優先させることを心に刻んだ。そして、チームや富山事業所、会社といった他者を軸に、自分が今何をすべきなのかを基準とした。つまり「他者に軸を置いて行動」し始めたわけだ。

 「他者を軸に置いて行動することに挑戦した結果、これまで以上に自分の成長を感じられた」

 そして、十松氏がクリエーションラインに入社して2年が過ぎようとしていた。

次のページ
若手を育成する立場に立って、自身もさらに成長する

関連リンク

この記事は参考になりましたか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Developers Summit 2022 レポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

笹田 仁(ササダ ヒトシ)

 フリーランスのライター、編集者。IT、特にソフトウェア開発の話が好きです。 趣味はドラムを叩くこと。コロナ騒ぎでリハーサルスタジオに入りにくくなり、ちょこちょこと楽器を買うことでストレスを解消していたら、いつの間にか置き場所に困るほどになってしまいました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/15626 2022/04/19 12:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング