エンジニアだからといって生成AIですぐに成果を出せるわけではない──AI時代に必要な“肌感覚”とは?
【20-D-5】「触らないとわからない」を武器にする──AI時代のエンジニアが獲得すべき肌感覚と、没頭できる時間の確保
生成AIは便利だ。誰でも簡単に使い始められる一方で、この新しい技術が「何をどこまでできるのか」は、使う人の能力によって大きく左右される。しかも、それは触りながら“肌感覚”で覚えていくしかないものだ。この感覚を身につけるには時間がかかるが、時間をかける価値は十二分にあるという。エンジニアはいかにこの感覚をつかみ、組織はいかにサポートすべきなのか。車両データを活用したコネクティッドサービスやモビリティ向けソフトウェアを開発するトヨタグループのIT企業、トヨタコネクティッド株式会社 先行企画部 檀野隆一氏が語った。
4つのタイプで見る、生成AIとの相性とは?
トヨタコネクティッドでは、生成AIが登場する以前から、車載ボイスエージェントの開発を通じて、音声認識や形態素解析、意図理解といった技術に取り組んできた。だが、初めてChatGPTを試した檀野氏は、「これまで自分たちが書いてきたプログラムコードや自然言語処理のロジックの多くは、もはや書く必要がなくなるのではないか」と感じたという。
そこで2023年からR&Dを開始。1年目、まずはアンケート結果の分類作業を自動化できないかと試した。2年目にはコードの生成能力が高まってきたことから、仕様書からAPIを生成してみた。そして3年目となる去年は、フィジカルAIの可能性を探るために、ロボットアームと生成AIを掛け合わせてみるなど、さまざまな試行錯誤を重ねてきた。
その中で檀野氏は、生成AIの進化の速さを痛感した。「『今のモデルでは難しい』と感じた課題の多くは、半年~1年後には解決している。進化のスピードがあまりにも速すぎて、作ったものを捨てる覚悟を持っておかないと、古いモデルに固執して取り残されてしまう。次のモデルを評価しやすくするために、現時点での限界を“実感として”知っておくことが大切だ」。
また、組織にAIを導入する際には、押し付けは禁物だ。やらされ感が出ると逆効果になる。生成AIに慣れるスピードには個人差があるし、自分ができるからといって、相手も当たり前のようにできるわけではない。本人が便利さに気づいて自然と使い始めるまで、気長に待つ必要があるのだ。
檀野氏は「物事の捉え方」と「行動様式の掛け合わせ」で、生成AIとの相性を4象限のマトリクスに分類した。中でも右上の「ポジティブな側面を見て活用方法を考える」×「まず手を動かしてみるタイプ」の人は、推進力があって、一見、良さそうに思える。だが、このような人は「セキュリティリスクが十分に検証されていないAIエージェントを安易に導入し、セキュリティインシデントを引き起こしてしまうタイプでもあるため、注意が必要だ」と檀野氏は警鐘を鳴らす。
これ以外のタイプは、どれも何かしらの理由で生成AI活用に踏み出すまでに時間がかかる傾向にある。その人の特性によって、どこで躓きやすいかを見抜ければ、生成AI活用の定着までに、どのくらいの時間がかかりそうなのか、予測も立てやすくなるだろう。
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野本 纏花(ノモト マドカ)
フリーライター。IT系企業のマーケティング担当を経て2010年8月からMarkeZine(翔泳社)にてライター業を開始。2011年1月からWriting&Marketing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。共著に『ひとつ上のFacebookマネジメント術~情報収集・人脈づくり...
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関口 達朗(セキグチ タツロウ)
フリーカメラマン 1985年生まれ。東京工芸大学卒業後、2009年に小学館スクウェア写真事業部入社。2011年に朝日新聞出版写真部入社。2014から独立し、政治家やアーティストなどのポートレート、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。2児の父。旧姓結束。趣味アウトドア。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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