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KubeCon + CloudNativeCon Japan 2026レポート

「Gitは単一の信頼できる情報源ではない」──9年間のGitOps実践が導いた、Platform Engineeringの現在地

【KubeCon + CloudNativeCon Japan 2026】The Evolution of GitOps in Platform Engineering

AIの正確な理解に必要なのは「同じことを繰り返す」考え方

 GitOpsエンジンを選び、実際のIDPを構築できるようになった今、新たな変数として加わったのがAIだ。

 開発者からは「自分のAIエージェントをどこに接続すればいいのか」という質問が増え、KubernetesでAIを動かすこと自体は容易でも、GPUの共有はCPUの共有よりずっと難しく、マルチテナンシーを考慮したプラットフォームへの統合は簡単ではない。

 さらに、HolmesGPTのようなAI SREエージェントは、もはや人間のようにプラットフォームを「使う」存在ではなく、アラートを受け取りログ・メトリクス・トレースという豊富なコンテキストをもとに根本原因を調べ、GitHubへのプルリクエストという形で是正までこなす、プラットフォームを「操作する」存在になりつつある。

AI SREエージェント「HolmesGPT」が、アラートや観測データをもとに根本原因分析とプルリクエストによる是正まで行う仕組み
AI SREエージェント「HolmesGPT」が、アラートや観測データをもとに根本原因分析とプルリクエストによる是正まで行う仕組み

 ここでLajko氏が強調するのが、AIには「プレーンなデータ」が必要だという点だ。Don't Repeat Yourself(DRY)を志向するConfiguration as Codeに対し、AIが確実に理解し生成するために必要なのはむしろ冗長な「Configuration as Data(CaD)」であり、Write Everything Twice、つまり「同じことを繰り返す」考え方だという逆説を指摘する。加えて、EUのCyber Resilience Actのような規制が、ソフトウェアやプラットフォームを提供する事業者にサプライチェーン全体の把握を求めるようになっており、これもGitOpsが扱うべき領域になってきている。

 最後にLajko氏は、業界がまだ解決していない課題も率直に共有した。IntuitのシニアスタッフエンジニアであるMichael Crenshaw氏のLinkedIn投稿を引用し、Git自体がIDPにとって最大の課題であり続けているとし、抽象化(DRY・開発者体験の両面)、実際のスケールでの性能問題、OCIによる不変アーティファクト、ハイドレーション、可視性という6つの領域が未解決のまま残っていると述べた。Helmの構文には十分なスキーマ管理やAPIバージョニングがなく、Kustomize-over-Helmもほとんどサポートされていない、という具体的な指摘も紹介している。

業界でまだ解決していない課題(抽象化・DevEX・実スケールでの性能・不変アーティファクト・ハイドレーション・可視性)
Michael Crenshaw氏が提唱する、業界でまだ解決していない課題

 GitOpsは9年かけてローカルの手作業からエージェントベースの自動化へ、Gitのみの運用からOCIとの併用へ、そして人間中心の運用からAIエージェントとの協働へと形を変えてきたが、まだ旅の途中にあるというメッセージで、Lajko氏はセッションを締めくくった。

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この記事の著者

中野 佑輔(編集部)(ナカノ ユウスケ)

 金融系SIerでの勤務を経て2025年よりCodeZine編集部所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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