エンジニアにとっての「事業貢献」とは? 新しい視点を獲得するための4軸は「CODE」
【17-A-5】エンジニアが事業に向き合うために必要だったこと、全部話します
「あなたにとって事業貢献とは何か」。そう問われて即答できるエンジニアはどのくらいいるだろうか。日々の開発成果と企業の事業成果のあいだには、しばしば大きな隔たりが生まれる。本セッションでは、この根源的なテーマに真正面から切り込んだ株式会社Joystruct代表取締役・佐藤大典氏が登壇。自身のキャリアで得た示唆をもとに、事業とエンジニアリングを接続するための具体的なヒントを提示した。
バーンアウト、障害の多発、人間関係の悪化──事業とエンジニアリングのギャップはなぜ生まれるのか?
佐藤大典氏は、Eコマース企業やスタートアップで開発組織の責任者を務め、現在は、自ら立ち上げた企業で技術組織支援に携わっている。他にも、エンジニア向けにマネジメントについて記された『エンジニアのためのマネジメント入門』も著し、組織運営と事業理解をテーマに発信を続けている。本セッションでは「エンジニアが事業に向き合うために必要だったこと」を軸に、事業貢献の本質を語った。
冒頭で佐藤氏は、エンジニアにとって「経営」が「縁遠いもの」になっている現実を指摘する。デブサミには多彩なセッションが並ぶが、事業運営や経営構造に踏み込む内容は多くない。佐藤氏自身もかつては「技術に閉じこもっていた」と話すが、「やはり、エンジニアが事業貢献を考える入口として『経営』を知ることは重要だ」というのが、現在の考えだ。
続いて佐藤氏は、参加者に向かって「あなたにとって『事業貢献』とは何をすることですか?」と問いかける。日々行っている開発行為は、果たして事業に結びついているのか?そう再考を促したのである。
そのうえで取り上げたのが、開発現場で語られがちな「事業に貢献している“つもり”の行為」である。納期遵守、技術的負債の返済、生産性向上、プロダクトKPI(重要業績評価指標)の達成、さらには個人目標の達成──どれも重要だが、佐藤氏は「これらは必ずしも事業価値の向上に直結しない」と断じる。
「納期に間に合わせたものの、商談は失注した」「1年以上かけて技術的負債を返済した直後に、サービスが終了した」「生産性を高めてみたものの、会社全体の売上が停滞した」……。いずれも、現場の努力が事業貢献にはつながらなかったケースだ。
他にも、プロダクト目標の達成が事業成長に反映されず、販売部門の不振が原因で会社が資金難に陥った例、個人目標の達成が事業成果に一切寄与しなかった例も紹介された。このような“空回り”を続けていると、最悪の場合には、バーンアウトや障害の多発、人間関係の悪化、組織間対立、大量退職といった“逆事業貢献”に転落することすらあるというのだ。
こうした齟齬は、経営陣が「会社・従業員・ステークホルダーを守るため」に意思決定する一方で、現場のエンジニアは「自分の開発組織を守るため」に動く、という視点の違いから生じる。エンジニアが「真の事業貢献とは何か」を誤解したままでは、どれほど技術的努力を積み重ねても、事業価値には転化しないのだ。
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水無瀬 あずさ(ミナセ アズサ)
現役エンジニア兼フリーランスライター。PHPで社内開発を行う傍ら、オウンドメディアコンテンツを執筆しています。得意ジャンルはIT・転職・教育。個人ゲーム開発に興味があり、最近になってUnity(C#)の勉強を始めました。おでんのコンニャクが主役のゲームを作るのが目標です。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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