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「SDDは消えた」のではなく当たり前になった──Spec Kitから読み解く、AI駆動開発が収束する先

【17-C-2】Spec-Driven Development は消えたのか?- AI 駆動開発が収束する方向性 -

 Spec-Driven Development(SDD)、つまり仕様駆動開発の話を聞かなくなった──そんな声を耳にする。だが廃れたのではなく、当たり前になって各社のツールに溶け込んだだけだ。「GitHub Spec Kit」を入口に、Anthropic、OpenAI、GitHub、AWSが異なる仕組みを用いつつも実質的に同じ方向へ収束している。そうした現在地を、FPTジャパンホールディングスのエグゼクティブエバンジェリストである鈴木章太郎氏(Microsoft MVP)がデモを交えて解説した。

「消えた」のではなく標準になった、入口としてのGitHub Spec Kit

 SNSを眺めていると、新機能や新ツールなどの個別トピックが洪水のように流れてくる。それらは断片的な情報が多く、それぞれの位置付けをつかむのは難しい。そうした中で「SDDについてはもう聞かなくなった」と言われ始めているが、鈴木氏は「SDDは廃れたのでなく、当たり前になって各社に溶け込んだ。普及して標準になった証」と説明する。

FPTジャパンホールディングス株式会社 エグゼクティブエバンジェリスト 鈴木 章太郎氏
FPTジャパンホールディングス株式会社 エグゼクティブエバンジェリスト 鈴木 章太郎氏

 GitHubがOSSで公開している仕様駆動開発のツールキット「Spec Kit」は、コードを書く前に仕様を構造化することを支援する。構造化された仕様が唯一の情報源(SSOT:Single Source of Truth)となり、後から変更があっても追随できるトレーサビリティを持つのが利点だ。既存のリポジトリやエージェントに被せる形で導入でき、今回のデモで用いるGitHub Copilotのほか、Claude Code、OpenAI Codex、Gemini、Cursorなど、主要エージェントに対応する。特定のAIに縛られず、思想を共通化できるのが強みとなる。

コードを書く前に仕様の構造化を支援するGitHub Spec Kit
コードを書く前に仕様の構造化を支援するGitHub Spec Kit

 Spec Kitのワークフローでは、必須と任意の6コマンドを順に実行していく(詳しくは後述)。鈴木氏はこれらのコマンドに入る前に「AI逆質問」を提案する。人間は意図だけを渡し、AIから対象・制約・非機能要件を逆に質問させ、人間は答えてキュレートしていく。その結果として生成されるのが、要件のSSOTとなる「requirements.toml」だ。要件を人間が書くのではなく、AIに逆質問させて作らせるのがポイントといえる。

 ただし、このrequirements.tomlは常に必要というわけではない。実際には保守・派生開発でも通常の新規開発(受託)でも、要件定義まで済んでいるケースが大多数だ。これならrequirements.tomlを生成する必要はほぼない。

 必要となるのは要件が全く白紙のケースだ。ゼロから事業を立ち上げ、誰もまだ要件を把握していないような、完全な新規事業に限られる。つまり分かれ目は「新規か保守か」ではなく「要件が白紙かどうか」。Constitution.md自体は常に必須だが、シナリオによりrequirements.toml生成の要否が変わる。

 Spec Kitのワークフローは6つのコマンドで構成される。前半は(1)constitution(命名規則・規約・思想を集約したファイルを作成)、(2)specify(何を作るか言語化)、任意で(3)clarify(曖昧さを除去)があり、ここまでが仕様を固めるフェーズとなる。ここを丁寧にやるほど後半の実装が安定する。

 後半は実装フェーズで、(4)plan(どう作るか設計)、(5)tasks(AIが実行できる粒度に分解して依存関係を整理)、(6)implement(タスクを順に実装)へと進めていく。人間はレビューに集中し、AIが手を動かしていく。

次のページ
仕様→計画→タスク→実装──6コマンドの「型」

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレーターも担当しています。Webサイト:http://emiekayama.net

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